2026年6月3日水曜日

多職種連携がうまくいかない原因は“心理的安全性”かもしれない|病院薬剤師が考える医療安全


はじめに

医療現場では、

「多職種連携が大切」

という言葉をよく耳にします。

病院薬剤師として働いていても、

  • 医師との処方確認

  • 看護師との情報共有

  • 栄養士やリハビリスタッフとの連携

  • 退院支援カンファレンス

など、多職種と関わる場面は日常的にあります。

しかし現場では、

「相談しづらい」
「言いにくい」
「確認したいけど遠慮する」

と感じることも少なくありません。

そして、その背景には、

“心理的安全性”

が関係していることがあります。

今回は、

多職種連携と心理的安全性の関係

について、病院薬剤師の立場から考えてみたいと思います。


この記事でわかること

この記事では、

・多職種連携がうまくいかない理由
・心理的安全性との関係
・医療安全への影響
・病院薬剤師として意識したいこと

について考えていきます。


多職種連携は「仲が良いこと」ではない

多職種連携というと、

「職場の雰囲気が良い」
「仲が良い」

ことを想像する人もいます。

もちろん関係性は大切です。

しかし、本質はそこではありません。

重要なのは、

患者さんのために必要なことを言える関係性

です。

例えば、

「この腎機能なら投与量確認した方が良いかもしれません」

「この薬、眠気が強く転倒リスクがあるかもしれません」

「服薬状況に少し気になる点があります」

こうした意見を、

立場に関係なく言えること。

それが本当の多職種連携ではないでしょうか。


心理的安全性が低いと何が起こる?

心理的安全性が低い環境では、

人は発言を控えるようになります。

例えば、

「忙しそうだからやめておこう」

「機嫌が悪そう」

「前に嫌な顔をされた」

「薬剤師が口を出しすぎと思われそう」

こうした気持ちから、

本来必要な確認が減ります。

すると、

“言えなかった違和感”

が積み重なります。

そしてそれが、

医療安全リスクにつながることがあります。


病院薬剤師だからこそ見えることがある

薬剤師は、

処方内容、相互作用、副作用、投与量など、

患者さんを“薬”の視点から見ています。

だからこそ、

他職種とは異なる気づきがあります。

しかし、

「言いづらい空気」

があると、その専門性を活かせません。

逆に、

心理的安全性が高いチームでは、

「少し気になるので相談です」

と言いやすくなります。

これは患者安全に直結します。


医師・看護師・薬剤師の間にある“壁”

病院では、

職種間の遠慮や上下関係が存在することがあります。

たとえば、

  • 医師に聞きにくい

  • 看護師へ伝えづらい

  • 薬剤師の意見が言いづらい

こうした壁があると、

確認不足や情報共有不足が起こります。

しかし、

重要なのは、

“誰が言ったか”ではなく“何を言ったか”

です。

患者さんにとって有益な情報なら、

職種を超えて共有されるべきだと思います。


病院薬剤師として意識したいこと

1.まず相手を尊重する

連携は、

正しさだけでは成り立ちません。

相手の忙しさや立場を理解し、

伝え方を工夫することも大切です。

例えば、

「先生、この患者さんですが少し相談良いですか?」

「看護師さん、念のため確認です」

など、

対立ではなく協働の姿勢を意識する。


2.相談しやすい雰囲気をつくる

薬剤部内でも同じです。

他職種から相談された時、

「また?」
「忙しい」

という態度では相談は減ります。

まずは、

「相談ありがとうございます」

という姿勢が心理的安全性につながります。


3.違和感を言葉にする

完璧な確信がなくても、

「少し気になっています」

と共有する。

小さな違和感が、

大きな事故を防ぐことがあります。


現場で感じること

病院で働いていると、

「言ってくれて助かった」

経験があります。

一方で、

「もっと早く相談できていたら」

と思う場面もあります。

医療安全は、

個人プレーでは守れません。

多職種が、

安心して相談できる関係性。

それを支えているのが、

心理的安全性

なのだと思います。


まとめ

多職種連携とは、

仲良くすることだけではありません。

患者さんのために、

必要な意見を安心して言えること。

その土台にあるのが、

心理的安全性

です。

「少し気になる」
「念のため確認したい」

そんな小さな声を大切にできる職場ほど、

安全な医療につながるのではないでしょうか。

病院薬剤師として私自身も、

“相談しやすい薬剤師”

でありたいと思っています。

皆さんの職場では、多職種間で安心して意見を言えていますか?



