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2013年10月6日日曜日

■栄養と病気-NSTの意義

【栄養と病気】
  栄養とは何でしょう?病院に来る患者さんは、何かしら病気やケガをして来院するわけですから、健康な状態ではありません。病気やケガがひどければ、食事すなわち栄養が摂れない状態にある可能性があります。
 病気やケガでは、エネルギーを消費します。さらに、病気やケガが治るためには、普段よりも多くのエネルギーを必要とします。すなわち、十分な栄養が摂れなければ、病気やケガが治らない又は治りにくい、そして病気になりやすい状態になるのです。

 【NSTの意義】
 栄養療法には、経口・経腸〔経鼻経管、胃瘻、腸瘻〕・経静脈〔末梢静脈、中心静脈〕と多くの方法があります。栄養不良の患者さんに栄養療法を行う場合、方法や投与する栄養の量・成分などを決めなければなりません。
 さらに、栄養療法の効果判定も必要です。このような多くの課題を主治医だけで判断するのは大変です。そのため、チーム医療を実施して主治医にアドバイスし、患者さんの回復を助けることに、NSTの意義があります。

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2013年10月3日木曜日

■褥瘡と栄養

▼不良肉芽とは、真っ赤ではない肉芽であり、原因として除圧不足や鉄欠乏などが考えられる。
鉄が欠乏していると良好な肉芽はなかなか得られない→Hbにより肉芽の色は変わってくる。
◇不良肉芽の色(除圧不足を取り除いた後)とHbの関係
・Hb8以下:肉芽の色は、鶏肉色
・Hb9~10台:肉芽の色は、豚肉色
・Hb11以上:肉芽の色は、牛肉色
というわけで、この話を聞いてから不良肉芽のある患者様のHbについて注意してみていくことにしました。もともとHbは、栄養指標として注意してみてましたが、当院でもHbが10以下で、フェリチン・Feなどが低い患者さんに積極的に貧血食や鉄剤の投与を検討していきたいと思い現在、患者様の抽出を強化していっているところです。

▼Refeeding syndromeとは、慢性の半飢餓状態がの代謝に適合している患者に、大量のブドウ糖を急激に投与することで、主に体液量と電解質の以上に関連した、重篤な心肺機能および神経系の合併症〔心不全・末梢浮腫・けいれん・昏睡など〕を引き起こし、死に至る可能性が高い症候群。
大量の炭水化物投与の急速な再開により→低リン血症・低カリウム血症・低マグネシウム血症→死に至ることがある。
①まずその飢餓状態のときにどのくらいのカロリーを摂取していたかを調べる。
②摂取していたカロリー+100kcalぐらいから投与を開始する。
③3、4日後、100~200kcalぐらいずつ増やしていく。

▼褥瘡患者の亜鉛〔Zn〕の必要量
・欠乏の疑いがなければ、15mg/日
・欠乏の疑いがあれば、15~30mg/日
・亜鉛が不足し、欠乏症の発現まで14~45日である

▼栄養素:創傷治癒との関係:褥瘡患者での必要量/日
・鉄:血流の確保、組織への酸素運搬:12~15mg
・亜鉛:酵素活性、蛋白合成に重要な酵素を構成する:15mg前後
・ビタミンA:コラーゲンの合成、免疫力の向上:800~900μg
・ビタミンC:抗酸化作用、組織修復、抗炎症作用:500mg以上
・ビタミンE:細胞の老化防止、血流確保、ホルモン分泌:8~10mg
・アルギニン:一酸化窒素(NO)を産出、血管拡張・コラーゲン合成、免疫増強、細胞増殖因子の分泌促進:6~7g
・血糖値:循環障害をきたしやすく軟部組織を脆弱にするため褥瘡の原因となりやすい。糖尿病では末梢神経障害のほか、免疫力が低下しやすい。:80~110mg/dl以下

▼褥瘡の発赤を見てみよう
・発赤部を押してみて色が変わる〔赤→白っぽくなったりする〕→まだ血流がある。
・発赤部を押してみて色が変わらない→血流通ってないかも?

