2026年7月22日水曜日

コーチングを使った服薬指導実例集:場面別使い方ガイド【コーチングシリーズ㉓】

 「理論はわかった。でも実際の服薬指導でどう使えばいいの?」という方のために、今回は場面別の実例集をお届けします。


場面①:薬を飲み忘れている患者さんへ

従来の関わり方(NG) 「飲み忘れちゃったんですか!ちゃんと飲まないとダメじゃないですか!」 → 患者さんは萎縮し、「はい、気をつけます」で終わる

コーチングを使った関わり方(推奨)

S:「薬の飲み忘れが少しあると教えてくれましたね(承認)。そんなこともありますよ(共感)。どうしたら忘れずに飲めそうだと思いますか?(未来質問・肯定質問)」

患者:「財布に入れておいたら思い出せるかも…」

S:「いいですね!財布なら毎日必ず触りますもんね。試してみませんか?(承認・提案)次回、どうだったか聞かせてください(継続性)」


場面②:血糖値がなかなか改善しない患者さんへ

従来の関わり方(NG) 「血糖値がまだ高いですね。食事はどうですか、運動はしていますか?」 → 尋問のようになり、患者さんは防衛的になる

コーチングを使った関わり方(推奨)

S:「前回から糖尿病の治療を続けてきましたね(存在承認)。この3ヶ月間、どんなことに取り組んできましたか?(プロセス引き出し)」

患者:「食事は少し気をつけているんですが、なかなか難しくて…」

S:「食事を意識してくれているんですね(プロセス承認)。難しい中でも気をつけてくれているのは大きな一歩です。血糖値を良くするために、あと一つ何かできそうなことがあるとしたら何ですか?(コーチング質問)」


場面③:治療に消極的な患者さんへ

状況:新たに高血圧と診断されたが「薬を飲みたくない」と言っている

カウンセリングを先に使う(心がマイナスの状態)

S:「薬を飲むことに、何か気になることはありますか?(オープンクエスチョン)」

患者:「副作用が怖いし、一生飲み続けるのが嫌で…」

S:「それは不安になりますよね(共感)。副作用を心配されているんですね(バックトラッキング)。どんな副作用が一番心配ですか?(チャンクダウン)」

→ 不安を十分に受け止めてから、ティーチング(正確な情報提供)に移る


場面④:スタッフへのフィードバック(調剤過誤後)

従来の関わり方(NG) 「なんでこんなミスをしたの!ちゃんと確認しなかったの!」 → スタッフは萎縮し、隠蔽体質が生まれる

コーチングを使った関わり方(推奨)

管理者:「まず話を聞かせてください(傾聴の姿勢)。その時どんな状況でしたか?(状況確認)」

スタッフ:「外来が混んでいて、急いでいて…」

管理者:「忙しい中で頑張ってくれていたんですね(状況承認)。今回のことから、どんなことを学んだと思いますか?(内省促進)」

スタッフ:「確認を一か所省略してしまいました。次は必ずダブルチェックするようにします」

管理者:「それがいいと思います。あなたが自分で気づいてくれたことが大切です(勇気づけ)。何かサポートできることがあれば言ってください(味方の姿勢)」


場面⑤:1on1面談(半期の振り返り)

冒頭の一言 「今期の半年間を10点満点で振り返ったら何点でしょう?(具体的経験の振り返り)」

→ 7点と答えたら「どんなところが良かったですか?(プロセス承認)」 → 「どうすればあと1点上がると思いますか?(内省・概念化)」 → 「次の半期、何か一つ意識することを宣言してみてください(能動的実験)」

シンプルな4問ですが、このサイクルがスタッフの自己成長を促します。


まとめ:場面別コーチングの使い方早見表

場面アプローチ
飲み忘れ肯定質問+未来質問「どうしたら忘れずに飲めそうですか?」
治療不良プロセス承認→コーチング質問「あと一つ何かできそうなことは?」
治療拒否まずカウンセリング(不安の受け止め)→ティーチング
ミス後対応傾聴→状況承認→内省促進→勇気づけ
1on1面談10点満点→良かった点→あと1点→宣言