関連記事は、

  • 心理的安全性と医療安全
  • ハラスメントと心理的安全性
  • 報告できない空気
  • 新人が質問できない職場
  • インシデント報告と心理的安全性

2026年6月2日火曜日

インシデント報告が多い職場は危険?|病院薬剤師が考える心理的安全性と医療安全


はじめに

皆さんの職場では、

「インシデント報告が多い部署」

にどのような印象を持つでしょうか。

「ミスが多い職場なのかな」
「安全意識が低いのでは?」

そんな印象を持つ人もいるかもしれません。

しかし、病院薬剤師として医療現場で働いていると、

“インシデント報告が多い=危険”

とは一概に言えないと感じます。

むしろ、

“報告が出てこない職場”

の方が心配になることがあります。

今回は、

インシデント報告と心理的安全性の関係

について考えてみたいと思います。


この記事でわかること

この記事では、

・インシデント報告が多い職場の見方
・報告が少ない職場に潜むリスク
・心理的安全性との関係
・病院薬剤師として意識したいこと

について考えていきます。


インシデント報告が多い=危険な職場?

一見すると、

「報告が多い=事故が多い」

ように感じます。

確かに、重大事故が頻発しているなら問題です。

しかし、

ヒヤリ・ハットや軽微なインシデントまで積極的に共有されている職場は、

“気づきを言える職場”

とも考えられます。

例えば、

  • 投与量の違和感

  • 配薬時の気づき

  • 処方確認の迷い

  • 持参薬確認時のヒヤリ

こうした“小さな気づき”が共有されることで、

大きな事故を未然に防ぐことがあります。

医療安全では、個人を責めるよりも「なぜ起きたか」を共有し再発防止につなげる考え方が重視されています。


本当に怖いのは「報告されない職場」

一方で、

報告件数が極端に少ない職場は安全なのでしょうか。

実は、

“報告しづらい空気”

がある可能性があります。

例えば、

「報告すると怒られる」
「またミス?と思われそう」
「面倒だからやめよう」

こうした空気があると、

本来共有されるべきリスクが埋もれます。

心理的安全性が低い環境では、エラーや違和感を共有しづらくなり、学習機会が失われやすいことが指摘されています。


インシデント報告は「犯人探し」ではない

ここは非常に重要です。

インシデント報告は、

“誰が悪いか”

を決めるためではありません。

本来は、

“どうすれば次に防げるか”

を考えるためのものです。

例えば、

個人責任思考

「確認不足だった」

で終わる。

システム思考

  • なぜ確認できなかったのか

  • 手順は複雑ではなかったか

  • 人員配置や忙しさは影響したか

  • ダブルチェックの仕組みは適切か

を考える。

こうした視点が医療安全につながります。


心理的安全性が高い職場で起こること

心理的安全性が高い職場では、

次のような特徴があります。

「これ確認した方がいいかも」が言える

「少し不安です」と相談できる

「実はヒヤッとしました」を共有できる

つまり、

“小さな声が出てくる”

