「薬の正しい飲み方」シリーズ第9回です。今回は「副作用」をテーマに、正しい知識を整理していきます。
副作用とは何か
薬をのむときにいちばん気になるのは、どんな「副作用」があるのかということでしょう。薬は必要な場所にだけ効くことがもちろん理想ですが、血液と一緒に全身を回るため、必要のないところにも働きかけて、結果として思わぬ副作用が起きることがあります。
「副作用」とは、薬を飲んだときに現れる、本来の目的以外の作用をいいます。例えば、風邪薬を飲んだら眠くなった、というのも副作用の一つです。予想以上に薬が強く作用して副作用を引き起こす例として、糖尿病の薬の効果が強すぎて低血糖を起こすような場合もあります。
副作用の出方には個人差がある
副作用が絶対にないという薬は、残念ながらありません。だからといって薬を使わないというのでは、肝心な治療をすることができません。副作用を理解したうえで、薬を正しく使うことが大切です。
副作用の出方は薬により異なりますし、1つの薬にもいろいろな副作用があるのが普通です。眠気やのどの乾きといった軽い症状から、命にかかわる重い副作用まで、その程度もさまざまです。
また、副作用の出やすさは体質にもよります。アレルギー体質の人、腎臓や肝臓の悪い人、高齢の人などは副作用が出やすいものです。多く飲みすぎれば、当然、副作用が出やすくなります。
なぜ高齢の方に副作用が多いのか
人間の体は、年齢に伴い、肝臓で薬を分解する能力や、薬を腎臓から体の外に排出する能力が低下します。その結果、薬が強く効きすぎて、副作用が現れることがあります。若い頃と同じ量の薬でも、年齢を重ねると体の中での処理のされ方が変わってくるということです。
副作用の頻度と「副作用の多い薬」のとらえ方
副作用の頻度は薬の種類によって異なるため、一概に何パーセントとは言えません。ビタミン剤のようにほとんど副作用のない薬から、抗がん剤のように高頻度に起こるものまでいろいろです。
副作用の報告件数で、常に上位を占めるのはペニシリンに代表される抗生物質です。だからといって、抗生物質を悪者扱いにすることはできません。安易な使用は問題としても、肺炎や敗血症など命にかかわるような感染症の治療には、なくてはならない非常に有用な薬です。単純に「副作用の多い薬」イコール「悪い薬」とはいえないのです。副作用の多い薬には、効果の高い優れた薬が多いものです。
それは本当に薬の副作用?判断のポイント
「薬を飲みはじめたら胃の調子が悪い」——こんなとき、実は3つのケースが考えられます。1つは薬による本当の副作用、2つ目はたまたま胃の調子が悪くなっただけ、3つ目は気持ちの問題(心理効果)です。
実際にどのような基準で判定されるかというと、時間的な相関関係があるか、その薬の既知の副作用発現パターンを示しているか、使用中止により改善されるか、といった点を総合的に評価して、薬との因果関係を見極めます。この判定は、医師あるいは薬剤師により客観的かつ迅速に行われる必要があります。
「いつもと違う」と感じたら、早めの相談を
薬を飲みはじめて「なにか普段と違う、変だな」と感じたら、すぐに受診するようにしてください。副作用も早期発見が重要です。万一それが重い副作用の前兆だとしても、すぐに適切に対処すれば重症化を防げます。
ただし、その症状が必ずしも薬の副作用とは限りません。薬の飲みはじめは症状の変化が激しい時期でもあり、薬の作用とは関係なく病気がよくなったり、逆に悪化することもあります。また、治療のために許容される軽い副作用もあり、注意をしながら飲み続けたほうがよい結果につながることもあります。継続の可否は自分だけの判断で決められるものではないため、必ず医師の指示をあおぐようにしてください。
副作用が「効能」になった珍しい薬たち
本来は副作用とされていたものを「効能」として商品化した薬もあります。例えば、抗ヒスタミン薬の副作用として知られる眠気を主作用として、寝つきが悪いなどの症状改善のために発売された睡眠改善薬があります。また、緑内障の点眼薬に見られる「まつげが伸びる」という作用を活かして、まつ毛の育毛を目的とした薬剤が発売された例もあります。副作用と効能は、見方によって表裏一体の関係にあることがわかります。
尿・便の色の変化:問題があるものとないもの
薬の影響で尿や便の色が変わることがありますが、心配すべきものとそうでないものがあります。
問題あり
- 尿が赤くなる(一部の抗がん剤)→ 出血性膀胱炎の可能性
- 便が黒くなる(消炎・鎮痛薬〔NSAIDs〕)→ 消化管出血の可能性
問題なし
- 尿が黄色になる(ビタミンB2・B6製剤)
- 尿が赤くなる(一部の抗結核薬)
- 尿が茶色になる(一部の抗菌薬)
- 便が黒くなる(鉄剤)
- 便が白くなる(一部の抗てんかん薬)
- 汗が黒くなる(ドパミン)
同じ「色の変化」でも、原因となる薬によって心配の要不要が異なります。心当たりのある変化があれば、自己判断せず薬剤師・医師に確認しましょう。
○×クイズ:症状がよくなったので、自分の判断で薬をやめてもよい?
こたえ:×
薬の種類によっては、急にやめると離脱症状が出るなど、体に負担がかかることがあります。また、症状が治まって見えても、薬によって抑えられているだけということもあります。続ける・やめるの判断は自己判断せず、必ず医師・薬剤師に相談しましょう。
まとめ
- 副作用のない薬は存在しない。理解したうえで正しく使うことが大切
- 副作用の出方には個人差があり、高齢の方は特に出やすい
- 副作用の多い薬が必ずしも「悪い薬」とは限らない
- 「いつもと違う」と感じたら、自己判断せず早めに相談する
- 尿・便の色の変化にも、問題のあるものとないものがある
次回は「⑩薬の保管・お薬手帳・災害時の備えと高齢者の服薬支援」です。
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