コーチングは一朝一夕に身につくものではありません。「一つ試してみる」を繰り返すことで、自分のものになっていきます。

次回は「コーチングシリーズ総まとめ:明日からできる行動10選」をお届けします。


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経験学習サイクル㉒ 

病院薬剤師の仕事ブログ(hosphar)

2026年7月21日火曜日

経験学習サイクル:経験を成長につなげるコルブ理論【コーチングシリーズ㉒】

 「経験は最高の先生」と言いますが、経験するだけでは成長しません。経験から学びを引き出す「経験学習サイクル(コルブ理論)」を、コーチングと組み合わせて解説します。


経験学習サイクルとは

デービッド・コルブが提唱した「経験学習サイクル」は、人が経験から学ぶための4段階のプロセスです。

① 具体的経験(Concrete Experience) 実際の体験をする。患者さんと関わる、手技を実施する、面談をするなど。

② 内省的観察(Reflective Observation) その経験を振り返る。「何が起きたのか」「どうだったのか」を観察・内省する。

③ 抽象的概念化(Abstract Conceptualization) 振り返りから法則・理論・教訓を抽出する。「次はこうしよう」「これが原因だった」という概念化。

④ 能動的実験(Active Experimentation) 学んだことを次の行動に活かす。実際に試してみる。

この4段階のサイクルを繰り返すことで、経験が本当の成長につながります。


なぜ経験だけでは成長しないのか

同じ経験をしても成長する人とそうでない人がいます。

違いは「②内省的観察」と「③抽象的概念化」をしているかどうかです。

経験したことを「ただやった」で終わらせるのか、「なぜそうなったのか」「次はどうすれば良いか」と考えるのか——この差が積み重なって大きな成長の差になります。


コーチングでサイクルを加速させる

経験学習サイクルをコーチングで加速できます。

① 具体的経験の後に(コーチング質問) 「今日の服薬指導、どうでしたか?」「印象に残った場面はありましたか?」

② 内省を促す質問 「その時、患者さんはどんな表情をしていましたか?」「あなたはその時、何を感じましたか?」

③ 概念化を促す質問 「その経験から、何を学びましたか?」「次回同じ状況になったら、どうしますか?」

④ 実験への移行を促す質問 「では、次の患者さんの時、何を一つ試してみますか?」


1on1面談での活用

私が実際に使っている1on1面談のテンプレートも、経験学習サイクルに沿っています。

「今期(6ヶ月)を10点満点中何点?」 → 経験の振り返りを促す

「何でその点数だったの?頑張ったこと、反省を教えて」 → 内省的観察を促す

「どうすればあと1〜2点上がりますか?」 → 抽象的概念化を促す

「次期に向けて、何を頑張りたい?一つ宣言して」 → 能動的実験への移行


「振り返り」文化を作る

組織全体で経験学習サイクルが回るためには、「振り返り文化」が必要です。

具体的な取り組み:

朝礼・終礼での振り返り 「昨日一番学んだことは何ですか?」「今日挑戦することは?」

症例検討会・ケースカンファレンス 個別の経験を組織の学びにする

プレアボイド報告 薬剤師が処方の問題点を発見・介入したケースを共有し、組織の学びにする


コーチングとの組み合わせ

経験学習サイクルは「ティーチングより内発的気づき」というコーチングの考え方と完全に一致します。

「こうすれば良かった(外発的気づき・ティーチング)」を教えるより、

「どうすれば良かったと思う?(内発的気づき・コーチング)」と問いかける方が、相手の中に深く残ります。

自分で考えた教訓は「自分のもの」になります。人から教えてもらった教訓はすぐに忘れます。


まとめ

  • 経験学習サイクル4段階:具体的経験→内省的観察→抽象的概念化→能動的実験
  • 経験するだけでは成長しない。「振り返り(内省)」が成長のカギ
  • コーチング質問で各段階を促進できる
  • 1on1面談は経験学習サイクルの実践の場
  • 「振り返り文化」を組織に根付かせることが長期的成長をもたらす

次回は「コーチングを使った服薬指導実例集:こんな時どう使う?」を解説します。


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2:6:2の法則㉑ 

病院薬剤師の仕事ブログ(hosphar)

