「なんでできないの!」「ちゃんと飲んでください!」——医療現場でこんな言葉を使っていませんか?今回は言葉の主語を変えるだけで、コミュニケーションが劇的に変わる「Iメッセージ」を解説します。
YOUメッセージとIメッセージの違い
YOUメッセージ:主語が「あなた(YOU)」
「(あなたは)いいかげんにしなさい」 「(あなたは)何度言ったらわかるの」 「(あなたは)なんで薬飲んでないの!?」
YOUメッセージは、相手を責めてしまう傾向があります。言われた側は「自分を攻撃された」と感じ、心の壁を作ります。
Iメッセージ:主語が「わたし(I)」
「(私は)飲んでくれないと倒れたりしないか心配なんです」 「(私は)あなたがいてくれて助かった」 「(私は)連絡がないと心配になる」
Iメッセージは自分の気持ちや考えを主張するにとどまり、相手を尊重したコミュニケーションができます。
薬を飲んでいない患者さんへの関わり方
実際の医療現場での比較です。
YOUメッセージ(避けたい) 「なんで薬飲んでないの?ちゃんと飲まないとダメじゃないですか!」 → 患者さんは萎縮するか、言い訳を考えるかのどちらか
Iメッセージ(オススメ) 「飲んでくれないと倒れたりしないか心配なんです」 「薬をしっかり飲んでくれるとお子さんも安心するんじゃないですか」 → 患者さんは責められた感じがなく、自分ごととして考えやすい
3段階のアイメッセージ
アドラー心理学では、主張を3段階で行うことを教えています。
レベル1:表情アイメッセージ(まずこれを試す) 言葉にしないで表情や声の調子で感情を表現する。30%くらいの人はこれだけで気づいてくれる。
レベル2:言葉のアイメッセージ(それでも気づかない場合) 具体的に言葉にしていく。70%の人はここで気づいてくれる。
レベル3:YOUメッセージ(最後の手段) これでも理解してくれない場合は最終手段としてYOUメッセージを使う。
実例:迷子になった子供への声かけ
親子でデパートに行って、子供が迷子になってやっと再会できました。
YOUメッセージ 「どこに行っていたのよ!はぐれないでよ!もう連れてこないよ!」
Iメッセージ 「心配してたよ。無事でいてくれてよかった」
Iメッセージの後には「心配させないようにしよう」という前向きな行動に繋がります。
実例:テストの点数が悪かった子供へ
いつも80点ぐらいが当たり前の息子が30点を取ってきた。
YOUメッセージ 「ちゃんと勉強した!なんでそんな点数取ったの!そんな点数取って恥ずかしいよ!」
Iメッセージ 「言いづらかったよね。見せたくなかったよね。ちゃんと見せてくれてありがとうね。次いい点を取れるように一緒に勉強しようね」
テストを見せてくれたこと(行動)を承認してから、前向きな提案へ。
Iメッセージの3つの構成要素
効果的なIメッセージには3つの要素があります。
① 事実(行動) 相手の行為や出来事を非難がましくなく述べる(事実の描写)
② 影響 その行為によって生じる「波及効果」を伝える
③ 感情 あなたの素直な心情を伝える
例)遅刻癖のある彼氏への一言: 「(私は)大事にされている感じがしない…(感情)遅れるとき(事実)は、次から時間を守ってほしい(影響・お願い)」
Iメッセージを使う注意点
Iメッセージにも弱点があります。
- 指示をするときには向かない(「○○の作業を○時までにやってほしい」はYOUメッセージの方が明確)
- 曖昧な伝え方になりやすい(「どうすればいいかわからない」と受け取られることも)
Iメッセージが特に効果的な場面:
- ネガティブなフィードバックをする時
- 信頼関係がまだ十分でない時
- 目上の人への発言
まとめ
- YOUメッセージは相手を責める印象が強く、心の壁を作る
- Iメッセージは自分の気持ちを伝え、相手を尊重できる
- 3段階で主張:表情→言葉のI→YOU(最終手段)
- Iメッセージの3要素:事実・影響・感情
- 指示・命令の場面はYOUメッセージの方が明確なことも
次回は「アドラー心理学の勇気づけ:褒めると勇気づけの本質的な違い」を解説します。
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