2026年6月1日月曜日

新人が質問できない職場は危険?|病院薬剤師が考える心理的安全性と医療安全

 

はじめに

新人教育において、

「分からないことがあれば聞いてね」

という言葉はよく聞きます。

しかし実際には、

「聞きにくい」
「忙しそう」
「こんなこと聞いて怒られないかな」

と悩みながら働く新人は少なくありません。

病院薬剤師として働いていると、

“質問できない空気”

が、医療安全に大きく関わると感じる場面があります。

今回は、

新人が質問できない職場の危険性

について、病院薬剤師という立場から考えてみたいと思います。


この記事でわかること

この記事では、

・新人が質問できない理由
・質問しにくい職場で起こる問題
・心理的安全性との関係
・病院薬剤師としてできる工夫

について考えていきます。


新人が質問できないのは“やる気不足”ではない

新人が質問しないと、

「積極性が足りない」
「もっと聞けばいいのに」

と思ってしまうことがあります。

しかし、実際にはそう単純ではありません。

新人ほど、

  • 怒られたくない
  • 迷惑をかけたくない
  • 忙しい先輩の邪魔をしたくない
  • “できない人”と思われたくない

という気持ちを抱えています。

つまり、

質問しないのではなく、“質問できない”

状態であることがあります。


医療現場では「聞かなかった」が事故につながる

一般企業なら、

多少のミスは後から修正できるかもしれません。

しかし医療では、

確認不足が患者さんの不利益につながります。

例えば、

「この用量で合っている?」

「配合変化は問題ない?」

「持参薬との重複は?」

「投与速度は大丈夫?」

本来なら、

一言相談すれば防げることがあります。

しかし、

「今は聞きづらい」

と思ってしまうと、その確認が抜けます。

結果として、

“質問できない空気”が医療安全リスクになる

ことがあります。


なぜ新人は質問できなくなるのか?

1.強い否定を経験した

たとえば、

「前にも言ったよね?」
「そんなことも分からないの?」

と言われた経験。

言った側は指導のつもりでも、

受け手は、

“次から聞くのをやめよう”

と感じることがあります。

これは心理的安全性を大きく下げます。


2.忙しそうで声をかけられない

薬剤部は忙しいです。

調剤、病棟、DI、持参薬、疑義照会…。

新人ほど、

「今話しかけていいのかな」

と遠慮します。

だからこそ、

先輩側から

“聞いていい雰囲気”

を作る必要があります。


3.完璧を求めすぎる文化

「1回で覚えて当然」
「新人でもミスは許されない」

という空気は、

新人を萎縮させます。

もちろん医療安全上、確認は重要です。

しかし、

成長途中であることを前提にした支援

も必要です。


病院薬剤師として意識したいこと

1.質問を歓迎するリアクション

新人から質問が来た時、

最初の反応が重要です。

×「今?」
×「何回目?」

ではなく、

○「確認ありがとう」
○「聞いてくれて助かる」

この積み重ねが、

次の相談につながります。


2.“聞いていい”を言葉にする

「いつでも聞いて」

だけでは不十分なことがあります。

例えば、

「最初は分からなくて当然」
「迷ったらすぐ聞いて」
「確認する方が安全だから」

と言葉にして伝える。

これだけでも安心感が変わります。


3.こちらから声をかける

新人ほど、

困っていても言い出せません。

だからこそ、

「困ってない?」
「今のところ大丈夫?」

と声をかける。

小さなコミュニケーションが心理的安全性につながります。


現場で感じること

病院で働いていると、

「なぜ聞かなかったの?」

と思う場面があります。

しかし振り返ると、

“聞けなかった背景”

があることも少なくありません。

一方で、

「確認してくれてありがとう」

という一言が、

新人の安心につながり、

結果として医療安全につながった経験もあります。

新人教育は、

知識を教えるだけではなく、

“安心して質問できる環境をつくること”

も大切なのだと思います。


まとめ

新人が質問できない職場は、

教育上の問題だけでなく、

医療安全上の問題

でもあります。

質問できない空気は、

確認不足につながり、

患者さんへの影響につながることもあります。

だからこそ、

心理的安全性が重要です。

新人が安心して質問できる。

先輩が相談を歓迎する。

迷ったら確認できる。

そんな職場こそ、

安全な医療現場なのではないでしょうか。

病院薬剤師として私自身も、

「質問しやすい先輩」

でありたいと思っています。

皆さんの職場では、新人が安心して質問できていますか?



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