2026年7月20日月曜日

2:6:2の法則——嫌われることに楽になる思考法【コーチングシリーズ㉑】

 「あの患者さんに嫌われた気がする」「あのスタッフから距離を置かれている」——そんな不安を感じたことはありませんか?今回は「2:6:2の法則」で、嫌われることへの恐れから楽になる考え方を解説します。


2:6:2の法則とは

「2:6:2の法則」とは、どんな人でも:

  • 自分のことを好きな人:2割
  • どっちでもない人:6割
  • 自分のことを嫌いな人:2割

に分かれるという法則です。

これはパレートの法則から派生した考え方で、組織のエンゲージメントにも当てはまります。


働きアリの例

働きアリのコロニーを観察すると、こんな現象が起きます。

  • 全力で働く2割のアリが8割の食料を集める
  • よく働くアリと普通に働くアリとサボるアリの割合は2:6:2になる
  • よく働くアリだけを集めても、一部がサボり始め、やはり2:6:2になる
  • サボっているアリを排除しても、残りの中の2割がサボり始める

これは自然の法則です。どんな集団でも必ず2:6:2に分かれます。


医療現場への応用

患者さんへの応用:

どんなに誠心誠意服薬指導をしても、2割の患者さんはあなたのことを「合わない」と感じます。6割は「普通」と感じ、2割は「この薬剤師さんが好き」と感じます。

「あの患者さんに嫌われた」と感じても、それは「2割の法則」の中に入っただけかもしれません。

スタッフへの応用:

どんなに良いマネジメントをしても、2割のスタッフは意欲的に、6割は普通に、2割はなかなか動かないという構造は変わりません。

「なんでこのスタッフは動かないのか」と悩むより、「6割の普通のスタッフにどう関わるか」に注力する方が組織全体のパフォーマンスが上がります。


「嫌われても良い」ではなく「嫌われることを過度に恐れない」

誤解しないでほしいのですが、「嫌われてもいい」と開き直るわけではありません。

患者さんに好かれようとする努力は大切です。コミュニケーションを磨き、信頼関係を作る努力を続けることは重要です。

ただ、「全員に好かれないといけない」という思い込みが、かえって不自然なコミュニケーションを生み出すことがあります。

「嫌われないように必死になる」より「自分らしくある」方が、長期的には多くの患者さん・スタッフとの良い関係につながります。


応援してくれる人と過ごす

2:6:2の法則から学べるもう一つの視点:

一つの選択肢を選んだ時、ある人は喜び、ある人は文句を言い、ある人は悲しみます。

それぞれで良い。全員を満足させようとするより、応援してくれる人・一緒に歩んでくれる人と時間を過ごす方が、自分の力が最大限に発揮できます。

医療従事者としても、全員の患者さんに「好かれよう」とするより、「目の前の患者さんを最大限にサポートする」ことに集中する方が、結果として多くの患者さんとの良い関係が生まれます。


コーチングと2:6:2の法則

コーチングを学んで実践する中で、こんなことが起きます。

「コーチングを使っているのに、この患者さんには全然響かない」

それは2割の中に入ったのかもしれません。

すべての患者さんにコーチングが機能するわけではありません。刺さる2割に丁寧に関わり、6割にはコーチングマインドを持ちながら普通の服薬指導をする——これが現実的な運用です。


まとめ

  • 2:6:2の法則:どんな人でも「好き2割・どっちでも6割・嫌い2割」に分かれる
  • これは自然の法則で、変えることはできない
  • 「全員に好かれないといけない」という思い込みを手放す
  • 自分らしくあることが、長期的には多くの良い関係につながる
  • コーチングも2割に深く刺さり、6割に薄く届き、2割には響かないこともある

次回は「経験学習サイクル:経験を成長につなげるコルブ理論」を解説します。


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コーチングが機能する5つの条件⑳ 

病院薬剤師の仕事ブログ(hosphar)

2026年7月19日日曜日

コーチングが機能する5つの条件——効果を最大化するために知っておくこと【コーチングシリーズ⑳】

 「コーチングを使っているのに、なぜか効果が出ない」——そんな時は、機能するための条件が整っていないかもしれません。今回はコーチングが最大限に機能するための5つの条件を解説します。


