「コーチングのスキルは学んだ。でも、実際にできているのだろうか?」——今回は、自分のコーチングマインドを点検するためのチェックリストをお届けします。
コーチングマインドとは
コーチングマインドとは、コーチングを実践する上での「心の状態・姿勢」のことです。スキルの前に、この心の状態が整っていなければコーチングは機能しません。
コーチングマインドの5要素:
- 答えは患者自身が持っていると信じる
- 患者の力を100%信じる
- 患者と医療者は、対等な関係である
- レッテルを貼らず、先入観のない白紙の心で患者と向き合う
- 患者個々の価値観を大切にし、本人が望むものを提供する
コーチングマインドチェックリスト
友人に相談を頼まれたケースを想定して、チェックしてみましょう。
□ 相手が話し終わるまでしっかり耳を傾けている
相手が話し終わる前に、自分の意見やアドバイスを言い始めていませんか?「最後まで聴く」——これがコーチングの基本中の基本です。
□ 良い悪いで判断をせず、ありのままを受け入れている
「それはダメですね」「それは正しくない」——こうした評価をしながら聴いていませんか? まずは受け止める。
□ アドバイスよりも質問を通して、相手から考えや解決策を引き出している
すぐにアドバイスを出したくなる衝動を感じませんか? 「どうすればいいと思いますか?」と質問して相手に考えさせる。
□ 相手の強みに焦点を当てて、それを使って目標を促している
「できていないこと」ではなく「できていること」に注目できていますか?
□ 意見を押しつけず、相手の考えを尊重している
「こうすべきだ」「絶対にこの方法がいい」と自分の考えを押し付けていませんか?
いくつ当てはまりましたか?
5つすべてできていれば、コーチングマインドが整っています。
3〜4つ:ほぼできています。残りの1〜2つを意識しましょう。
1〜2つ:まだまだ成長の余地があります。でも意識し始めているだけで大きな前進です。
0つ:正直でいいです!これから一緒に学んでいきましょう。
コーチングマインドの実践を妨げる6つの落とし穴
スキルは学んでいても、以下の落とし穴にはまるとコーチングが機能しません。
① すぐにアドバイスしてしまう 「それはこうすればいいですよ」と反射的に答えてしまう。まず質問。
② 沈黙を埋めてしまう 相手が考えている沈黙に耐えられず、話しかけてしまう。沈黙は内省の時間。待つ。
③ 自分のフレームで解釈してしまう 「この患者さんはこういう人だから」という固定観念で判断する。毎回ゼロポジションで。
④ 結果だけを評価する 「HbA1cが下がった、上がった」だけで評価する。プロセスも承認する。
⑤ 相手に変わることを強制する 「絶対に○○してください」と変化を強制する。相手のペースを尊重する。
⑥ 専門用語を多用する 「アドヒアランスが低下していますね」と専門用語を使う。相手にわかる言葉で。
医療コーチングの本質
医療でコーチングが機能するポイントは3つです。
① 相手が話したくなるような関係性が先にある 関係性ができていない人にコーチングをしても、相手は心を開きません。
② 時間がない時は「傾聴・雰囲気・姿勢」で補う コーチングに時間をかけられない忙しい現場でも、聴く姿勢・表情・うなずきだけでコーチングマインドは伝えられます。
③ コーチング9:フィードバック1のバランス 信頼関係の貯金(コーチング)を十分に積んでから、フィードバック(指摘・改善要求)を伝える。信頼残高がないのにフィードバックをすると相手は受け入れられません。
明日からできる5つの行動
- 患者さんの話を遮らずに最後まで聴く(1回の服薬指導で1度試す)
- 「なぜ?」より「どうすれば?」を使ってみる
- 「ありがとう」「嬉しい」「助かった」を意識して使う
- 服薬できた部分(プロセス)を先に承認してから課題を話す
- 毎日1人、名前を呼んで挨拶する
スキルより先に「心の状態(Mind)」を整えること。まずは自分が元気であること。元気で医療を提供していこう。それが土台です。
まとめ
- コーチングマインドの5要素:相手を信じる・対等・先入観なし・価値観尊重
- チェックリストで自分の現在地を把握する
- 6つの落とし穴:アドバイス衝動・沈黙への恐れ・固定観念・結果のみ評価・強制・専門用語
- 時間がない時も「傾聴・雰囲気・姿勢」でコーチングマインドは伝わる
- コーチング9:フィードバック1のバランスで信頼残高を積む
次回は「糖尿病患者さんへの6つの質問例:コーチングを服薬指導に活かす実践」を解説します。
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