のです。

そして、

その小さな声こそが、

大きな事故を防ぐヒントになります。


病院薬剤師として意識したいこと

1.報告してくれたことを評価する

インシデント報告を受けた時、

最初の反応が重要です。

×「何でこんなことしたの?」

ではなく、

○「共有ありがとう」
○「報告助かる」

この違いが次の報告につながります。


2.小さな気づきを歓迎する

重大事故だけでなく、

“違和感”も共有する文化をつくる。

「これくらい大丈夫かな」

を拾える組織ほど強いと感じます。


3.責めるより改善を考える

人は誰でもミスをします。

だからこそ、

責任追及より再発防止

を重視する姿勢が大切です。


現場で感じること

病院で働いていると、

「その時に言ってくれていたら防げた」

と思うことがあります。

一方で、

「共有してくれたおかげで防げた」

経験もあります。

医療安全は、

完璧な人が支えているのではなく、

小さな気づきを言い合えるチーム

が支えているのだと思います。


まとめ

インシデント報告が多い職場は、

必ずしも危険な職場ではありません。

むしろ、

安心して報告できる文化

があるのかもしれません。

本当に怖いのは、

“何も起こっていないように見える職場”

です。

心理的安全性が高く、

誰でも違和感を言える。

小さなミスから学べる。

そんな職場こそ、

安全な医療現場なのではないでしょうか。

病院薬剤師として私自身も、

「報告して良かった」と思われる関わり方

を意識したいと思っています。

皆さんの職場では、インシデントを安心して共有できますか?



2026年6月1日月曜日

新人が質問できない職場は危険?|病院薬剤師が考える心理的安全性と医療安全

 

はじめに

新人教育において、

「分からないことがあれば聞いてね」

という言葉はよく聞きます。

しかし実際には、

「聞きにくい」
「忙しそう」
「こんなこと聞いて怒られないかな」

と悩みながら働く新人は少なくありません。

病院薬剤師として働いていると、

“質問できない空気”

が、医療安全に大きく関わると感じる場面があります。

今回は、

新人が質問できない職場の危険性

について、病院薬剤師という立場から考えてみたいと思います。


この記事でわかること

この記事では、

・新人が質問できない理由
・質問しにくい職場で起こる問題
・心理的安全性との関係
・病院薬剤師としてできる工夫

について考えていきます。


新人が質問できないのは“やる気不足”ではない

新人が質問しないと、

「積極性が足りない」
「もっと聞けばいいのに」

と思ってしまうことがあります。

しかし、実際にはそう単純ではありません。

新人ほど、

  • 怒られたくない
  • 迷惑をかけたくない
  • 忙しい先輩の邪魔をしたくない
  • “できない人”と思われたくない

という気持ちを抱えています。

つまり、

質問しないのではなく、“質問できない”

状態であることがあります。


医療現場では「聞かなかった」が事故につながる

一般企業なら、

多少のミスは後から修正できるかもしれません。

しかし医療では、

確認不足が患者さんの不利益につながります。

例えば、

「この用量で合っている?」

「配合変化は問題ない?」

「持参薬との重複は?」

「投与速度は大丈夫?」

本来なら、

一言相談すれば防げることがあります。

しかし、

「今は聞きづらい」

と思ってしまうと、その確認が抜けます。

結果として、

“質問できない空気”が医療安全リスクになる

ことがあります。


なぜ新人は質問できなくなるのか?

1.強い否定を経験した

たとえば、

「前にも言ったよね?」
「そんなことも分からないの?」

と言われた経験。

言った側は指導のつもりでも、

受け手は、

“次から聞くのをやめよう”

と感じることがあります。

これは心理的安全性を大きく下げます。


2.忙しそうで声をかけられない

薬剤部は忙しいです。

調剤、病棟、DI、持参薬、疑義照会…。

新人ほど、

「今話しかけていいのかな」

と遠慮します。

だからこそ、

先輩側から

“聞いていい雰囲気”