▼せっけん洗浄法
行った場合の褥瘡の治りは、1.7倍早い

▼褥瘡回診あったらいいかもアイテム
・看護師→体圧形+P-ライト
・薬剤師→褥瘡薬剤+せっけん
・栄養士→食品サンプル

2013年10月2日水曜日

■栄養サポートチーム(NST)専門療法士とは、

☆日本静脈経腸栄養学会認定資格☆
≪栄養サポートチーム専門療法士認定規則≫
■NST専門療法士の認定を申請する者の資格
NST専門療法士の認定を申請する者は、次の各号の資格を全て満足する者であることを要す。
①日本国の以下に掲げる国家資格を有すること。
認定対象国家資格:管理栄養士、看護師、薬剤師、臨床検査技師、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士、歯科衛生士。
②当該国家資格により5年以上、医療・福祉施設に勤務し、当該施設において栄養サポートに関する業務に従事した経験を有すること。
③本学会学術集会に1回(10単位)以上、本学会主催の教育セミナー(10単位)に1回以上参加することを必須とし、この単位数を必須単位数とする。必須単位数30単位以上を有するか、または、必須単位数に加え、本学会が認める栄養に関する全国学会(5単位)、地方会(5単位)、研究会(5単位)への参加単位数の合計が、30単位以上あること。
なお、「バーチャル臨床栄養カレッジ」修了証については非必須10単位を認める。
④第4章の規定により認定された認定教育施設(以下認定施設)において、合計40時間の実地修練を修了していること。
⑤上記①から④までの条件を満たした後、認定のための試験に合格していること。
 
■NST専門療法士を認定試験申請書類
①所定のNST専門療法士受験申請書、正・副(複写で可)各一通
②NST専門療法士受験申請書とともに提出するもの
▽最終学歴から申請時までの履歴書、一通
▽国家資格の免許証(写)、各一通
▽日本静脈経腸栄養学会学術集会参加証(写)、同教育セミナー受講証明書(写)、その他本学会の認めた全国学会、地方会、研究会等への参加証(写) 、各1通
▽指導医が自署捺印した認定教育施設実地修練修了証、一通
▽実地修練期間中にその施設において携わった静脈経腸栄養管理中の患者に関する1,600字以内の症例報告
 
■認定料は20,000円、手数料は10,000円とする。
 
■NST専門療法士認定試験は毎年1回。
 
■NST専門療法士の認定証
本学会NST専門療法士認定証の有効期間は、交付の日から5年とする。ただし、規定によりその資格を喪失した場合には、資格喪失の日を以って有効期間は終了する。
 
■NST専門療法士の資格更新
NST専門療法士認定証有効期間終了の1年前より資格更新業務を行う。
次の各号の条件を満たす者は、資格の更新を申請することができる。
①NST専門療法士に認定申請するもののうち、本学会会員でないものは申請時に本学会に入会し、更新時期まで引き続いて本学会会員であり、かつ会費を完納していること。
②NST専門療法士に認定するものがすでに本学会会員であった場合は、更新時期まで引き続き本学会会員であり、かつ会費を完納していること。
③認定期間中に以下に示す必須20単位を含む合計30単位以上を取得していること。
▽本学会学術集会(10単位)に1回以上の参加,認定後の「更新教育セミナー」または「スキルアップセミナー」を1回以上受講(10単位)していることを必須とする。
▽学会主催・共催のセミナー(NSTフォーラム,学術集会時共催企画等)および学会の認定した研究会・地方会・全国学会(各5単位)に2回以上参加していること。
▽認定期間中に取得した「バーチャル臨床栄養カレッジ」修了証については、1回に限り非必須10単位を認める。
 
■資格更新にあたっては次の各号の必要書類を提出しなければならない。
①所定の更新申請書
②学会学術集会参加証(写)1通. 必須
③本学会認定後の「更新教育セミナー」受講証明書 1通. 必須
④学会の認定した各種セミナー,研究会・地方会・全国学会への参加証(写)
⑤認定後の履歴書および在職証明証。
⑥NST専門療法士認定証(写)
⑦国家資格の免許証(写)
 
■資格更新申請には、更新手数料として10,000円を納入することとする。
 
 
【平成22年2月25日に改訂バージョン】

2013年10月1日火曜日

■脂肪乳剤投与により、呼吸困難が起こる理由について考えてみました!!

