「あの患者さんに嫌われた気がする」「あのスタッフから距離を置かれている」——そんな不安を感じたことはありませんか?今回は「2:6:2の法則」で、嫌われることへの恐れから楽になる考え方を解説します。
2:6:2の法則とは
「2:6:2の法則」とは、どんな人でも:
- 自分のことを好きな人:2割
- どっちでもない人:6割
- 自分のことを嫌いな人:2割
に分かれるという法則です。
これはパレートの法則から派生した考え方で、組織のエンゲージメントにも当てはまります。
働きアリの例
働きアリのコロニーを観察すると、こんな現象が起きます。
- 全力で働く2割のアリが8割の食料を集める
- よく働くアリと普通に働くアリとサボるアリの割合は2:6:2になる
- よく働くアリだけを集めても、一部がサボり始め、やはり2:6:2になる
- サボっているアリを排除しても、残りの中の2割がサボり始める
これは自然の法則です。どんな集団でも必ず2:6:2に分かれます。
医療現場への応用
患者さんへの応用:
どんなに誠心誠意服薬指導をしても、2割の患者さんはあなたのことを「合わない」と感じます。6割は「普通」と感じ、2割は「この薬剤師さんが好き」と感じます。
「あの患者さんに嫌われた」と感じても、それは「2割の法則」の中に入っただけかもしれません。
スタッフへの応用:
どんなに良いマネジメントをしても、2割のスタッフは意欲的に、6割は普通に、2割はなかなか動かないという構造は変わりません。
「なんでこのスタッフは動かないのか」と悩むより、「6割の普通のスタッフにどう関わるか」に注力する方が組織全体のパフォーマンスが上がります。
「嫌われても良い」ではなく「嫌われることを過度に恐れない」
誤解しないでほしいのですが、「嫌われてもいい」と開き直るわけではありません。
患者さんに好かれようとする努力は大切です。コミュニケーションを磨き、信頼関係を作る努力を続けることは重要です。
ただ、「全員に好かれないといけない」という思い込みが、かえって不自然なコミュニケーションを生み出すことがあります。
「嫌われないように必死になる」より「自分らしくある」方が、長期的には多くの患者さん・スタッフとの良い関係につながります。
応援してくれる人と過ごす
2:6:2の法則から学べるもう一つの視点:
一つの選択肢を選んだ時、ある人は喜び、ある人は文句を言い、ある人は悲しみます。
それぞれで良い。全員を満足させようとするより、応援してくれる人・一緒に歩んでくれる人と時間を過ごす方が、自分の力が最大限に発揮できます。
医療従事者としても、全員の患者さんに「好かれよう」とするより、「目の前の患者さんを最大限にサポートする」ことに集中する方が、結果として多くの患者さんとの良い関係が生まれます。
コーチングと2:6:2の法則
コーチングを学んで実践する中で、こんなことが起きます。
「コーチングを使っているのに、この患者さんには全然響かない」
それは2割の中に入ったのかもしれません。
すべての患者さんにコーチングが機能するわけではありません。刺さる2割に丁寧に関わり、6割にはコーチングマインドを持ちながら普通の服薬指導をする——これが現実的な運用です。
まとめ
- 2:6:2の法則:どんな人でも「好き2割・どっちでも6割・嫌い2割」に分かれる
- これは自然の法則で、変えることはできない
- 「全員に好かれないといけない」という思い込みを手放す
- 自分らしくあることが、長期的には多くの良い関係につながる
- コーチングも2割に深く刺さり、6割に薄く届き、2割には響かないこともある
次回は「経験学習サイクル:経験を成長につなげるコルブ理論」を解説します。
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