を作る必要があります。


3.完璧を求めすぎる文化

「1回で覚えて当然」
「新人でもミスは許されない」

という空気は、

新人を萎縮させます。

もちろん医療安全上、確認は重要です。

しかし、

成長途中であることを前提にした支援

も必要です。


病院薬剤師として意識したいこと

1.質問を歓迎するリアクション

新人から質問が来た時、

最初の反応が重要です。

×「今?」
×「何回目?」

ではなく、

○「確認ありがとう」
○「聞いてくれて助かる」

この積み重ねが、

次の相談につながります。


2.“聞いていい”を言葉にする

「いつでも聞いて」

だけでは不十分なことがあります。

例えば、

「最初は分からなくて当然」
「迷ったらすぐ聞いて」
「確認する方が安全だから」

と言葉にして伝える。

これだけでも安心感が変わります。


3.こちらから声をかける

新人ほど、

困っていても言い出せません。

だからこそ、

「困ってない?」
「今のところ大丈夫?」

と声をかける。

小さなコミュニケーションが心理的安全性につながります。


現場で感じること

病院で働いていると、

「なぜ聞かなかったの?」

と思う場面があります。

しかし振り返ると、

“聞けなかった背景”

があることも少なくありません。

一方で、

「確認してくれてありがとう」

という一言が、

新人の安心につながり、

結果として医療安全につながった経験もあります。

新人教育は、

知識を教えるだけではなく、

“安心して質問できる環境をつくること”

も大切なのだと思います。


まとめ

新人が質問できない職場は、

教育上の問題だけでなく、

医療安全上の問題

でもあります。

質問できない空気は、

確認不足につながり、

患者さんへの影響につながることもあります。

だからこそ、

心理的安全性が重要です。

新人が安心して質問できる。

先輩が相談を歓迎する。

迷ったら確認できる。

そんな職場こそ、

安全な医療現場なのではないでしょうか。

病院薬剤師として私自身も、

「質問しやすい先輩」

でありたいと思っています。

皆さんの職場では、新人が安心して質問できていますか?



「関連記事」

2026年5月31日日曜日

なぜ医療現場で“報告できない空気”が生まれるのか?|病院薬剤師が考える心理的安全性と医療安全

 

はじめに

医療安全において、

「報告・連絡・相談(報連相)」

の重要性はよく言われます。

しかし実際の現場では、

「これくらいなら言わなくてもいいか」
「怒られそうだから後にしよう」
「忙しそうだから今はやめておこう」

と、報告をためらってしまうことはないでしょうか。

病院で働いていると、

“言えなかったこと”が後から問題になる

場面に出会うことがあります。

そしてその背景には、多くの場合、

心理的安全性の低さ

があります。

今回は、病院薬剤師という立場から、

なぜ医療現場で“報告できない空気”が生まれるのか

について考えてみたいと思います。


この記事でわかること

この記事では、

・報告できない空気が生まれる理由
・心理的安全性との関係
・医療安全への影響
・病院薬剤師としてできる工夫

について考えていきます。


「報告しない人」が悪いのか?

問題が起こると、

「なぜ報告しなかったのか」

という話になります。

もちろん、報告は重要です。

しかし、

“報告できない環境”