【脂肪乳剤投与により、呼吸困難が起こる理由について考えてみました】
脂肪乳剤の点滴を投与すると、副作用として呼吸困難の副作用が報告されています(特に小児に多い)が、その副作用の起こる機序について考えてみました。
一般的な考え方としては、糖質を投与する割合を下げ、脂肪を投与する割合を上げると呼吸商が下がるので、呼吸は楽になってくると考えられます。
それが製品として発売されているのが、プルモケアなどでしょう。
じゃあ、なぜ呼吸障害を起こすのでしょう!?
脂肪乳剤点滴の呼吸困難の副作用の機序(仮説)ですが、脂肪乳剤を投与することにより、TG(トリグリセリド)が上昇し、高脂血症となり、肺の換算機能の低下(肺機能の低下)を起こし、O2濃度の低下となり、呼吸困難になるという説があるようです。
分かりにくい説明で申し訳ありませんが、呼吸商が下がるというのは、糖質⇒脂肪にエネルギー源を変えるのであれば呼吸商は下がると思いますが、TG(トリグリセリド),脂肪自体の量が増えてしまっては、(代謝しなければいけない量が一気に増えるため)呼吸商は増えてしまいますもんね。なので、結局は、脂肪代謝が未熟な小児では、体内では高脂血症の状態となり、代謝しなければいけない脂肪の量が増え、呼吸困難が発症する確立は高くなるのではないでしょうか。
という仮説がもしも当てはまるのであれば、脂肪乳剤の投与スピードをゆっくり投与すれば、脂肪乳剤の点滴による呼吸困難も副作用ももしかしたら起こりにくくなるのではないでしょうか。
このこともあるからか、脂肪乳剤の点滴は、スピードをゆっくり投与するよう推奨されています。
さらにここを応用すれば呼吸状態の悪い患者様には、全般的に注入食などの投与スピードをゆっくり時間をかけて投与した方が、呼吸状態的にいい結果になるのではないでしょうか。
途中からは、自分の勝手な想像による解釈なので、合ってるかは怪しいですが、こういうことも考えられるのではないでしょうか。
■脂肪乳剤の投与速度:0.1g/kg/時以下
10%イントラファット200ml ダイズ油20g⇒約220kcal
∇体重30kgの場合:3g/時以下
10%イントラファット200ml1本投与するには、6時間40分以上かけたほうが良い
∇体重35kgの場合:3.5g/時以下
10%イントラファット200ml1本投与するには、5時間45分以上かけたほうが良い
∇体重が40kgの場合:4g/時以下
10%イントラファット200ml1本投与するには、5時間以上かけたほうが良い。
∇体重が45kgの場合:4.5g/時以下
10%イントラファット200ml1本投与するには、4時間26分以上かけたほうが良い。
∇体重が50kgの場合:5g/時以下
10%イントラファット200ml1本投与するには、4時間以上かけたほうが良い。
∇体重が55kgの場合:5.5g/時以下
10%イントラファット200ml1本投与するには、3時間40分以上かけたほうが良い。
∇体重が60kgの場合:6g/時以下
10%イントラファット200ml1本投与するには、3時間20分以上かけたほうが良い。


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■脂肪乳剤投与の役割

2013年9月30日月曜日

■脂肪乳剤は、基本末梢投与です。

『脂肪乳剤って末梢から投与してもいいんですか?』
『脂肪乳剤ってCVの側管から投与してるんですけど、いいんですか?』
などたまに質問受けます。

■脂肪投与量
①必須脂肪酸欠乏の予防
成人では、10%脂肪乳剤100~200ml/日または500ml/週
②エネルギー源として
全投与量の20~30%程度
成人では20%脂肪乳剤250ml/日程度

