2026年7月20日月曜日

2:6:2の法則——嫌われることに楽になる思考法【コーチングシリーズ㉑】

 「あの患者さんに嫌われた気がする」「あのスタッフから距離を置かれている」——そんな不安を感じたことはありませんか?今回は「2:6:2の法則」で、嫌われることへの恐れから楽になる考え方を解説します。


2:6:2の法則とは

「2:6:2の法則」とは、どんな人でも:

  • 自分のことを好きな人:2割
  • どっちでもない人:6割
  • 自分のことを嫌いな人:2割

に分かれるという法則です。

これはパレートの法則から派生した考え方で、組織のエンゲージメントにも当てはまります。


働きアリの例

働きアリのコロニーを観察すると、こんな現象が起きます。

  • 全力で働く2割のアリが8割の食料を集める
  • よく働くアリと普通に働くアリとサボるアリの割合は2:6:2になる
  • よく働くアリだけを集めても、一部がサボり始め、やはり2:6:2になる
  • サボっているアリを排除しても、残りの中の2割がサボり始める

これは自然の法則です。どんな集団でも必ず2:6:2に分かれます。


医療現場への応用

患者さんへの応用:

どんなに誠心誠意服薬指導をしても、2割の患者さんはあなたのことを「合わない」と感じます。6割は「普通」と感じ、2割は「この薬剤師さんが好き」と感じます。

「あの患者さんに嫌われた」と感じても、それは「2割の法則」の中に入っただけかもしれません。

スタッフへの応用:

どんなに良いマネジメントをしても、2割のスタッフは意欲的に、6割は普通に、2割はなかなか動かないという構造は変わりません。

「なんでこのスタッフは動かないのか」と悩むより、「6割の普通のスタッフにどう関わるか」に注力する方が組織全体のパフォーマンスが上がります。


「嫌われても良い」ではなく「嫌われることを過度に恐れない」

誤解しないでほしいのですが、「嫌われてもいい」と開き直るわけではありません。

患者さんに好かれようとする努力は大切です。コミュニケーションを磨き、信頼関係を作る努力を続けることは重要です。

ただ、「全員に好かれないといけない」という思い込みが、かえって不自然なコミュニケーションを生み出すことがあります。

「嫌われないように必死になる」より「自分らしくある」方が、長期的には多くの患者さん・スタッフとの良い関係につながります。


応援してくれる人と過ごす

2:6:2の法則から学べるもう一つの視点:

一つの選択肢を選んだ時、ある人は喜び、ある人は文句を言い、ある人は悲しみます。

それぞれで良い。全員を満足させようとするより、応援してくれる人・一緒に歩んでくれる人と時間を過ごす方が、自分の力が最大限に発揮できます。

医療従事者としても、全員の患者さんに「好かれよう」とするより、「目の前の患者さんを最大限にサポートする」ことに集中する方が、結果として多くの患者さんとの良い関係が生まれます。


コーチングと2:6:2の法則

コーチングを学んで実践する中で、こんなことが起きます。

「コーチングを使っているのに、この患者さんには全然響かない」

それは2割の中に入ったのかもしれません。

すべての患者さんにコーチングが機能するわけではありません。刺さる2割に丁寧に関わり、6割にはコーチングマインドを持ちながら普通の服薬指導をする——これが現実的な運用です。


まとめ

  • 2:6:2の法則:どんな人でも「好き2割・どっちでも6割・嫌い2割」に分かれる
  • これは自然の法則で、変えることはできない
  • 「全員に好かれないといけない」という思い込みを手放す
  • 自分らしくあることが、長期的には多くの良い関係につながる
  • コーチングも2割に深く刺さり、6割に薄く届き、2割には響かないこともある

次回は「経験学習サイクル:経験を成長につなげるコルブ理論」を解説します。


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