2015年7月22日水曜日

■床ずれの洗浄方法

《床ずれの洗浄方法》
①創の洗浄は、(できれば38℃程度に温めた)水道水などを使用します。創表面をガーゼなどでこすらずに流水の水圧を利用して、軟膏などの残留物を除去します。
②やわらかいガーゼなどを使用し、こすらず優しく押さえるように水分を拭き取ります。皮膚に水分が残っていると、創傷被覆材や固定テープの固着性が低下していまいます。
③創の状態を確認し、適切な創傷被覆材を選択して創を被覆します。

《床ずれ周囲の洗浄方法》
①低刺激性の弱酸性洗浄剤などを十分な水でよく泡立てます。
②泡立てた泡で、創周囲の皮膚をやさしくなでるように洗いましょう。ゴシゴシ洗って刺激を与えすぎると皮膚を損傷する危険があります。
③石けんを洗い流します。(できれば38℃程度に温めた)水道水を洗浄用ボトルなどに入れ、石けん成分が残らないように十分に洗い流しましょう。

《胃ろう周囲の漏れによる皮膚の赤み・ただれ予防のポイント》
①周囲を洗浄剤で洗う。
胃ろう周囲の皮膚は、肌にやさしい弱酸性石けんなどの洗浄剤を泡立ててやさしく洗ってください。洗った後は、タオルなどでやさしく水気を拭き取りましょう。
②常に清潔を心がける。
胃ろう部の汚れは、湿らせたガーゼや綿棒などでこまめに拭き取りましょう。
③撥水性クリームで皮膚を保護する。
洗浄した後は、胃ろうの周囲の皮膚に撥水性クリームを塗り、皮膚を保護しましょう。




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■徐脈(Bradycardia)

徐脈(Bradycardia)とは、
拍動の遅れや伝導の障害により、脈拍が60/分以下になった状態。
徐脈で緊急治療の対象となるのは、症候性があり、その原因があり徐脈の場合である。
患者の症候としては、胸痛・呼吸困難・意識障害・脱力・動作不耐・ふらつき感・失神などがあり、他覚症状としては低血圧・全身発汗・胸痛・肺水腫・うっ血性心不全・急性冠症候群などがある。
症候がある場合は、3度(完全)房室ブロックであっても洞性徐脈であっても対処は同じである。
3度(完全)房室ブロックおよび高度房室ブロックは、症候の有無に関わらず可及的にすみやかにペーシングを施行または考慮すべきであり、その識別は重要である。

症候性のある徐脈への対応
1.経皮ペーシング
特に状態が不安定な3度房室ブロックや高度房室ブロックに対してはすみやかに行う。

2.アトロピン
経皮ペーシングの準備に時間を要する場合、まずアトロピンを徐脈内投与する。
投与量は10.5mgとし、35分間隔で総量3mgまで反復投与してよい。
アトロピンは、症候の原因となる徐脈に対して使用される薬剤では第一選択薬であるが、無効な場合は経皮ペーシングあるいはカテコラミンが適応となる。虚血性心疾患に伴う徐脈に対してアトロピンを使用する時は、身長かつ十分な注意を要する。アトロピン投与により、心拍出が急激かつ過剰に増加して心筋の酸素需要量が増え、その結果心筋虚血が増悪する可能性がある。

3.アドレナリンとドパミン
アトロピンが無効で経皮ペーシングを準備する間に、またはペーシングが無効な場合に、アドレナリン(210μg/)またはドパミン(210μg/kg/)の持続投与を考慮する。

4.経静脈ペーシング
経皮ペーシングやアトロピンなどは一時的な緊急治療であり、徐脈が持続する場合は経静脈ペーシングが必要である。また3度(完全)房室ブロックや高度房室ブロックでは、恒久ペースメーカーの植え込みが必要となることが多く、純循環器医にコンサルトする。

②症候のない徐脈への対応
1.心電図診断
症候を認めないか、軽度であり状態が安定していれば、心電図で3度(完全)房室ブロックあるいは高度房室ブロックの有無を診断する。これらでなければ経過を観察する。



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■目薬の使い方

【目薬の使い方】
Q)
1回に何滴さしたらいいですか?
2種類以上の目薬を点眼するときはどのようにしたらいいですか?

A)
目の中におさまる点眼液は1回1滴で十分です。1本5mlの製品とすると、約100滴に相当します。
2種類以上の点眼薬をさすとき、時間を空けずに続けてさすと、それぞれの目薬が薄まってしまいます。5~10分の間隔をあけて点眼するとよいでしょう。
点眼薬に記載されている期限は開封前の期限です。開封後は遅くとも1ヵ月以内に使い切りましょう。
ただし、1週間で期限が切れる薬もあります。




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2015年7月21日火曜日

■透析患者の水分管理は、なぜ重要なのか!?