■脂肪乳剤投与上の注意点
①脂肪投与量が多すぎると、高脂血症や肝障害などを発生する。
②日中に投与して翌朝の採血で高脂血症になっていない範囲で投与する。
③脂肪のみを投与したり、同時に投与する糖質が少ないと、よく代謝されない。
④脂肪乳剤は、Caイオン・Mgイオン・Znイオンなど二価以上の陽イオンを含む輸液と混合するとただちに巨大化する。そのため、多剤との混合投与には十分な注意が必要である。
⑤脂肪乳剤の投与速度:脂肪が円滑に代謝されるためには、一般的な投与速度は0.1~0.15g/kg/時とされている。投与により静脈炎や血管痛・発熱・悪心・嘔吐・悪寒・顔面紅潮・頻脈・頻呼吸などの急性症状を起こすことがある。また、急速投与すると網内系の抑制によって免疫能が低下し感染症の増悪する危険性がある。そのため、代謝速度を勘案し、至適投与速度0.1g/kg/時以下を守るべきである。
⑥脂肪乳剤にはダイズ油由来のビタミンK1を微量含んでおり、ワーファリンの作用を減弱させるおそれがあるので注意する。
⑦n-3系の必須脂肪酸含有量が極端に少ない(α-リノレン酸は微量、EPAやDHAは全く含まれていない)ため、エネルギー基質として大量に投与(投与総カロリーの20~30%)しないときにはn-3系の欠乏症がおこりうる。
⑧血漿増量剤の荷電によって脂肪粒子表面の荷電に変化が生じるため、デキストランが体内から消失する時間(約96時間)以内では脂肪乳剤の投与を避ける。
⑨可塑剤のDEHP(フタル酸ジ-2-エチルヘキシル)を含む輸液セットで、脂肪乳剤を投与すると、DEHPが溶出し投与されてしまう。そのためDEHPを含まない輸液セットなどをしようすることが望ましい。

■脂肪乳剤は基本末梢投与です。
理由なんですが、
・粒子が巨大化しやすい→粒子の系が大きくなる→毛細血管が、詰まりやすくなる。
・脂肪乳剤は白い→配合変化などの確認ができない。
・脂肪のため細菌繁殖が起こりやすい
・TPNなどのCVからの投与は、フィルター詰まりの原因となる。
などが考えられます。


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2013年9月29日日曜日

■栄養剤に水を混ぜて注入するといけないのは、なぜですか?

▼原則的に、栄養剤は薄めないと考えてください。
栄養剤のみを先に注入してから、白湯やお茶はあとから注入するのが正しいという考えに最近はなっているみたいです。特に、お茶で栄養剤を薄めるっていうのは、栄養剤のたんぱく質と固まってしまってカテーテルを詰まらせる原因となったりするのでやめた方がいいです。
確かに以前は、栄養剤の浸透圧を下げるため水などで薄めて注入した方が下痢などが起こりにくいんじゃないかって言われてました。けどその考え方は見直されてきました。
日本で発売されている経腸栄養剤は、1kcal/mlの低濃度の製品が多く、もうこれ以上薄める必要がないほど薄いのです。
まっ最近では1.5~2kcal/mlのものも発売されてます。これらの製品は、1kcal/mlの製品では濃度が薄いので、量が多くいってお腹は膨れるがその割には栄養が入らないとかお腹(胃)が膨れ上がって胃食道逆流の危険性が増えるといったことなどに対して改良されたものです。
でも、白湯で薄めないといけない場合もあります。
それは、栄養剤に対して濃度依存性に下痢を起こす患者様に使う場合だったり、長期間消化管を使っていない患者様に栄養剤の慣らし運転をする場合です。慣らし運転は、濃度を低く量を少なくして栄養剤の投与を開始し、様子をみながら少しずつ増やしていくやり方です。あとは、栄養剤の固形化も結果としては薄めていることになりますが、特別な目的があるとき以外は薄めない方がいいのです。

