はじめに
皆さんは、
人前で叱られた経験はあるでしょうか。
- 朝礼で注意された
- 会議中に指摘された
- 多くのスタッフの前で叱責された
内容そのものよりも、
「みんなの前で言われたこと」
の方が強く記憶に残っている人も多いかもしれません。
もちろん、
指導が必要な場面はあります。
しかし、
アンガーマネジメントや心理的安全性の視点から考えると、
人前で叱ることは期待した効果を生まないことが少なくありません。
今回は、
なぜ人前で叱ることが逆効果になりやすいのかについて考えてみたいと思います。
この記事でわかること
この記事では、
・人前で叱ることの問題点
・心理的安全性への影響
・指導効果が下がる理由
・医療現場で意識したい対応
について考えていきます。
人前で叱ると何が起こるのか
叱られた本人は、
内容よりも感情が先に動きます。
例えば、
- 恥ずかしい
- 情けない
- 悔しい
- 傷ついた
こうした感情が強くなります。
すると、
本来伝えたい内容よりも、
「人前で恥をかかされた」
という記憶が残りやすくなります。
人は防御モードに入る
人前で叱られると、
人は防御的になります。
例えば、
「自分は悪くない」
「でも○○だった」
「そんな言い方をしなくても」
と考えるようになります。
すると、
改善よりも自己防衛が優先されます。
結果として、
指導効果が下がってしまいます。
心理的安全性が低下する
人前で叱責される経験をすると、
人は次から発言を控えるようになります。
例えば、
- 質問しなくなる
- 報告しなくなる
- 相談しなくなる
- ミスを隠すようになる
これは医療安全上も大きなリスクです。
心理的安全性とは、
安心して発言できる環境です。
人前での叱責は、
その土台を崩してしまうことがあります。
周囲にも影響する
実は、
影響を受けるのは本人だけではありません。
周囲のスタッフも見ています。
例えば、
「あんなふうに言われるなら発言しない方がいい」
「相談するのが怖い」
と感じることがあります。
つまり、
一人への叱責が、
職場全体の空気を変えてしまうことがあります。
なぜ人前で叱ってしまうのか
では、
なぜ人前で叱ってしまうのでしょうか。
その背景には、
怒りや焦りがあります。
例えば、
- 同じミスが続いた
- 忙しかった
- 安全上の問題があった
そうした状況では、
ついその場で言いたくなります。
しかし、
アンガーマネジメントでは、
感情のまま反応しないことが大切です。
指導は個別、称賛は公開が基本
よく言われる考え方に、
「褒める時はみんなの前で」
「叱る時は個別に」
があります。
個別に伝えることで、
相手の尊厳を守りながら指導できます。
また、
落ち着いて対話することもできます。
医療現場での具体例
例えば、
インシデントが発生した場合。
人前で叱る
「何でこんなミスをしたの!」
↓
相手は萎縮する
個別に話す
「今回の経緯を一緒に振り返ろう」
↓
改善につながる
同じ内容でも、
結果は大きく異なります。
本当に伝えたいことは何か
怒りを感じた時、
一度考えてみます。
「私は何を伝えたいのだろう」
多くの場合、
本当に伝えたいのは、
- 患者安全を守りたい
- 成長してほしい
- 同じことを繰り返してほしくない
ということです。
その目的を達成するためには、
感情的な叱責よりも、
冷静な対話の方が効果的です。
現場で感じること
病院で働いていると、
人前で強く叱責されたことを長く覚えている人がいます。
一方で、
個別に丁寧に話してもらった経験を、
感謝とともに覚えている人もいます。
指導とは、
相手を追い詰めることではなく、
成長を支援することです。
そのためには、
相手の尊厳を守ることも大切なのだと思います。
まとめ
人前で叱ることは、
必ずしも指導効果を高めるわけではありません。
むしろ、
- 防御的になる
- 心理的安全性が下がる
- 相談しにくくなる
- 職場全体に影響する
といったリスクがあります。
大切なのは、
感情をぶつけることではなく、
成長につながる対話を行うことです。
病院薬剤師として私自身も、
相手の尊厳を大切にしながら、
より良い指導を心掛けていきたいと思っています。
皆さんは、「叱る」と「育てる」の違いについて、どのように考えていますか?