がある場合も少なくありません。

例えば、

  • 報告すると強く叱責される
  • ミスを責められる
  • 嫌味を言われる
  • 「また?」という態度を取られる

こうした経験が積み重なると、人は徐々に話さなくなります。

つまり、

個人の問題ではなく、組織文化の問題

でもあるのです。


医療現場でよくある「言えない理由」

1.怒られそうだから

最も多い理由かもしれません。

「前に強く言われた」
「怖い先輩がいる」
「機嫌が悪そう」

そんな理由で相談を躊躇することがあります。

しかし、

医療では“確認不足”が患者さんの不利益につながります。

本来は、

“怒られるリスク”より“患者安全”が優先

されるべきです。


2.忙しそうだから

医療現場は忙しいです。

薬剤部も例外ではありません。

「今聞くのは悪いかな」
「落ち着いてからにしよう」

と思っているうちにタイミングを逃す。

これは誰にでも起こり得ます。

だからこそ、

忙しい時ほど、

「何かあれば言ってね」

という空気づくりが重要になります。


3.自分のミスを認めたくない

人は誰でも失敗を隠したくなります。

これは自然な心理です。

特に、

「責められる文化」

では、その傾向が強まります。

しかし、

インシデント報告は、

犯人探しではなく再発防止

のためにあります。

ここを組織全体で共有する必要があります。


“報告できない空気”が生むリスク

小さな違和感を言えない職場では、

大きな事故が起こりやすくなります。

例えば、

  • 疑義照会の迷い
  • 投与量への違和感
  • アレルギー歴確認不足
  • 配薬時の気づき

本来なら、

「ちょっと確認したい」

の一言で防げることがあります。

しかし、

相談しにくい空気があると、

その一言が消えます。

そして、

“沈黙”がインシデントにつながる

ことがあります。


病院薬剤師として意識したいこと

1.相談しやすいリアクションをする

誰かが相談してきた時、

最初の反応が重要です。

×「何で今?」
×「そんなことも分からない?」

ではなく、

○「相談ありがとう」
○「確認してくれて助かる」

この積み重ねが心理的安全性になります。


2.ミスより背景を考える

「誰が悪いか」

ではなく、

「なぜ起こったか」

を考える。

忙しさ、人員、手順、環境など、

背景に目を向けることで再発防止につながります。


3.自分から声をかける

新人や若手ほど、

自分から相談しにくいことがあります。

だからこそ、

「困ってない?」
「何か気になることある?」

と声をかけることが重要です。


現場で感じること

病院で働いていると、

「もっと早く相談してくれたら防げた」

と思う場面があります。

一方で、

「確認してくれてありがとう」

の一言が、次の相談につながった経験もあります。

医療安全は、

立派な制度だけでは守れません。

日々の小さな会話、

相談しやすい空気、

安心して報告できる関係性。

そうした積み重ねが、

患者安全につながっているのだと思います。


まとめ

報告できない空気は、

個人の問題ではなく、

組織文化の問題

でもあります。

そして、その背景には、

心理的安全性

があります。

誰でも安心して相談できる。

ミスを隠さず共有できる。

違和感を声に出せる。

そんな職場こそ、

本当に安全な医療現場なのではないでしょうか。

病院薬剤師として私自身も、

「相談しやすい人」

でありたいと思っています。

皆さんの職場では、安心して報告できる空気がありますか?



関連記事

  • 心理的安全性と医療安全
  • ハラスメントと心理的安全性
  • 2026年5月30日土曜日

    病院薬剤師が考える「ハラスメント」と心理的安全性|安心して働ける職場のために

     

    はじめに

    近年、医療現場でも「ハラスメント」という言葉を耳にする機会が増えました。

    パワーハラスメント、モラルハラスメント、カスタマーハラスメントなど、職場を取り巻く問題として注目されています。

    一方で、医療現場では、

    「指導との違いが難しい」
    「厳しく言わないと医療安全上困る」
    「忙しくて余裕がない」

    という現実もあります。

    病院薬剤師として働いていると、

    “安全を守る厳しさ”と“人を傷つける言動”の境界

    について考える場面があります。

    そして最近感じるのは、

    ハラスメントと心理的安全性は密接につながっている

    ということです。

    今回は、「病院薬剤師」という立場から、ハラスメントと心理的安全性について考えてみたいと思います。


    この記事でわかること

    この記事では、

    ・ハラスメントと指導の違い
    ・心理的安全性との関係
    ・病院職場で起こりやすい問題
    ・病院薬剤師として意識したいこと

    について、現場目線で考えていきます。


    心理的安全性とは何か?