▼さっここで、よくある質問です!!
『栄養剤のみを注入しても後から白湯を入れるのだから、胃の中で混ざって結局混ぜて注入するのと同じことじゃないの?』
この答えも調べました。これについて研究した人は偉いですよ~ヾ( ´ー`)
この考えは、間違いなのです。核医学的胃排出時間〔胃から栄養剤が十二指腸に出ていく時間を、胃内容が半分になるまでの時間で表したもの〕は、およそ55~70分〔高齢者では、57~106分〕だったみたいです。つまり、栄養剤が滴下されている間も、胃内容物はどんどん腸に流れているということになります。なので、胃内容が減った状態で後から白湯が入ってくるのと、最初から薄まった栄養剤が胃に入ってくるのとでは、違う現象であることがおわかりいただけるかと思います。それは、栄養剤を嘔吐して誤嚥するリスクと、白湯を嘔吐して誤嚥するリスクの差です。

▼下痢防止のために水で希釈しない。
栄養剤を水で希釈するのは、何度も言いますが、浸透圧を低下させるためです。じゃあその希釈することの問題点を考えてみましょう。まず希釈するという操作自体が細菌汚染の原因となります。なので、下痢予防のために栄養剤を水で希釈するのは逆効果です。また、栄養剤を薄めることは、栄養剤の粘度を低下させ、胃・食道逆流を誘発し、誤嚥性肺炎のリスクを高めます。そして水分の過剰摂取にも繋がり、下痢の原因になったりもします。
ヒトは約7,5Lの水分が唾液や消化液として分泌されています。特に小腸内には、1日に約7Lの小腸液が分泌されているため小腸内で希釈されるそうです。ですから、経腸栄養剤の投与速度を落とすと、経腸栄養剤が消化液で自動的に薄められるので、水で希釈するのと同じ効果が得られます。投与速度を半分に落として投与すれば、水で倍量に希釈するのと同じ効果が得られ、投与時間は同じです。
日本は、まだまだかもしれませんが、海外では、経腸栄養剤は水で希釈しないことが常識となっているそうです。
ただし、小児の場合は、腎機能の関係から高浸透圧性アシドーシスを予防するために0.5~0.8kcal/mlの濃度で投与することが推奨されています。

▼高濃度栄養剤〔1.5kcal/ml以上〕は下痢がおおいのでしょうか?
高濃度〔1.5kcal/ml以上〕の栄養剤は、浸透圧が高いため下痢が多いというイメージがあります。しかし、浸透圧が760mOsm/Lある成分栄養剤〔エレンタール〕とかの栄養剤ならともかく、高濃度という場合でも半消化態の栄養剤の場合は、それほど高くありません。約540mOsm/Lの浸透圧製品で、下痢の発生頻度が9.1%と報告されていますが、1kcal/mlの製品と比べてもそんなに高くありません。700mOsm/L以下なら特に問題はないと言われています。



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2013年9月28日土曜日

■食欲を増進させる方法

▼食欲低下の原因を調べる
食欲低下の原因は、栄養状態・食事・疾患・症状・精神状態・薬剤の副作用などがあります。
栄養不良状態では、食欲低下の原因にも結果にもなります。
食事の原因には、味が薄い・食事摂取不良による味覚異常・亜鉛やビタミンB郡不足などがあります。
疾患では、食べ物を消化する能力の低下・発熱・炎症(CRPが5以上とかでは、著名に食欲が低下するって言う話も聞いたことがあります。)・尿毒症の症状・精神的影響・薬剤の副作用などがあります。

▼対策
①栄養状態を改善する。
 栄養状態が悪いと消化能力や体力の低下が起こり、食事摂取量が進まず、さらにどんどん低栄養状態に進んでいきます。したがって、栄養状態の改善を行う必要があります。
・必要栄養量を満たすために、TPN〔中心静脈栄養法〕やPPN〔末梢静脈栄養法〕やEN〔経腸栄養法〕を併用します。
・経口で摂取を増やせるようなら、濃厚流動食や経腸栄養剤などを追加します。
・食事は、消化吸収に負担がないような形態にして、食べやすい味付けにします。

