はじめに
皆さんの職場では、
「インシデント報告が多い部署」
にどのような印象を持つでしょうか。
「ミスが多い職場なのかな」
「安全意識が低いのでは?」
そんな印象を持つ人もいるかもしれません。
しかし、病院薬剤師として医療現場で働いていると、
“インシデント報告が多い=危険”
とは一概に言えないと感じます。
むしろ、
“報告が出てこない職場”
の方が心配になることがあります。
今回は、
インシデント報告と心理的安全性の関係
について考えてみたいと思います。
この記事でわかること
この記事では、
・インシデント報告が多い職場の見方
・報告が少ない職場に潜むリスク
・心理的安全性との関係
・病院薬剤師として意識したいこと
について考えていきます。
インシデント報告が多い=危険な職場?
一見すると、
「報告が多い=事故が多い」
ように感じます。
確かに、重大事故が頻発しているなら問題です。
しかし、
ヒヤリ・ハットや軽微なインシデントまで積極的に共有されている職場は、
“気づきを言える職場”
とも考えられます。
例えば、
投与量の違和感
配薬時の気づき
処方確認の迷い
持参薬確認時のヒヤリ
こうした“小さな気づき”が共有されることで、
大きな事故を未然に防ぐことがあります。
医療安全では、個人を責めるよりも「なぜ起きたか」を共有し再発防止につなげる考え方が重視されています。
本当に怖いのは「報告されない職場」
一方で、
報告件数が極端に少ない職場は安全なのでしょうか。
実は、
“報告しづらい空気”
がある可能性があります。
例えば、
「報告すると怒られる」
「またミス?と思われそう」
「面倒だからやめよう」
こうした空気があると、
本来共有されるべきリスクが埋もれます。
心理的安全性が低い環境では、エラーや違和感を共有しづらくなり、学習機会が失われやすいことが指摘されています。
インシデント報告は「犯人探し」ではない
ここは非常に重要です。
インシデント報告は、
“誰が悪いか”
を決めるためではありません。
本来は、
“どうすれば次に防げるか”
を考えるためのものです。
例えば、
個人責任思考
「確認不足だった」
で終わる。
システム思考
なぜ確認できなかったのか
手順は複雑ではなかったか
人員配置や忙しさは影響したか
ダブルチェックの仕組みは適切か
を考える。
こうした視点が医療安全につながります。
心理的安全性が高い職場で起こること
心理的安全性が高い職場では、
次のような特徴があります。
「これ確認した方がいいかも」が言える
「少し不安です」と相談できる
「実はヒヤッとしました」を共有できる
つまり、
“小さな声が出てくる”
のです。
そして、
その小さな声こそが、
大きな事故を防ぐヒントになります。
病院薬剤師として意識したいこと
1.報告してくれたことを評価する
インシデント報告を受けた時、
最初の反応が重要です。
×「何でこんなことしたの?」
ではなく、
○「共有ありがとう」
○「報告助かる」
この違いが次の報告につながります。
2.小さな気づきを歓迎する
重大事故だけでなく、
“違和感”も共有する文化をつくる。
「これくらい大丈夫かな」
を拾える組織ほど強いと感じます。
3.責めるより改善を考える
人は誰でもミスをします。
だからこそ、
責任追及より再発防止
を重視する姿勢が大切です。
現場で感じること
病院で働いていると、
「その時に言ってくれていたら防げた」
と思うことがあります。
一方で、
「共有してくれたおかげで防げた」
経験もあります。
医療安全は、
完璧な人が支えているのではなく、
小さな気づきを言い合えるチーム
が支えているのだと思います。
まとめ
インシデント報告が多い職場は、
必ずしも危険な職場ではありません。
むしろ、
安心して報告できる文化
があるのかもしれません。
本当に怖いのは、
“何も起こっていないように見える職場”
です。
心理的安全性が高く、
誰でも違和感を言える。
小さなミスから学べる。
そんな職場こそ、
安全な医療現場なのではないでしょうか。
病院薬剤師として私自身も、
「報告して良かった」と思われる関わり方
を意識したいと思っています。
皆さんの職場では、インシデントを安心して共有できますか?
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