2014年7月8日火曜日

■アトロピン(アトロピン硫酸塩注0.5mg):血管収縮薬

≪作用機序≫
平滑筋・心筋・外分泌腺などを支配するコリン作動性筋後繊維に作用し、副交感神経を遮断し、迷走神経を阻害する。
低用量(0.25mg)で徐脈、高用量で心拍数を増加させる。

≪適応≫
徐脈・結節レベルでの房室ブロックに使用する。心静止でアドレナリンが無効の場合には、アトロピンを考慮する。PEA・心静止のいずれにもルーチン使用を推奨しない。

≪用法≫
不安定な徐脈:10.5mgを35分おきに総投与量1.53mgまで反復投与する。
心静止:1mg静脈投与し、35分ごとに総投与量3mgまで反復投与する。

≪注意≫
心筋梗塞に併発する徐脈、房室伝導障害では、アトロピンにより心拍数が増加して心筋虚血が進行し、VF/VTを誘発することがある。


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2014年7月7日月曜日

■バソプレシン(ピトレシン注射液20単位):血管収縮薬

≪作用機序≫
非アドレナリン性の血管収縮薬で、平滑筋の受容体を刺激し、末梢血管を収縮させ、血圧を上昇させる。
アドレナリン受容体を経由しないため蘇生において副作用となり得る心筋に対するβ作用はない。
アドレナリンより作用時間が長い(半減期1020)ため、1回の投与でよい。

≪適応≫
アドレナリンは、アシドーシスの進行により血管収縮作用が弱くなり、心筋酸素消費量を増加させるため、アドレナリンの代用としてVF/無脈性VTPEAAsystoleに使用できる。
アドレナリンと同様、心停止例の短期予後を改善することから、成人において投与を考慮してもよい。
小児・乳児に対しては、否定や肯定をするだけのデータが十分にない。
バソプレシンの効果無効時は、35分後にアドレナリンを追加投与する。

≪用法≫
1回投与量40単位(2A)を静脈内投与する。
ただし、保険適応外の使用となる。


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2014年7月6日日曜日

■アドレナリン(ボスミン注1mg/ml):血管収縮薬

≪作用機序≫
交感神経のα1、α2、β1、β2受容体刺激作用を有する。
このα受容体刺激作用に血管収縮作用があり、蘇生時に有用であると考えられている。
特にα2受容体を刺激すると中枢神経系では、血管拡張作用を示すものの、末梢血管に対しては血管収縮作用があり、その結果冠灌流圧を上昇させるため、蘇生に対して有用となる。

≪適応≫
成人および小児・乳児において心室細動(VF)、無脈性心室頻拍(pulselessVT)、無脈性電気活動(PEA)、心静止(Asystole)などの心停止。
蘇生後の昇圧、不安定な徐脈()低血圧、アナフィラキシー、喘息にも効果がある。

≪用法≫
心停止時:成人では1回量1mgを35分間隔で静注する。JRC G2010では推奨する記述はないが、静脈路および骨髄路のいずれも確保できない場合に気管内投与を行ってもよい。その場合は一般に静脈内投与量の22.5倍を510mlの精製水または生理食塩水で希釈して投与する。高用量を用いても生存率は改善しない。

≪注意≫
血圧上昇と心拍数の増加によって心筋虚血を促進することがある。
β受容体刺激作用は、心筋の仕事量を増やし心内膜下の流れを減少させるという報告があり、蘇生後も効果が継続する。


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2014年6月19日木曜日

■SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation【2014年6月13日】

≪SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation【2014年6月13日】≫
SU薬などインスリン分泌促進薬やインスリンと併用する場合には、低血糖に十分留意して、それらの容量を減じる。患者にも低血糖に関する教育を十分行うこと。
・グリメピリド2mg/日を超えて使用している患者は2mg/日以下に減じる。
・グリベンクラミド1.25mg/日を超えて使用している患者は1.25mg/日以下に減じる。
・グリクラジド40mg/日を超えて使用している患者は40mg/日以下に減じる。