②味が薄いときは濃くする。
 塩分は、食欲増進作用があるため増やします。塩分増加の方法としては、主食では嗜好品をつけたり、おじやや麺類やおにぎりにしたり、副食では味付けを濃くしたり、食べやすいおかずや汁物の回数を増やします。
摂取量が少ない状態の人への塩分制限は、摂取している塩分が少ないのですから十分な量を摂取できるようになるまで塩分制限を解除したりすることも考慮します。

③味覚異常時には、亜鉛補給をします。
 食事摂取が不良していることによる味覚異常の原因は、亜鉛を多く含む蛋白質源が長期に不足していることが考えられます。亜鉛不足の状態では、食事ののみの亜鉛の補給量では、味覚異常の回復には十分な量ではないため、薬物での補給が必要になります【プロマック:胃潰瘍に使われる薬なんですが、亜鉛を多く含んでおり、味覚異常や褥瘡などの創傷治癒促進のための亜鉛補給として使われたりします】。改善した後も、積極的に亜鉛を食事で補給します。亜鉛を多く含む触診として、カキ(貝)・ウナギ・豚肩ロース・コンビーフ・ホタテ・カニ缶などがあります。

④ビタミンB郡の摂取を増やす。
 ビタミンB1の不足では、乳酸などの疲労物質が溜まり、食欲が低下します。このような状態で効果的な方法は、ビタミンB1だけでなく、エネルギーの供給や老廃物の代謝に働くビタミンB2やナイアシンなどの、ビタミンB郡全体を摂取することです。増やす食品は、蛋白質源が中心ですが、総合的に摂取するには、経腸栄養剤【グランケアなどがいいって言われています】やサプリメントなどが有効です。また、甘いものを中心に栄養補給を行う時には、ビタミンB1を同時に補給します。
 食品には、レバー・牛乳・卵・豚肉・鶏肉・大豆・などがあります。

⑤発熱や尿毒症の場合
 発熱や炎症では、炎症物質がある限り食欲はなく、経口摂取を思うように増やせないため、静脈栄養などの併用を検討していきます。
 尿毒症の原因は、腎機能低下に対するたんぱく質の過剰摂取です。まず一番の対策は、たんぱく質の原料です。尿毒症は、食欲低下を伴うことが多いため、重度の浮腫がなければ、塩分制限をなくして7gを超えないよう摂取量を観察していきます。十分に食べられるようになったら、塩分は制限します。

⑥精神状態
 癌の告知などやいろいろなトラブルが精神面に及ぼす影響は、食欲を大きく低下させます。1週間にわたる摂取量の低下があれば、PPNやTPNやENなどで栄養量の補給を検討します。また、病院食と家での食事の違いが大きく、食欲が出ないということもあります。こういう場合は、可能な限り家での食事パターンに近づけるように配慮します。食事内容でできることは、摂取しやすいものを提供することです。

⑦薬剤の副作用
 食欲に関係する薬物の副作用は、食欲低下や口内炎や味覚異常などがあります。食欲低下が起こりやすい抗がん剤の投与期間に経口摂取を施すことは、患者様にとって負担になります。このような場合の栄養補給も、PPNやTPNやENの併用を検討します。抗精神病薬や眠気の副作用を施す薬剤などが投与されている場合は、薬剤の投与を中止することで食欲が回復する場合がありますので、薬剤を本当に飲む必要があるのかについても再度見直していくことが必要となります。

▼全般的に、食欲がない場合は、いずれの原因でも、まず塩分を増やしてビタミンB郡や亜鉛の補給を考慮します。しかし、食欲不振が1週間持続したら、摂取量の増加がない時は、静脈栄養の併用を検討します。静脈栄養の併用は、安易な補給方法と考えられるかもしれませんが、重要なのはまず栄養状態の低下を防ぐことです。栄養状態の低下が続けば、またそれが食欲不振の原因へとなるからです。

