2015年4月23日木曜日

■甘草による低カリウム血症に注意!!

甘草は、マメ科ウラルカンゾウなどの甘い味がする生薬です。
医療用漢方エキス製剤のおよそ7割に甘草が配合ざれています。
配合されている甘草の1日量は、1.08.0(グリチルリチン酸40320mg相当)です。
特に2.5(グリチルリチン酸100mg)を超える製剤については、低カリウム血症を発現しやすくなるので注意が必要です。
使用期間と発症の間に一定の傾向はありませんが、3ヵ月以内の発症は約40%です。
統計では、男:女=12で女性の発症が多く、低身長・低体重など体表面積の小さい人や高齢者に生じやすいとされます。
初期症状として、手足の痺れ・筋肉痛・全身のだるさ・疲れやすさ・脱力感などが現れます。

≪低カリウム血症の発症機序≫
甘草成分由来のグリチルリチン酸は、生理的副腎皮質ホルモンであるコルチゾールをコルチゾンへ変換する酵素を阻害します。その結果、増量したコルチゾールが尿細管にある鉱質コルチコイド受容体に作用し、ナトリウムの再吸収を促進し、カリウムの排泄を増加させるため低カリウム血症が生じやすくなります。

≪低カリウム血症による影響≫
▽ミオパシー
四肢の脱力や筋力の低下、筋肉痛などが起こります。また骨格筋由来のクレアチンキナーゼ(CK値)の上昇がみられます。

▽消化器系への影響
低カリウム血症がひどくなると、平滑筋機能が影響を受け麻痺腸閉塞をきたすことがあります。

▽腎臓への影響
低カリウム血症が長期間にわたると、尿細管の空砲変性、間質の線維化、尿細管の委縮が生じ、尿の濃縮力が障害されて多尿傾向となります。

≪甘草による低カリウム血症がおきたら≫
まず、甘草含有製剤を中止。
ふつうは、中止後数日〜数週間で回復します。
場合によっては、カリウム製剤・スピロノラクトンの投与が行われることがあります。




≪関連記事≫
■投与速度に注意が必要な注射
■投与速度に注意が必要な注射:抗生物質・抗ウィルス薬
■投与速度に注意が必要な注射:循環器用薬
■アルブミン製剤の使い分けは!?≪4.4%・5%と20%・25%アルブミン製剤≫
■アルブミン製剤の投与速度は!?
■低アルブミン血症患者に25%アルブミナーを投与後にラシックス(フロセミド)を投与するのは、なぜ!?
■アルブミン製剤の投与期間は!?
 
 
 
 
 
 
 
 

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。