条件①:相手との信頼関係が先にある

コーチングは信頼関係の上にしか機能しません。

初対面の患者さんに「血糖値を良くするために何か一つしてみるとしたら、どんなことができそうですか?」と聞いても、「なんでそんなこと聞くんだ」と思われるだけです。

まず「この人は私のことを気にかけてくれている」という関係性が前提です。

実践:最初の数回は傾聴と承認に徹する。関係が温まってからコーチング的な質問を使い始める。


条件②:相手が「答えを持っている」と信じる

コーチングの前提は「相手の中に答えがある」という信念です。

「この患者さんはどうせ変わらない」「このスタッフには無理だ」という思いを持ちながら質問しても、その思いは言葉の端々に滲み出ます。

相手の可能性を100%信じること——これがコーチングを機能させる内側の条件です。

実践:「どんな答えが返ってくるだろう?」という好奇心と期待を持って質問する。


条件③:相手が「話す準備」ができている

心理的に追い詰められている状態(マイナス)の人に、コーチングは機能しません。

「糖尿病と診断されて怖い」「薬を飲むのが怖い」——そういうマイナスの感情状態には、まずカウンセリングで0に引き上げることが先です。

実践:「今日はどんな状態ですか?」という一言で相手の状態を確認してから入る。


条件④:コーチ(自分)の心の状態が良い

コーチング(自分)の状態がよくなければ、どんなにスキルがあっても機能しません。

忙しくてイライラしている、自分が困ってい状態では、相手の状態をきちんとつかめません。

「リソースフルな状態」——なんでも使える、クリエイティブに進める意識状態——がコーチングの前提です。

実践:患者さんに向かう前に、一呼吸置く。笑顔で挨拶する。自分のエネルギーを整える。


条件⑤:適切なタイミングと時間

コーチングは「じっくりやれ」という側面があります。しかし忙しい医療現場では、まとまった時間が取れないこともあります。

時間がない場合は:

  • 傾聴の姿勢(表情・うなずき)だけでもコーチングマインドは伝わる
  • 短い一言でも「あなたのことを考えています」を伝えられる
  • 「今日は時間が限られているのですが、一番気になることを一つ聞かせてください」

実践:時間がない時でも「姿勢・表情・うなずき・一問」でコーチングマインドを表現する。


コーチングが特に機能する場面

医療でコーチングが特に力を発揮する場面:

慢性疾患の長期管理(糖尿病・高血圧・COPD・心不全など) → 長期的な関わりの中で信頼関係が育ち、コーチングが深まる

行動変容が必要な場面(禁煙・食事療法・運動習慣) → 「させられる変化」より「自分で決めた変化」の方が長続きする

スタッフの育成・1on1面談 → 「答えを教える(ティーチング)」から「引き出す(コーチング)」へ


コーチングが機能しない場面(あえて言う)

正直に言います。コーチングが向かない場面もあります。

  • 緊急時・救急場面:今すぐ指示・情報が必要な時はティーチングが有効
  • 知識が全くない初回:患者さんに医療知識がなければ、引き出すものがない
  • 相手が明確に「教えてほしい」と求めている時:ニーズに応えることが最優先

コーチングは万能ではありません。ティーチング・カウンセリングと使い分けることが大切です。


まとめ

コーチングが機能する5つの条件:

  1. 相手との信頼関係が先にある
  2. 「相手の中に答えがある」と100%信じる
  3. 相手が「話す準備」ができている(マイナス状態では先にカウンセリング)
  4. コーチ自身の心の状態が良い(リソースフルな状態)
  5. 適切なタイミングと時間(ない時は姿勢・表情・一問で補う)

次回は「2:6:2の法則——嫌われることに楽になる思考法」を解説します。


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コーチングの本質⑲ 

病院薬剤師の仕事ブログ(hosphar)

