2018年7月17日火曜日

■薬の相互作用とは!?

 薬と薬の飲み合わせのことで、薬が効きすぎて副作用が出やすくなったり、逆に薬が効かなくなったりすることです。また、薬と薬だけでなく、薬と飲食物、嗜好品等でも、薬の作用が強くなったり弱くなったりすることもあります。


■薬×薬(吸収)
・テトラサイクリン系抗生物質(ミノマイシン)
 ×制酸薬(マーロックス、アルサルミン)
→キレートを形成し、ミノマイシンが吸収されなくなるため、作用しなくなる。


■薬×薬(分布)
・抗血栓薬(ワルファリンカリウム)×消炎鎮痛剤(アスピリン)
→アスピリンが血液中のアルブミンと結合してしまうため、遊離型のワルファリンカリウムが増えてしまい、ワルファリンカリウムの抗血栓作用が強く出てしまう。


■薬×薬(代謝)
・気管支拡張薬(テオフィリン)
 ×マクロライド系抗生物質(エリスロマイシン)
→同じ薬物代謝酵素によって代謝される薬同士であるため、お互いの代謝を阻害し、血中濃度が上がり、テオフィリンの作用が強く出てしまう。


■薬×薬(排泄)
・血糖降下薬(クロルプロパミド)×尿酸降下薬(プロベネシド)
・血糖降下薬(クロルプロパミド)×消炎鎮痛剤(フェニルブタゾン)
・抗生物質(ペニシリン、セフェム系)
 ×尿酸降下薬(プロベネシド)
→フェニルブタゾン、プロベネシドにより尿中への排泄が阻害され、血中に長く留まることで、クロルプロパミド、抗生物質の作用が強く出てしまう。


■薬×飲食物(グレープフルーツジュース)
・免疫抑制薬(シクロスポリン、タクロリムスなど)
・降圧剤(ニフェジピンなどのジヒドロピリジン系Ca拮抗剤)
・血管拡張剤(シルデナフィル)
・抗てんかん剤(カルバマゼピン)
・高脂血症治療薬(シンバスタチンなど)
・睡眠薬(ゾピクロン)
・麻酔薬(ミダゾラムなど)
→グレープフルーツジュースに含まれるフラノクマリンによって、
 薬の代謝が抑制され、血中濃度が上昇することがある。


■薬×飲食物(納豆・青汁・クロレラ)
・抗血栓薬(ワルファリンカリウム)
→納豆・青汁・クロレラに含まれるビタミンKが、ワルファリンなどのビタミンK依存性凝固因子の生合成阻害作用と拮抗することにより、ワルファリンの抗凝固作用が抑制されることがある。


■薬×飲食物(アルコール)
・睡眠薬(トリアゾラム、ブロチゾラムなどのBZ系睡眠薬)
→薬の受容体との結合を促進し、睡眠作用を増強することがある。

・抗生物質(セフェム系)
・抗寄生虫薬(メトロニダゾール)
・血糖降下薬(インスリン、トルブタミド、グリベンクラミドなどのSU剤)
→顔面紅潮、嘔気などを起こすことがある。


■薬×飲食物(コーヒー、紅茶)
・気管支拡張薬(テオフィリンなど)
・抗精神病薬(クロザピン)
→カフェインによって薬の代謝が抑制され、血中濃度が上昇することがある。

・気分安定薬(炭酸リチウム)
→リチウムの腎排泄を促進し、血中濃度が低下することがある。


■薬×飲食物(牛乳)
・テトラサイクリン系抗生物質(ミノマイシン)
→牛乳中のCaによって消化管からの吸収が低下し、作用が弱まることがある。

・乾癬治療薬(エトレチナート)
→脂溶性の薬であるため、牛乳の脂質によって吸収が促進されて血中濃度が上昇し、作用が増強することがある。

・腸溶性製剤(ビサコジル、アスピリンなど)
→牛乳によって胃酸の酸性が弱まり、胃で溶解してしまい、腸での吸収が減弱、また、胃を刺激して吐き気を催すことがある。


■薬×嗜好品(煙草)
・気管支拡張薬(テオフィリン)
→テオフィリンの代謝が促進され、血中濃度が低下し作用が弱まることがある。



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