②高齢者への投与は、慎重に適応を考えたうえで開始する。発売から3ヶ月間に65歳以上の患者に灯油する場合には、前例登録すること。

③脱水防止について患者への説明も含めて十分に対策を講じること。利尿薬との併用は推奨されない。

④発熱・下痢・嘔吐などがあるときないしは、食思不振で食事が十分に摂れないような場合(シックデイ)には休薬する。

⑤本剤投与後、皮疹・紅斑などが認められた場合には、速やかに投与を中止し、副作用報告を行うこと。

⑥尿路感染・性器感染については、適宜問診・検査を行って、発見に努めること。問診では、質問紙の活用も推奨される。

⑦原則として、本剤は他に2剤程度までの併用が当面推奨される。

≪副作用の事例と対策≫
▽重症低血糖⇒併用糖尿病治療薬の減量を検討する。特にSU薬は、下記のように検討が必要。
グリメピリド2mg/日を超えて使用している患者は2mg/日以下に減じる。
グリベンクラミド1.25mg/日を超えて使用している患者は1.25mg/日以下に減じる。
グリクラジド40mg/日を超えて使用している患者は40mg/日以下に減じる。

▽ケトアシドーシス⇒血糖コントロールが良好であっても血中ケトン体増加が認められることがある。SGLT-2阻害薬投与に際しては、インスリン分泌能が低下している症例への投与ではケトアシドーシスの発現に厳重な注意が必要。同時に、栄養不良状態、飢餓状態の患者や極端な糖質制限を行っている患者に対するSGLT-2阻害薬は、ケトアシドーシスを発現させうることに一層の注意が必要。

▽脳梗塞⇒SGLT-2阻害薬は、体液量を減少することがあるので、適度な水分補給を行うよう指導すること、体液量減少を起こしやすい患者に対する十分な観察と適切な水分補給を必ず行い、投与中はその注意を継続する。また、脱水がビグアナイド薬による乳酸アシドーシスの重大な危険因子であることに鑑み、ビグアナイド薬使用患者にSGLT-2阻害薬を併用する場合には、脱水と乳酸アシドーシスに対する十分な注意を払う必要がある。

▽全身性皮疹、紅斑⇒全身性皮疹が7例報告されうち6例は重篤であり、また全身紅斑あるいは紅斑性皮疹が4例報告されうち3例が重篤であった。SGLT-2阻害薬投与後1日目から12日目の間に発症している。これらの重篤な皮膚障害は、治験時に殆ど認められていなかったものであるが、SGLT-2阻害薬投与との因果関係が疑われ、今後SGLT-2阻害薬投与に際しては十分な注意が必要である。尚、この全身性皮疹・紅斑が最初に発売されたSGLT-2阻害薬に特異的なこのクラスの薬剤に共通の副作用であるか、現時点では不明である。


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2014年6月16日月曜日

■新規経口抗凝固薬::NOAC≪プラザキサ・イグザレルト・エリキュース≫のメリット・デメリット

【ダビガトラン:プラザキサ】
≪メリット≫
・高用量と低用量を選択できる。
・高用量では虚血性脳卒中をワルファリンより有意に減少。
・低用量で重大な出血が少ない。
・アジア人を対象としたサブ解析では,ダビガトランはワルファリンに比べ消化管出血を増加させないことが示された⇒本当かな!?
≪デメリット≫
・上部消化器症状が多いことや高用量で消化管出血が多い。
・腎排泄が80%であることから腎機能低下の影響をより受けやすい。
12回投与。
・湿気に弱いため薬を一包化できない。
・簡易懸濁法による投与ができない。
≪注意点≫
血中濃度はAPTTと相関することが知られているが,APTT値は標準化されていない。

【リバーロキサバン:イグザレルト】
≪メリット≫
111錠。
・服薬継続下では脳卒中,全身性塞栓症をワルファリンより有意に減少。
・薬を一包化調剤できる。
≪デメリット≫
CHADS2スコア1点以下でのエビデンスが確立していない。
75歳以上や50kg以下の低体重でワルファリンよりも重大な出血や臨床的に有意な出血が多い可能性がある。
・簡易懸濁法による投与ができない。
≪注意点≫
血中濃度はプロトロンビン時間(PT)と相関することが知られているが,試薬によって値が異なる。

【アピキサバン:エリキュース】
≪メリット≫
・脳卒中,全身性塞栓症をワルファリンより有意に減少。
・重大な出血が少ない。
・薬を一包化調剤できる。
・簡易懸濁法による投与できる。
≪デメリット≫
12回投与である。
・臨床経験が少なく,とくに日本人における有用性と安全性がまだ確立されていない。
≪注意点≫
血中濃度はAPTTPTとは十分な相関関係を示さない。
 
※あくまで参考として考えていただけると幸いです。