2026年8月4日火曜日

創傷被覆材の選び方:ハイドロサイト・デュオアクティブ・カルトスタット【褥瘡・NSTシリーズ⑪】

 褥瘡治療では外用剤に加えて「創傷被覆材(ドレッシング材)」が重要な役割を果たします。多くの種類があって迷いやすい創傷被覆材の選び方を、浸出液量を軸に整理して解説します。


創傷被覆材とは

創傷被覆材(ドレッシング材)とは、褥瘡・創傷の創面を覆うための医療材料です。

従来の「ガーゼ+消毒」による乾燥療法に代わり、モイストウンドヒーリング(湿潤療法)を実践するためのツールとして普及しました。


ドレッシングの4分類

創傷被覆材は「開放性/閉鎖性」×「ウェット/ドライ」の2軸で4分類できます。

Ⅰ.開放性ウェットドレッシング 食品用フィルム・持続陰圧閉鎖療法(VAC療法)など

Ⅱ.開放性ドライドレッシング 乾燥ガーゼ(現在では推奨されない方法)

Ⅲ.閉鎖性ウェットドレッシング(主流) ポリウレタンフィルム・ポリウレタンフォーム・ハイドロコロイド・軟膏ガーゼなど

Ⅳ.閉鎖性ドライドレッシング カデックス・ユーパスタなど浸出液を吸収・脱水するタイプ


浸出液量で選ぶ:吸収能力別分類

創傷被覆材の選択で最も重要な指標は「浸出液の量」です。

浸出液吸収能力:低いもの(浸出液が少ない創向け)

  • テガダーム・パーミロール(ポリウレタンフィルム)
  • ラップ(食品用フィルム)

浸出液吸収能力:中程度

  • ハイドロサイト薄型(ポリウレタンフォーム)
  • デュオアクティブET(ハイドロコロイド)
  • アブソキュアサジカル

浸出液吸収能力:高いもの

  • ハイドロサイトADジェントル
  • アブソキュアウンド
  • カルトスタット(アルギン酸塩)
  • アクアセル(ハイドロファイバー)

浸出液吸収能力:最も高いもの

  • 尿とりパッド・紙おむつ(代用として使用されることもある)

主要な創傷被覆材の特徴

テガダーム・パーミロール(ポリウレタンフィルム)

特徴:透明で薄く、水蒸気は通すが細菌・水は遮断する

使用場面:

  • ステージⅠ褥瘡(不可逆的な発赤)
  • 骨突出部の摩擦・ずれ防止(予防的使用)
  • 浸出液のない浅い創の保護

デュオアクティブET(ハイドロコロイド)

特徴:浸出液を吸収してゲル化し、湿潤環境を維持する

使用場面:

  • ステージⅡ褥瘡(水泡・びらん)
  • 浸出液が少〜中等度の浅い創

注意:感染創・深い創への使用は避ける


ハイドロサイト・ハイドロサイトADジェントル(ポリウレタンフォーム)

特徴:スポンジ状で浸出液を効率よく吸収・保持する

使用場面:

  • ハイドロサイト薄型:浸出液が少ないステージⅡ、上皮形成期
  • ハイドロサイトADジェントル:浸出液が多いステージⅡ〜Ⅲ
  • 赤色期(肉芽増殖期)の浸出液管理

カルトスタット(アルギン酸塩)

特徴:海藻由来のアルギン酸塩が浸出液を吸収してゲル化。止血作用もある

使用場面:

  • 皮下に至る創(ステージⅢ)
  • 肉芽増殖期
  • 浸出液が多い創
  • 止血が必要な創

アクアセル(ハイドロファイバー)

特徴:繊維状のハイドロコロイドが浸出液を吸収し、ゲル状のシートになる

使用場面:

  • 皮下組織に至る創
  • 黄色壊死期後半〜肉芽増殖期〜表皮形成期
  • 浸出液が中〜多い創

グラニュゲル(ハイドロゲル)

特徴:水分を多く含むゲル。乾燥した壊死組織を軟化させる

使用場面:

  • 皮下に至る創
  • 壊死組織(特に乾燥した黒色壊死)の軟化・除去

創傷被覆材の使い方の実際

創傷被覆材の選択は「試してみながら調整する」というアプローチが現実的です。

① まず貼ってみる(創の状態から最適と思われるものを選択)

② 翌日の浸出液の量・性状を観察する 

③ 浸出液がにじみ出ているようなら、同じ被覆材を重ねるか、一段階上の浸出液吸収能力を持つ被覆材を使用 

④ ②・③の繰り返しで最適な被覆材を見つける


ステージ別・創傷被覆材選択マニュアル

ステージⅠ(不可逆的発赤) → テガダーム・パーミロール(摩擦・ずれ防止)、アズノール軟膏

ステージⅡ(水泡・びらん)

  • 水泡 → デュオアクティブET・アズノール
  • びらん → デュオアクティブET・アズノール
  • 浸出液が多い → ハイドロサイトADジェントル
  • 上皮形成期(白色) → アクトシン・ハイドロサイト薄型

ステージⅢ・Ⅳ(黄色期・黒色期・赤色期)

  • 黄色期(壊死・感染なし) → ブロメライン軟膏
  • 黒色期(感染あり・浸出液少) → ゲーベンクリーム
  • 黒色期(感染あり・浸出液多) → ネグミンシュガー・カデックス
  • 赤色期(肉芽形成中・深い) → フィブラストスプレー
  • 赤色期(浸出液中) → ハイドロサイトADジェントル

まとめ

  • 創傷被覆材の選択軸は「浸出液量」
  • 少ない → フィルム・ハイドロコロイド
  • 中程度 → ポリウレタンフォーム(ハイドロサイト)
  • 多い → アルギン酸塩(カルトスタット)・ハイドロファイバー(アクアセル)
  • まず貼って翌日に評価し、調整するアプローチが現実的
  • 外用剤と組み合わせて使用する

次回は「褥瘡と栄養の深い関係:NST専門療法士の視点から」を解説します。


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