2026年7月18日土曜日

「正そうとするな、わかろうとせよ」——コーチングの本質と医療への応用【コーチングシリーズ⑲】

 コーチングを学んできて、今回は一度立ち止まって本質を考えます。「正そうとするな、わかろうとせよ」——この言葉がコーチングのすべてを表しています。


医療従事者が「正そうとしてしまう」理由

私たち医療従事者は「患者さんを正しい方向に導く」ことに使命を感じています。これ自体は素晴らしいことです。

しかし、その使命感が強くなりすぎると——

「なんで薬を飲まないの!」 「血圧が高いのに、なぜ塩分を制限しないの!」 「言ったことを守ってくれれば良くなるのに!」

これは「相手を正そうとしている」状態です。

正そうとする力が強ければ強いほど、相手の心は閉じていきます。


「わかろうとする」ことの力

コーチングは「わかろうとする」ことから始まります。

「なぜ薬を飲めないのか、わかろうとする」 「なぜ血圧が高いままなのか、わかろうとする」 「この患者さんの生活・価値観・不安を、わかろうとする」

「わかろうとする」姿勢は相手に伝わります。「この人は私のことをわかろうとしてくれている」と感じた瞬間、患者さんの心が開き始めます。


横文字・専門用語に要注意

コーチングを学んでいると、どうしても専門用語を使いたくなります。「アドヒアランス」「コンプライアンス」「動機づけ面接」——これらを患者さんに使っても全く伝わりません。

同職種(薬剤師同士)であれば専門用語が共通言語になり、会話が深まることもあります。でも患者さんに対しては、相手がわかる言葉で話すことが最優先です。

「正しい言葉を使おうとするな、相手に伝わる言葉を選ぼう」

これもコーチングマインドのひとつです。


コーチングの3大原則を再確認

コーチングの3原則に「わかろうとする」を重ねてみます。

① 双方向性 一方通行で「正そう」とするのではなく、相手の考えを聴きながら双方向で進む。

② 継続性 一度話して終わりではなく、継続的に「わかろうとする」関わりを続ける。

③ 個別対応 「この患者さん・このスタッフは何を感じているのか」を個別に理解しようとする。


コーチングとティーチングのバランス感覚

「コーチング9:フィードバック1」という比率で考えましょう。

9割の時間を「聴く・引き出す・承認する」に使い、1割の時間を「伝える・指摘する・提案する」に使う。

信頼貯金がたまっていない相手にフィードバックをしても、聞いてもらえません。まず信頼貯金を積む——これがコーチングが先に来る理由です。


医療従事者としての成長の学ぶ順番

医療従事者として成長するための学ぶ順番があります。

① Mind(心の状態) 「患者さんを良くしてあげたい」という気持ち。これが土台。

② Contents(内容) 提供する医療の内容・薬の知識。

③ Delivery(伝え方・表現力) 提供する医療の技術・伝え方。

多くの医療従事者は②と③ばかりを学びがちですが、①の「心の状態」が土台になければ、どれだけ知識や技術があっても患者さんには届きません。


コーチングの魅力——「扉が開く瞬間」

コーチングを学び始めた頃、ある薬局長との会話でこんな場面がありました。

私が「疑問形にするといいですよ」とコミュニケーションのコツを話していたら、

薬局長:「先生、語尾に大丈夫を付けたら、大半の部下は大丈夫ですと言いますよ」

私:「まさに。だから『どうすれば大丈夫になりますか?』と聞く方がいいんです」

薬局長:「あ〜、部下から聞き出すことが大切なのね」

——この瞬間が、コーチングの世界で言う「相手の扉が開いた瞬間」でした。

教えるのではなく、気づいてもらう。この体験を、患者さんやスタッフとの関わりの中で積み重ねていくことがコーチングの魅力です。


まとめ

  • 「正そうとするな、わかろうとせよ」がコーチングの本質
  • 「わかろうとする」姿勢が伝わることで相手の心が開く
  • 専門用語より「相手に伝わる言葉」を選ぶ
  • コーチング9:フィードバック1の比率で信頼貯金を積む
  • 成長の学ぶ順番:Mind → Contents → Delivery

次回は「コーチングが機能する5つの条件——効果を最大化するために知っておくこと」を解説します。


講演・研修依頼について

「コーチングを活用した患者・スタッフとの信頼関係の作り方」研修を病院・薬局向けに承っています。 E-mail:toshiki.taura@gmail.com

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タイプ別コミュニケーション⑱ 

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