2026年8月3日月曜日

褥瘡に使う外用剤を徹底解説:ゲーベン・ネグミンシュガー・ブロメライン・アクトシン【褥瘡・NSTシリーズ⑩】

 褥瘡治療で使われる外用剤(塗り薬)は多種多様で、病期によって使い分けが必要です。薬剤師として正しく知っておくべき「褥瘡の外用剤」を病期別に解説します。


褥瘡外用剤の選択原則

外用剤の選択は「創の状態(病期)」と「浸出液の量」の2軸で考えます。

  • 黒色期・黄色期(壊死・感染)→ 壊死除去・感染コントロール系
  • 赤色期(肉芽増殖)→ 肉芽形成促進系
  • 白色期(上皮形成)→ 上皮化促進系

加えて浸出液が多い創か少ない創かによっても選択が変わります。


病期別外用剤一覧

黒色期・黄色期(壊死除去・感染コントロール)

ゲーベンクリーム(スルファジアジン銀)

作用機序:細胞膜・細胞壁に作用する抗菌作用により、細菌感染の防御

特徴・注意事項:

  • 幅広い抗菌作用(細菌・真菌)を示し、耐性菌の出現が少ない
  • 壊死組織が浸軟(軟化)してデブリードマンが行いやすくなる
  • 浸出液の多い創には不適(浸出液を吸収しない)
  • 多量に使用する場合は腎機能に注意が必要
  • 水溶性のため使用後の疼痛に注意

使用病期:感染創・黒色壊死(感染あり)


ネグミンシュガー(白糖・ポビドンヨード配合剤)

作用機序:ポビドンヨードの殺菌作用 × 白糖による浸出液吸収作用 × 肉芽促進作用

特徴・注意事項:

  • 感染のコントロールに優れている
  • ヨードアレルギーには使用不可
  • 甲状腺機能異常の患者には慎重投与
  • 浮腫を伴う創・浸出液の多い創に適する
  • 浸出液の少ない創に使用すると創を乾燥させすぎることがある

使用病期:感染期・黄色期(浸出液多め)


カデックス(ポビドンヨード・白糖配合のより強力なタイプ)

ネグミンシュガーと同成分ですが、白糖の濃度が高く浸出液吸収能力が強い製剤です。浸出液が非常に多い感染創に使用します。


黒色期(壊死組織除去)

ブロメライン軟膏(ブロメライン)

作用機序:パイナップルから抽出したタンパク分解酵素による壊死組織の自己融解促進

特徴・注意事項:

  • 創周囲の正常皮膚に付着すると、発赤や痛みが生じることがある(創周囲を保護する)
  • 水溶性基剤のため、ある程度浸出液が多い創にも使用できる
  • 感染のある褥瘡には不適(感染コントロールが先)

使用病期:感染のない黒色壊死期(壊死組織の自己融解を促したい場合)


赤色期(肉芽形成促進)

フィブラストスプレー(トラフェルミン)

作用機序:bFGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)により肉芽形成を促進

特徴・注意事項:

  • 噴霧型で使いやすい
  • 深い褥瘡(ステージⅢ・Ⅳ)の肉芽形成促進に有効
  • 浸出液が多い場合は吸水性の被覆材と組み合わせる
  • 悪性腫瘍に近い部位には使用しない

使用病期:赤色期(良性肉芽が形成されてきた段階)


アクトシン軟膏(ブクラデシンナトリウム)

作用機序:細胞内cAMPを増加させ、肉芽形成と上皮化を促進

特徴・注意事項:

  • 肉芽形成促進と表皮形成促進の両方に効果
  • 浸出液が少〜中等度の創に適する
  • 感染が強い創への使用は避ける

使用病期:赤色期〜白色期


病期別・外用剤選択まとめ表

病期浸出液量推奨外用剤
黒色期(感染なし・壊死)多めブロメライン軟膏
黒色期(感染あり)多めゲーベンクリーム、ネグミンシュガー
黄色期(感染・浸出液多)多いネグミンシュガー、カデックス
黄色期(感染・浸出液少)少ないゲーベンクリーム
赤色期(肉芽形成)中〜多フィブラストスプレー、アクトシン
白色期(上皮形成)少ないアクトシン、アズノール

薬剤師としての関わり方

褥瘡の外用剤処方に際して、薬剤師ができることは:

①処方された外用剤が病期・浸出液量と合っているか確認する

例:「浸出液が少ない創にネグミンシュガーが処方されている → 創が乾燥しすぎる可能性、創の状態確認を医師に確認」

②外用剤の副作用・禁忌を確認する

例:「ヨードアレルギー歴がある患者にネグミンシュガー → 疑義照会」

③スタッフへの外用剤に関する情報提供・指導

処置を行う看護師・介護士への正確な使用方法・注意事項の指導


まとめ

  • 褥瘡外用剤は「病期」×「浸出液量」で選択する
  • ゲーベン:幅広い抗菌・デブリ補助。浸出液多い創は不適
  • ネグミンシュガー:殺菌+浸出液吸収+肉芽促進。ヨードアレルギー禁忌
  • ブロメライン:タンパク分解酵素。感染なし壊死期に使用
  • フィブラスト・アクトシン:肉芽形成〜上皮化促進
  • 薬剤師は処方の適切性確認・副作用チェック・スタッフ指導で貢献できる

次回は「創傷被覆材の選び方:ハイドロサイト・デュオアクティブ・カルトスタット」を解説します。


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