2018年5月13日日曜日

■P糖蛋白阻害作用のある薬剤を頓服する場合、リクシアナの減量は必要ですか?

P糖蛋白阻害作用のある薬剤の頓服時に、リクシアナによる出血リスクが増大するおそれがあるため、頓服する可能性のある患者さんに使用する場合には、注意が必要です。
ただ、患者さん個々の血栓リスクあるいは出血リスクの違い、また、頓服を要する疾患の状態や頓服の頻度の違いもあり、一概にどうすれば良いとお示しすることは困難です。減量せず併用した場合には出血リスクの増加、一方で減量した場合には効果の減弱が懸念されます。

個々の患者さんの状態に応じて医師にご判断いただき、時間をずらして服薬する、又は同時に併用する場合はリクシアナを減量するなど、注意してご使用いただくようお願いします。

非弁膜症心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制、静脈血栓塞栓症の治療及び再発抑制での使用の場合、リクシアナを30mg投与されている患者さんでは、P糖蛋白阻害作用のある薬剤の併用時に更なる減量は不要です。

参考:第一三共医薬品情報提供

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■リクシアナとP糖蛋白阻害作用を有する薬剤との併用は!?

リクシアナとP糖蛋白阻害作用を有する薬剤とは、併用注意です。
消化管のP糖蛋白を阻害する薬剤と併用することにより、リクシアナのバイオアベイラビリティが上昇し、血中濃度を上昇させ、出血の危険性を増大させるおそれがあります。
添付文書の規定に従って減量又は減量を考慮して下さい。

<各薬剤との併用時の措置方法>(添付文書より)
【キニジン硫酸塩水和物、ベラパミル塩酸塩、エリスロマイシン、シクロスポリン】
・非弁膜症性心房細動患者における脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制
・静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓塞栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制
 ⇒併用する場合には30mg投与
・下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制
 ⇒30mgから15mgへの減量を考慮

【アジスロマイシン、クラリスロマイシン、イトラコナゾール、ジルチアゼム、アミオダロン塩酸塩、HIVプロテアーゼ阻害剤(リトナビル等)等】
・非弁膜症性心房細動患者における脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制
・静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓塞栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制
 ⇒治療上の有益性と危険性を十分に考慮し、本剤との併用が適切と判断される患者にのみ併用すること。併用する場合には本剤30mg投与を考慮
・下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制
 ⇒30mgから15mgへの減量を考慮

<参考>
1.P糖蛋白:P-glycoprotein(P-gp)
細胞膜上に存在して細胞毒性を有する化合物などの細胞外排出を行います。腸や肺、腎臓の近位尿細管、血液脳関門の毛細血管内皮細胞等に発現しています。
2.薬物相互作用試験1)では、P糖蛋白阻害作用を有する薬剤であるケトコナゾール、キニジン、ベラパミル、ドロネダロン、エリスロマイシン、シクロスポリンを併用したとき、エドキサバンのAUCは約1.5~2倍に上昇しています。

引用文献:
1)Mendell J et al.: Am J Cardiovasc Drugs. 2013; 13(5): 331-342

参考:第一三共医薬品情報提供


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2018年5月12日土曜日

■ビムパット錠の副作用で、浮動性めまいの発現状況、機序は!?発現しやすい傾向(用量依存性、発現時期、患者因子等)や対処法はありますか!?

本剤の成人てんかん患者さんを対象とした承認時までの、ラコサミドとして200mg/日から600mg/日注)が投与された単剤療法の国際共同第Ⅲ相試験及びそれに続く長期継続投与試験における安全性解析対象例444例(日本人症例7例含む)における浮動性めまいの副作用の発現率は、8.3%(37/444)でした。併用療法の日中共同第Ⅲ相試験及びそれに続く長期継続投与試験における安全性解析対象例527例(日本人139例を含む)における浮動性めまいの副作用の発現率は27.5%(145/527)でした。
本剤投与による浮動性めまいの発現機序は不明です。


<単剤療法での傾向>
国際共同第Ⅲ相試験では、浮動性めまいは臨床的に重要な発現件数の増加が見られた有害事象*ではありませんでした。
*:第1目標用量(ラコサミド200mg/日)投与時と比較して第3目標用量(ラコサミド600mg/日注))投与時の100患者・月あたりの発現件数が2倍以上、かつ用量依存的に増加した有害事象と定義

<併用療法での傾向>
高用量の投与で発現しやすい傾向がありますので、減量または中止により軽減する可能性があります。日中共同第Ⅲ相試験1)では、浮動性めまいによる中止には、用量依存性が認められました。また、増量期間に発現率が高い傾向がみられます。
肝機能障害や腎機能障害のある患者、高齢者では本剤の排泄が遅延する可能性があることから、最高血中濃度(Cmax)及びAUCの増加に伴い、発現率が高まる可能性があります。

注) 本剤の承認された1日最高用量は400mg/日です。

【引用文献】
1) 社内資料:日本及び中国における部分発作併用療法のプラセボ対照比較試験



参考:第一三共医薬品情報提供


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■ビムパット錠の特徴は!?

ビムパットの特徴を以下に示します(2017年8月現在)
新しい作用機序をもつNaチャネルブロッカーです。(in vitro

  • てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する単剤療法又は併用療法により、発作抑制効果を示しました。
  • 日中共同第Ⅲ相試験において、ビムパット200mg/日群のラモトリギンとの併用を除き、いずれの抗てんかん薬*1との併用でも、部分発作を抑制しました。
  • 臨床薬物相互作用試験において、抗てんかん薬を含む主要薬物*2との相互作用は認められませんでした。
  • 安全性
  • [単剤療法]
    承認時までの、ラコサミドとして200mg/日から600mg/日注)が投与された国際共同第Ⅲ相試験及びそれに続く長期継続投与試験における安全性解析対象例444例(日本人症例7例含む)のうち、181例(40.8%)に副作用が認められました。主な副作用は、浮動性めまい(8.3%)、疲労(5.6%)、傾眠(5.0%)、頭痛(4.1%)、悪心(4.1%)等でした。また、主な臨床検査値異常(副作用)は、γ-GTP増加(1.6%)でした。
    注)本剤の承認された1日最高用量は400mg/日です。
    [併用療法]
    承認時までに日本及び中国で実施したプラセボ対照比較試験及びそれに続く長期継続投与試験における安全性解析対象例527例(日本人139例を含む)のうち、313例(59.4%)に副作用が認められました。主な副作用は、浮動性めまい(27.5%)、傾眠(10.4%)、頭痛(5.9%)、嘔吐(5.9%)、悪心(5.5%)等でした。また、主な臨床検査値異常(副作用)は、白血球数減少(3.4%)でした。
    重大な副作用として、房室ブロック、徐脈、失神、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、薬剤性過敏症症候群、無顆粒球症が報告されています。
    *1:カルバマゼピン、バルプロ酸製剤、レベチラセタム、ラモトリギン、オクスカルバゼピン、トピラマート、フェニトイン製剤、フェノバルビタール製剤
    *2:カルバマゼピン、バルプロ酸、オメプラゾール、ミダゾラム、ワルファリン、ジゴキシン

参考:第一三共医薬品情報提供


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2018年5月11日金曜日

■ハンプは注射用水で溶解後そのまま投与できますか!?

投与可能です。ただし、微量輸液ポンプが必要になります。
なお、ハンプ(室温保存製剤)1バイアルを注射用水5mLで溶解した場合の浸透圧比は約1になります。



参考:第一三共医薬品情報提供


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