2014年6月11日水曜日

アルブミン製剤の投与速度・使い分け・投与期間の完全ガイド|病院薬剤師・NST専門療法士が解説 ※2026年6月 情報を更新しました

この記事でわかること

  • アルブミン製剤の投与速度の計算方法
  • 4.4%・5%(等張)と20%・25%(高張)の使い分け
  • 低アルブミン血症患者にアルブミン投与後ラシックスを使う理由
  • アルブミン製剤の投与期間と適正使用の考え方
  • アルブミンとγ-グロブリンの体内での寿命
  • NST専門療法士として意識していること

アルブミンとは

アルブミンは正常人の血漿タンパクの約60%を占める最も多いタンパク質で、以下の重要な役割を担っています。

膠質浸透圧の維持として、血管内に水分を保持し、浮腫を防ぐ働きをします。薬物・物質の輸送体として、脂肪酸・ホルモン・薬物(ワルファリン・フェニトインなど)を血中で運搬します。栄養状態の指標として、血清アルブミン値は栄養状態・肝機能・炎症の総合的な指標として使われます。緩衝作用として、血液のpHバランスを維持します。

正常値は4.0〜5.0 g/dL程度です。3.5 g/dL未満で低アルブミン血症、2.0 g/dL未満では重篤な状態と判断されます。


アルブミン製剤の種類:等張製剤と高張製剤

日本で使用されるアルブミン製剤は大きく2種類に分かれます。

製剤濃度代表的製品浸透圧特徴
等張製剤4.4%・5%アルブミナー5%など血漿と同等循環血漿量を増加させる
高張製剤20%・25%アルブミナー25%など血漿の約5倍組織から水分を引き込み血管内に移行させる

**等張製剤(4.4%・5%)**は、循環血漿量が低下している患者(出血・脱水・熱傷など)に使用します。投与した液量がそのまま循環血漿量の補充になります。

**高張製剤(20%・25%)**は、低アルブミン血症による浮腫・腹水がある患者に使用します。高い膠質浸透圧によって組織中の水分を血管内に引き込む効果があります。


アルブミン製剤の投与速度

基本原則

アルブミン量として10〜15 g/時間以内が原則です。

急速投与すると、急激な循環血漿量の増加により心臓に過剰な負荷がかかる(循環過負荷)リスクがあります。特に心機能が低下している患者では慎重な投与速度管理が必要です。

各製剤の投与速度の目安
製剤容量アルブミン含有量推奨投与時間
25%アルブミナー50 mL12.5 g1時間以上(50〜75分目安)
25%アルブミナー100 mL25 g2時間以上
5%アルブミナー250 mL12.5 g1時間以上
5%アルブミナー500 mL25 g2時間以上

計算の考え方:
25%アルブミナー50 mLには12.5 gのアルブミンが含まれています。1時間あたり10〜15 g以内という原則から、12.5 g÷15 g/時間=約0.83時間(50分)となり、50〜75分以上かけて投与することが推奨されます。実務上は「1時間かけて投与」が目安です。

注意が必要な患者

心不全・腎不全患者では循環血漿量の急激な増加が心臓・腎臓に大きな負担をかけます。より緩徐な投与(2〜3時間以上)を検討するか、投与前後に利尿薬(フロセミドなど)の使用を考慮します。


低アルブミン血症患者に25%アルブミナー投与後にラシックス(フロセミド)を投与する理由

これは病棟でよく受ける質問のひとつです。

なぜアルブミンを投与した後にラシックスを使うのか?

ステップ①:アルブミン投与
25%アルブミナーを投与すると、高い膠質浸透圧によって組織(浮腫部位)の水分が血管内に引き込まれます。これにより一時的に循環血漿量が増加し、浮腫が軽減されます。

ステップ②:フロセミド(ラシックス)投与
血管内に水分が引き込まれたタイミングで利尿薬を投与することで、増加した循環血漿量を尿として体外に排出します。これによって全身の浮腫・腹水を効率よく除去できます。

なぜ順番が大切なのか
フロセミドを先に投与しても、組織の水分は血管内に移行していないため十分な効果が得られません。アルブミン投与で「水を集めてから」フロセミドで「排出する」という順序が重要です。

ただし注意点として、この方法は心臓に負担をかける可能性があるため、心不全患者では慎重に行う必要があります。また血清アルブミン値が低すぎる状態(2.0 g/dL未満など)では効果が不十分なこともあります。


アルブミン製剤の適正使用と投与期間

適正使用の原則

アルブミン製剤は「血清アルブミン値が低いから投与する」というものではありません。日本輸血・細胞治療学会や日本臨床栄養学会のガイドラインでは、適応を厳格に判断することが求められています。

アルブミン製剤が適応となる主な病態として、低アルブミン血症に伴う浮腫・腹水(肝硬変・ネフローゼ症候群)、熱傷、出血・手術・外傷などによる循環血漿量の減少、腹水穿刺後の循環動態維持などがあります。

一方で栄養目的での投与は適切ではありません。「アルブミン値が低いから栄養補給としてアルブミン製剤を投与する」という考え方は、血液製剤の適正使用という観点から推奨されていません。栄養状態の改善には経腸栄養・経口摂取の強化が優先されます。

投与期間の目安

アルブミン製剤の投与期間は病態によって異なりますが、一般的には急性期の状態改善を目的とした短期使用が原則です。

アルブミンの体内での半減期は約15〜20日(平均17日)とされています。つまり投与したアルブミンは約3週間で半量が分解・代謝されます。根本的な疾患(肝硬変・ネフローゼ症候群など)が改善されなければ、アルブミン値は再び低下します。そのため原疾患の治療と並行して投与することが重要です。


