2026年7月14日火曜日

コーチングマインドチェックリスト:今の自分の姿勢を点検しよう【コーチングシリーズ⑮】

 「コーチングのスキルは学んだ。でも、実際にできているのだろうか?」——今回は、自分のコーチングマインドを点検するためのチェックリストをお届けします。


コーチングマインドとは

コーチングマインドとは、コーチングを実践する上での「心の状態・姿勢」のことです。スキルの前に、この心の状態が整っていなければコーチングは機能しません。

コーチングマインドの5要素:

  1. 答えは患者自身が持っていると信じる
  2. 患者の力を100%信じる
  3. 患者と医療者は、対等な関係である
  4. レッテルを貼らず、先入観のない白紙の心で患者と向き合う
  5. 患者個々の価値観を大切にし、本人が望むものを提供する

コーチングマインドチェックリスト

友人に相談を頼まれたケースを想定して、チェックしてみましょう。

□ 相手が話し終わるまでしっかり耳を傾けている

相手が話し終わる前に、自分の意見やアドバイスを言い始めていませんか?「最後まで聴く」——これがコーチングの基本中の基本です。

□ 良い悪いで判断をせず、ありのままを受け入れている

「それはダメですね」「それは正しくない」——こうした評価をしながら聴いていませんか? まずは受け止める。

□ アドバイスよりも質問を通して、相手から考えや解決策を引き出している

すぐにアドバイスを出したくなる衝動を感じませんか? 「どうすればいいと思いますか?」と質問して相手に考えさせる。

□ 相手の強みに焦点を当てて、それを使って目標を促している

「できていないこと」ではなく「できていること」に注目できていますか?

□ 意見を押しつけず、相手の考えを尊重している

「こうすべきだ」「絶対にこの方法がいい」と自分の考えを押し付けていませんか?


いくつ当てはまりましたか?

5つすべてできていれば、コーチングマインドが整っています。

3〜4つ:ほぼできています。残りの1〜2つを意識しましょう。

1〜2つ:まだまだ成長の余地があります。でも意識し始めているだけで大きな前進です。

0つ:正直でいいです!これから一緒に学んでいきましょう。


コーチングマインドの実践を妨げる6つの落とし穴

スキルは学んでいても、以下の落とし穴にはまるとコーチングが機能しません。

① すぐにアドバイスしてしまう 「それはこうすればいいですよ」と反射的に答えてしまう。まず質問。

② 沈黙を埋めてしまう 相手が考えている沈黙に耐えられず、話しかけてしまう。沈黙は内省の時間。待つ。

③ 自分のフレームで解釈してしまう 「この患者さんはこういう人だから」という固定観念で判断する。毎回ゼロポジションで。

④ 結果だけを評価する 「HbA1cが下がった、上がった」だけで評価する。プロセスも承認する。

⑤ 相手に変わることを強制する 「絶対に○○してください」と変化を強制する。相手のペースを尊重する。

⑥ 専門用語を多用する 「アドヒアランスが低下していますね」と専門用語を使う。相手にわかる言葉で。


医療コーチングの本質

医療でコーチングが機能するポイントは3つです。

① 相手が話したくなるような関係性が先にある 関係性ができていない人にコーチングをしても、相手は心を開きません。

② 時間がない時は「傾聴・雰囲気・姿勢」で補う コーチングに時間をかけられない忙しい現場でも、聴く姿勢・表情・うなずきだけでコーチングマインドは伝えられます。

③ コーチング9:フィードバック1のバランス 信頼関係の貯金(コーチング)を十分に積んでから、フィードバック(指摘・改善要求)を伝える。信頼残高がないのにフィードバックをすると相手は受け入れられません。


明日からできる5つの行動

  1. 患者さんの話を遮らずに最後まで聴く(1回の服薬指導で1度試す)
  2. 「なぜ?」より「どうすれば?」を使ってみる
  3. 「ありがとう」「嬉しい」「助かった」を意識して使う
  4. 服薬できた部分(プロセス)を先に承認してから課題を話す
  5. 毎日1人、名前を呼んで挨拶する

スキルより先に「心の状態(Mind)」を整えること。まずは自分が元気であること。元気で医療を提供していこう。それが土台です。


まとめ

  • コーチングマインドの5要素:相手を信じる・対等・先入観なし・価値観尊重
  • チェックリストで自分の現在地を把握する
  • 6つの落とし穴:アドバイス衝動・沈黙への恐れ・固定観念・結果のみ評価・強制・専門用語
  • 時間がない時も「傾聴・雰囲気・姿勢」でコーチングマインドは伝わる
  • コーチング9:フィードバック1のバランスで信頼残高を積む

次回は「糖尿病患者さんへの6つの質問例:コーチングを服薬指導に活かす実践」を解説します。


講演・研修依頼について

「コーチングを活用した患者・スタッフとの信頼関係の作り方」研修を病院・薬局向けに承っています。 E-mail:toshiki.taura@gmail.com

≪関連記事≫

ABC理論⑭ 

病院薬剤師の仕事ブログ(hosphar)

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。