    心理的安全性とは、

    「安心して意見を言える状態」

    のことです。

    たとえば、

    • 分からないことを質問できる
    • ミスを隠さず相談できる
    • 違和感を安心して伝えられる
    • 他職種にも意見を言える

    こうした状態が保たれている職場では、医療安全も高まりやすくなります。

    一方で、

    「怒られるかもしれない」
    「否定されそう」
    「また嫌味を言われる」

    そんな空気があると、人は黙ります。

    そして沈黙は、時に患者安全を脅かします。


    ハラスメントは心理的安全性を壊す

    ハラスメントが起こる職場では、心理的安全性が低下します。

    たとえば、

    「こんなことも分からないの?」

    「前にも言ったよね?」

    「考えたら分かるでしょ」

    こうした言葉。

    言った側は、

    「教育のつもり」
    「成長してほしい」

    と思っている場合もあります。

    しかし、受け手は、

    “次から聞けなくなる”

    ことがあります。

    すると、

    • 質問しない
    • 報告しない
    • ミスを隠す
    • 違和感を言えない

    という悪循環が生まれます。

    これは結果として、

    医療安全リスク

    につながります。


    「厳しい指導」とハラスメントの違い

    ここは非常に難しい部分です。

    医療では、時に厳しい指導も必要です。

    患者さんの命に関わる場面では、

    「それは危険」
    「この確認は必須」

    と明確に伝える必要があります。

    しかし、違いは、

    “相手を成長させる目的か、傷つける言動か”

    だと思います。

    例えば、

    指導

    「この確認が抜けると患者さんへ影響が出るから、次はここを意識しよう」

    → 行動改善に向いている

    ハラスメント的言動

    「何年目?信じられない」

    → 人格否定に近い

    重要なのは、

    問題行動を指摘するのであって、人を否定しないこと

    ではないでしょうか。


    医療現場で起こりやすい“グレーゾーン”

    病院では、忙しさや緊張感から、意図せず強い言葉になることがあります。

    特に、

    • 忙しい時間帯
    • 人手不足
    • インシデント直後
    • 多職種との認識ズレ

    などでは感情が強く出やすくなります。

    だからこそ、

    「自分の言葉が相手にどう届くか」

    を意識することが重要です。

    私自身も振り返ると、

    「もっと言い方があったかもしれない」

    と反省することがあります。

    完璧な人はいません。

    だからこそ、お互いに改善していける職場が必要なのだと思います。


    病院薬剤師として意識したいこと

    1.まず相談してくれたことを評価する

    たとえ内容が初歩的でも、

    「相談ありがとう」
    「確認してくれて助かる」

    という姿勢を持つ。

    これだけでも心理的安全性は大きく変わります。


    2.人格ではなく行動にフォーカスする

    「あなたはダメ」

    ではなく、

    「この確認が抜けていた」

    と行動に焦点を当てる。

    これが指導とハラスメントを分けるポイントだと思います。


    3.自分も間違う前提を持つ

    経験を積むと、

    「自分は正しい」

    と思いやすくなります。

    しかし、医療は複雑です。

    ベテランでも見落とします。

    だからこそ、

    誰でも意見を言える職場

    が必要です。


    現場で感じること

    病院で働いていると、

    「もっと早く相談してくれたら防げた」

    という場面があります。

    一方で、

    「言いやすい関係性だったから事故を防げた」

    経験もあります。

    結局のところ、

    心理的安全性は“優しさ”ではなく、医療安全の土台

    なのだと思います。

    そしてハラスメントは、その土台を崩します。

    だからこそ、

    「言い方」
    「伝え方」
    「受け止め方」

    を組織全体で考えていく必要があるのではないでしょうか。


    まとめ

    ハラスメントと心理的安全性は、切り離せないテーマです。

    心理的安全性が低い職場では、質問・報告・相談が減り、医療安全にも影響します。

    一方で、

    厳しさ=悪

    ではありません。

    大切なのは、

    患者安全を守るために、安心して意見を言える環境をつくること

    だと思います。

    病院薬剤師として私自身も、

    「相談しやすい人」「話しかけやすい人」

    でありたいと思っています。

    皆さんの職場では、安心して相談できる空気がありますか?



    「関連記事」

    「心理的安全性と医療安全についてはこちら」