アルブミンとγ-グロブリンの寿命の違い

タンパク質主な機能体内での半減期
アルブミン膠質浸透圧維持・物質輸送・緩衝約15〜20日
γ-グロブリン(免疫グロブリン)抗体として免疫機能を担う約21〜28日(IgGの場合)

γ-グロブリン(免疫グロブリン、主にIgG)はアルブミンより少し長い半減期を持ちます。IgG製剤(献血ベニロンなど)を投与した際の効果持続時間の参考になります。


NSTとして意識していること

アルブミン製剤の投与判断は、NSTラウンドでも必ず議論になるテーマです。

「アルブミン値が2.5 g/dLだからアルブミンを投与しましょう」という短絡的な判断ではなく、以下の視点で考えることが大切です。

炎症状態の評価として、CRPが高い急性炎症期はアルブミンが炎症反応で消費・希釈されるため、アルブミン値が低くても投与効果が限定的なことがあります。

栄養状態の評価として、低アルブミン血症の原因が栄養不足なのか、肝臓でのアルブミン合成低下なのか、血管外漏出なのかを鑑別することが重要です。

目標値の設定として、アルブミン値を「正常値に戻す」ことを目標にするより、浮腫・腹水などの症状の改善を目標にする考え方がより合理的です。


病院薬剤師として感じていること

アルブミン製剤は高価な血液製剤です。1バイアル(25%アルブミナー50 mL)は数千円〜数万円かかります。

適正使用の観点からも、「投与することで患者さんに何をもたらすか」「代替手段はないか」を常に考えながら処方監査や病棟での提案に関わることが薬剤師・NST専門療法士として重要だと感じています。

一方で、本当に必要な患者さんに適切なタイミングで投与されることが最優先です。「高いから使わない」ではなく「適切な患者に適切な用量・速度で」という視点を持ち続けたいと思っています。


まとめ

  • 投与速度の原則:アルブミン量10〜15 g/時間以内。25%アルブミナー50 mLは1時間かけて投与
  • 等張製剤(5%):循環血漿量補充が目的。出血・脱水・熱傷など
  • 高張製剤(25%):低アルブミン血症による浮腫・腹水の改善が目的
  • アルブミン→ラシックスの順:高張製剤で組織から水を引き込んでから利尿薬で排出する
  • 投与期間:急性期の短期使用が原則。半減期は約15〜20日
  • 栄養目的の投与は不適切:経腸・経口栄養が優先
  • γ-グロブリン(IgG)の半減期:約21〜28日でアルブミンより長い
  • NST視点では炎症状態・原因の鑑別・症状改善を目標とした判断が重要

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≪等比重製剤≫

・麻酔範囲の広がりが緩徐である。
・高比重製剤に比べて作用発現時間が遅く、作用持続時間が長い。

≪高比重製剤≫

・麻酔範囲の広がりが比重に依存しているため手術台の傾斜によりある程度の麻酔範囲の調節が可能である。
・等比重製剤に比べて作用発現時間が早く、作用持続時間が短い。




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一般名:商品名
▼イブラグリフロジンL-プロリン:スーグラ
▼ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物:フォシーガ
▼ルセオグリフロジン水和物:ルセフィ
▼トホグリフロジン水和物:アプルウェイ・デベルザ

≪特徴≫
近位尿細管でのブドウ糖の再吸収を抑制することで、尿糖排泄を促進し、血糖低下作用を発揮する。
・体重を減らす作用が期待される。
・インスリンとは独立した作用を示すため、単独使用では低血糖をきたす可能性は低い。

≪注意点≫
・腎機能低下患者では、糸球体濾過率が低下しているため、効果が減弱し、よい適応ではない。
・尿路感染症・性器感染症(特に女性)の発現に注意する。特に日本人は、症状があっても自分からは訴えのないケースが多いかもしれない。
・薬理作用から、SGLT-2阻害薬投与中は、血糖コントロールが良好であっても尿糖陽性を示す。したがって、尿糖・1.5-AGの検査結果は、血糖コントロールの参考とならないので注意が必要である。
・SGLT-2阻害薬の尿中ブドウ糖排泄促進作用により、浸透圧利尿作用が働き、頻尿・多尿が見られることがある。
・体液量の減少をきたし、軽度の脱水症状を起こすおそれがあるため、渇中枢機能の低下しやすい高齢者にはよい適応ではない。また、このような症状が現れた場合には適度な水分補給を行うよう指導する。
・血中ケトン体が異常高値を示す例があり、注意が必要である。
・重症の腎不全と透析例と妊娠時には、使わないこと。


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2014年6月1日日曜日

■脂質異常症の薬物療法

≪ステートメント≫
一時予防において、生活習慣の改善を十分に行ったにも関わらず、LDL-C管理目標値が達成できない場合には、リスクの重みに薬物療法を考慮する。≪推奨レベルⅡa・エビデンスレベルB

②一次予防においても、LDL-C180mg/L以上を持続する場合は、薬物療法を考慮する。≪推奨レベルⅡa・エビデンスレベルC

③高LDL-C血症に対する治療薬としてスタチンが推奨される。≪推奨レベルⅠ・エビデンスレベルB

④高リスクの高LDL-C血症においては、スタチンに加えて、エゼチミブの投与を考慮する。≪推奨レベルⅡa・エビデンスレベルB

⑤高リスクの高LDL-C血症においては、スタチン投与に加えてイコサペント酸エチル(EPA)の投与を考慮する。≪推奨レベルⅡa・エビデンスレベルA

⑥低HDL-C血症を伴う高TG血症に対しては、リスクの重みに応じてフィブラート系薬剤やニコチン酸誘導体などの薬物療法を考慮する。≪推奨レベルⅡa・エビデンスレベルB

動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版参照


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