「NSTって何をしているの?」という疑問に、具体的な目的・役割・活動成果で答えます。NSTは患者さんの回復を助けるだけでなく、病院経営にも大きな効果をもたらします。
NSTの10の目的
①症例個々に応じた適切な栄養管理法の選択とその実施
②適切かつ質の高い栄養管理の提供
③早期栄養障害の発見と早期栄養療法の開始
④栄養療法による合併症の予防
⑤疾患罹病率・死亡率の減少
⑥病院スタッフのレベルアップ
⑦医療安全管理の確立とリスクの回避
⑧栄養素材・資材の適正使用による経費削減
⑨在院日数の短縮と入院費の節減
⑩在宅治療症例の再入院や重症化の抑制
数字を見ると「在院日数の短縮」「経費削減」という病院経営的な目的も含まれていることがわかります。NSTは患者さんのためだけでなく、病院全体の経営改善にも貢献するのです。
NSTの7つの役割
①栄養管理が必要か否かの判定(栄養アセスメント)
②適切な栄養管理がなされているかのチェック
③最もふさわしい栄養管理法の指導・提言
④栄養管理に伴う合併症の予防・早期発見・治療
⑤栄養管理上の疑問(コンサルテーション)への回答
⑥新しい知識・技術の紹介・啓発
⑦栄養療法の評価・効果判定
薬剤師はこの中で特に「③の提言」「④の合併症予防」「⑤のコンサルテーション」に大きく貢献します。輸液・薬剤の専門家として、栄養投与ルートの提案から相互作用の確認まで幅広く関わります。
NSTの活動成果8つ
実際にNSTが機能している病院では以下の成果が得られます。
①栄養療法の適正化による中心静脈栄養の減少と経口・経腸栄養の増加
②カテーテル敗血症などの合併症の減少
③院内感染をはじめとする感染症の予防と抗生剤使用量の減少
④褥瘡発生率の減少
⑤地域一体型NSTによる地域医療連携の強化
⑥医療安全管理体制の確立
⑦平均在院日数の短縮(治療効果の促進)
⑧医療費の削減と病院経営の改善
特に注目すべきは「④褥瘡発生率の減少」です。褥瘡は栄養状態と密接に関係しており、NSTが機能している病院では褥瘡の発生が減ります。
DPC(包括医療制度)とNSTの関係
NSTが病院経営に必要な理由として、DPC(Diagnosis Procedure Combination:包括医療制度)との関係があります。
従来の「出来高払い制度(使っただけ払われる)」から「定額払い制度(ある病気の治療ならいくら、と決まった金額しか払われない)」に変わってきています。
DPCでは、感染症などの合併症が起きて抗生物質を投与したり、創の治癒が悪くて入院期間が長くなったりすると、その分の費用は病院負担となります。つまり病院は赤字になります。
この定額払い制度が導入されて以来、病院全体で合併症を減らして病院経営が悪化しないように、感染対策チーム(ICT)やNSTが設置されてきているともいえます。
チーム医療と診療報酬
チーム医療と診療報酬の関係を整理します。
| チーム | 診療報酬 |
|---|---|
| 感染対策チーム(ICT) | 加算・減算 |
| 安全対策チーム | 減算 |
| 褥瘡対策チーム | 加算&減算 |
| 緩和ケアチーム | 加算 |
| NST(栄養サポートチーム) | 加算 |
NSTは加算が算定できます。適切なNST活動をすることで、病院の収益にもプラスになります。
NST導入で変わる職場環境
NSTが機能すると、スタッフレベルでも変化が現れます。
人的リスクの回避
- 患者・家族からの不満・苦情の著減
- 患者満足度の向上
- 職種間の良好な情報交換による一貫した診療情報の確立
- 誤投薬の回避(職員の知識・意識向上)
- 全職員のサービス・接遇の改善
- 人材開発の促進(チームリーダーの輩出)
業務システムの質向上
- 経腸栄養ルートの誤接続防止
- カテーテル敗血症の著減
- 中心静脈栄養症例の減少
- 全症例に対する適正カロリー投与の実施
- 院内感染の減少
- 高齢者褥瘡発生率の低下
まとめ
- NSTの目的は10項目。患者の回復から病院経営改善まで含む
- NSTの役割は7項目。栄養アセスメントから効果判定まで
- 活動成果:褥瘡減少・感染症減少・在院日数短縮・経費削減
- DPCの普及でNSTの重要性はさらに高まっている
- NST加算は病院収益にもプラス
次回は「薬剤師がNSTで担う具体的な役割」を解説します。
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