全13回のNST・褥瘡シリーズ最終回です。「薬剤師がNSTや褥瘡ケアに関わることで何が変わるのか」を総まとめします。
このシリーズで学んできたこと
【NSTシリーズ①〜⑥】
① NSTとは何か?誕生の歴史と意義
② NSTの目的・役割・活動成果
③ 薬剤師がNSTで担う役割
④ 輸液のカロリーを正しく知る
⑤ 経腸栄養・経静脈栄養の選択(TPN・PPN・EN)
⑥ 離島・僻地病院でのNST活動体験記
【褥瘡シリーズ⑦〜⑫】
⑦ 褥瘡とは何か?原因・ステージ分類
⑧ モイストウンドヒーリング:傷は乾かすな
⑨ 褥瘡治療の基本的な考え方と3ステップ
⑩ 褥瘡外用剤の解説(ゲーベン・ネグミンシュガー・ブロメラインなど)
⑪ 創傷被覆材の選び方(ハイドロサイト・カルトスタットなど)
⑫ 褥瘡と栄養の深い関係
薬剤師がNST・褥瘡ケアに関わることで何が変わるか
① 「カロリーが足りていない」を発見できる
「絶食でソルデム3A×3本」の処方を見た時に、「これでは258kcal、おにぎり1.5個分しかない。ビーフリードへの変更を提案しよう」と気づける薬剤師が一人いるだけで、患者さんの栄養状態が変わります。
② 褥瘡外用剤の適切な提案ができる
「黄色壊死期に浸出液が少ない創にネグミンシュガーが処方されている」——創を乾燥させすぎる可能性があります。「ゲーベンクリームの方が適切では」と提案できる薬剤師が、褥瘡ケアの質を上げます。
③ 「この褥瘡が治らない原因は栄養だ」と言える
Alb 2.5g/dL未満の患者の褥瘡が治らない時に、「管理栄養士と連携して栄養評価・介入を提案しましょう」と言える薬剤師がチームを動かします。
④ 薬物療法と栄養療法の橋渡しができる
「誤嚥が多い患者さんにACE阻害薬の嚥下改善効果を活用できないか」「消化管運動が悪い患者さんにモサプリドを提案できないか」——薬と栄養の両面から考えられるのが薬剤師の強みです。
NSTで薬剤師が発揮できる独自価値
NST専門療法士として20年以上活動してきて感じる「薬剤師ならではの強み」は3つです。
① 輸液を「栄養」として読む力 「この点滴でどのくらいのカロリーが入っているか」「アミノ酸はどれだけ入っているか」を即座に計算できるのは薬剤師の専門性です。
② 薬物と栄養の相互作用を知っている 「葉酸とメトトレキサート」「ビタミンKとワーファリン」「亜鉛とキレート剤」——栄養素と薬の相互作用を知っているのは薬剤師の強みです。
③ 処方提案の形で医師に働きかけられる 「ビーフリードへの変更を提案します」という具体的な処方提案の形でアプローチできるのは薬剤師だけです。
病棟薬剤師・NST薬剤師に伝えたいこと
私が沖永良部島の離島病院でNSTを立ち上げた時、「こんな環境でNSTなんてできるのか」と思いました。でも医師が少ないからこそ薬剤師の関わりが大切だと気づきました。
大病院でも小さな病院でも、薬剤師がNSTに関わることで:
- 患者さんの栄養状態が改善する
- 褥瘡が減る・治りやすくなる
- 在院日数が短縮する
- 医療の質が上がる
「薬剤師がいてよかった」と思ってもらえる場面のひとつが、NST・褥瘡ケアへの関わりです。
まとめ:薬剤師に伝えたい3つのこと
① 輸液のカロリーを知ること ソルデム3A×3本=258kcal。これを知っているだけで、絶食患者への適切な提案ができます。
② 褥瘡の「色」と「ステージ」を読むこと 黒→黄→赤→白の流れと、それぞれの病期に合った外用剤・被覆材を知ること。
③ 「栄養なしに治癒なし」を伝えること Alb 2.5g/dL未満の褥瘡患者に、どんな処置をしても治癒は困難。管理栄養士・NSTとの連携を積極的に促すこと。
最後に
NST・褥瘡シリーズを通じて伝えたかったのは「薬剤師はもっと栄養と創傷ケアに関われる」ということです。
「薬の専門家」にとどまらず、「患者の栄養状態を読み、チームに提言できる薬剤師」を目指してほしいと思います。
13回、最後までお読みいただきありがとうございました!
全13記事一覧
① NSTとは何か?誕生の歴史と意義
② NSTの目的・役割・活動成果
③ 薬剤師がNSTで担う役割
④ 輸液のカロリーを正しく知る
⑤ 経腸栄養・TPN・PPNの選択
⑥ 離島・僻地病院でのNST活動体験記
⑦ 褥瘡とは何か?原因・ステージ分類
⑧ モイストウンドヒーリング
⑨ 褥瘡治療の基本的な考え方
⑩ 褥瘡外用剤の解説
⑪ 創傷被覆材の選び方
⑫ 褥瘡と栄養の深い関係 ⑬ 総まとめ(本記事)
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