腎臓は、体内の水分量を調節するという大切な役割を担っています。
ところが透析患者さんでは、腎機能がていかしているために、体内の水分量を調節することができません。
そのため、水分をとり過ぎると、心臓・血管に大きな負担がかかり、さまざまな症状や身体の変化が現れてきます。

≪水分を摂り過ぎた時の症状・からだの変化≫
・むくみ
・体重増加
・咳・痰が出る
・寝ていると息苦しい
・動機、息切れ、呼吸困難
・胸痛、胸が苦しい
・血圧上昇
・ヘマトクリット値が下がる
・心胸比が50%以上になる
・肺に水が溜まる

≪水分を摂り過ぎた時の透析合併症≫
▼高血圧
透析患者さんでよく見られる高血圧は、容量依存性高血圧といわれ、からだの水分量(体液量)の過剰が原因です。この場合、摂取水分と塩分量を減らすことにより血圧を下げることが出来ます。
※一般的に高血圧はさまざまな合併症を引き起こす生活習慣病としてもよく知られています。高血圧が持続すると心肥大(心臓が大きくなる)を起こし、心臓の機能を低下させたり、動脈硬化を悪化させます。また高血圧は虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)や脳血管障害に対しても危険因子となります。

▼心不全
心不全は、全身に必要な血液が送られない状態です。水分を塩分の摂り過ぎが原因であることが多く、過剰な水分と塩分により、心臓の仕事量が増え、最終的に心臓の働きが低下します。水分を摂り過ぎた症状の大部分は、心不全が原因であることが多く、最も注意すべき合併症です。

▼肺うっ血
肺が水浸しになった状態で心不全に合併してみられます。呼吸が苦しく、泡状の痰が出たりします。血液中の酸素濃度が低くなり、早急に透析で水を除去しないと危険な状態です。

≪ポイントは、ナトリウム≫
ナトリウムは、主に細胞の外に存在し、細胞外液の水分量を調節する役割を果たしています。体内では、ナトリウムは水分とともに移動し、血管内の血液の量を維持する重要な役割を果たしています。
※ナトリウム=塩分と考える。

≪ナトリウムの動き≫
食塩として口から入ったナトリウムは吸収され、血液の中に入ります。
ナトリウムが血液に入ることにより、血液中の塩分濃度は濃くなりますが、血液の塩分濃度を一定に保つ必要があるため、血液中への水分移動が起こります。
血液中の塩分濃度が濃くなると、喉が渇いて飲水が多くなり、血液の塩分濃度を正常化します。その後、健常であれば余分に摂った水分や塩分は腎臓から排泄されますが、透析患者さんでは腎臓による水分の調節能力がほとんどないため、ナトリウムの摂取によって、体内の水分は溜まる一方になり、不都合が生じてきます。
喉が渇いて水を飲んでしまうために、塩分の摂り過ぎは水分管理の最大の敵と言えます。

≪水分調節は透析の大切な役割≫
血液透析には、大きく分けて4つの役割があります。
尿毒素毒素を取り除く:尿素窒素やクレアチニンなどの老廃物が除去されます。
②過剰な水分を取り除く:体内の過剰な水分を取り除き、からだの水分量を一定に保ちます。
③電解質を調節する:血液中におけるナトリウム、カリウム、カルシウム、リンといった電解質の濃度を正常に近づけます。
④血液のpHを一定に保つ:血液中のpHを正常な状態である弱アルカリ性になるようにします。水分やナトリウムは、透析で除去されますが、1回の透析で除去する量を多くすると、身体に負担がかかり、ふらつき、血液低下、気分の不良を招きます。したがって、塩分や水分を控える必要があります。

 
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■SIADH(抗利尿ホルモン不適合症候群)

通常、血清Na濃度は抗利尿ホルモン(ADH)により調節されています。

ADHは、腎臓で作られる尿の量が多くなり過ぎて体内の水分が不足することのないように、体内に水を引き戻すホルモンです。

SIADHでは、血清Na濃度が低値であるにも関わらず、生理的な濃度を超えて不適切にADHが分泌され、水分が過剰になり低Na血症が続く状態になります。

SIADHは、肺小細胞癌、髄膜炎、くも膜下出血、肺炎などの原疾患を有する患者に好発することが知られていますが、薬剤により起こることもあります。

自覚症状としてSIADHが認識されることは少ないため、臨床検査で発見されるケースが多くみられています。




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