2013年9月27日金曜日

■脂肪乳剤投与の役割

☆脂肪投与の役割
▼必須脂肪酸の供給源
リノール酸、α-リノレン酸、アラキドン酸
・細胞膜の構成成分
・プロスタグランジンの気質
▼効率の良いエネルギー源
・等質の約2倍のエネルギー(9kcal/g)
・等質の代替え
・糖質大量投与時の副作用軽減(高血糖、脂肪肝)
▼静脈炎発生の抑制
・血管内皮の保護効果
・投与輸液製剤の浸透圧の低下
・浸透圧とpHが血液に近いので、静脈炎を起こしにくい

☆脂肪乳剤使用の注意点
 製剤の平均粒子径0.2~0.4μm(<1μm)⇒通常のフィルターは使用しない。

☆脂肪乳剤使用の禁忌
①重症肝疾患
 肝臓専門の医師によれば、肝硬変への投与は特に問題ないとのこと(肝硬変の人でも脂肪食べてるでしょ)。しかし肝不全の人へは使わない方がよい。
重症肝疾患との記載は、わかりにくい⇒例えばビリルビンが3を越す場合は、まあ投与をやめた方がよいとのこと。GOT・GPTはそこまで気にしなくてもいい(基準を作るのが難しい)。
②高脂血症
③血液凝固障害
④血栓症
 ③、④については、使ってもそんなに変わり(問題)はないらしいのですが、添付文書に記載されているため裁判になると負けます。


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2013年9月26日木曜日

■輸液の投与スピード

■糖質輸液の投与速度
∇グルコースの投与速度限界:5mg/kg/min以下
・50kgの人に投与する場合、15g/hr以下=360g/day以下
・1日輸液量2000mlとすると、糖質濃度は18%となる。

∇血糖管理からみたグルコース/カロリー投与量の推奨
・グルコース投与速度:4mg/kg/min以下(早く投与すると高血糖になってしまう)
・投与カロリー量:24kcal/kg/day (肥満の場合は理想体重)

∇血糖管理目標:80~110mg/dl
↑実際には、100~150ぐらいでよい。80~110で管理すると低血糖が起こりやすい。

∇TPN施行期間中の血糖管理
血糖管理の目標
・血糖値:100~200mg/dl
・1日尿糖:10g以下(インスリンを使用する場合は尿糖を陰性にしない)
インスリンの投与
・初期量:グルコース10gに対して1単位
・輸液に混注
・輸液バッグ、湯液ラインへの吸着を考慮する
・コントロール不良の場合は微量注入器で注入する

フルカリック1号 ブドウ糖120g、遊離アミノ酸20g⇒560kcal
フルカリック2号 ブドウ糖175g、遊離アミノ酸30g⇒820kcal
フルカリック3号 ブドウ糖250g、遊離アミノ酸40g⇒1160kcal
ソルデム1 200ml ブドウ糖5.2g⇒20.8kcal
ソルデム1 500ml ブドウ糖13g⇒52kcal
ソルデム3A 200ml ブドウ糖8.6g⇒34.4kcal
ソルデム3A 500ml ブドウ糖21.5g⇒86kcal
ソルデム3PG 500ml ブドウ糖50g⇒200kcal
ソルラクト500ml ブドウ糖0g⇒0kcal
ソルラクトD 500ml ブドウ糖25g⇒100kcal
ソルアセトF 500ml ブドウ糖0g⇒0kcal
ソルアセトD 500ml ブドウ糖25g⇒100kcal
5%ブドウ糖注 250ml ブドウ糖12.5g⇒50kcal
5%ブドウ糖注 500ml ブドウ糖25g⇒100kcal
10%ブドウ糖注 500ml ブドウ糖50g⇒200kcal
50%ブドウ糖注 200ml ブドウ糖100g⇒400kcal
50%ブドウ糖注 500ml ブドウ糖250g⇒1000kcal


■アミノ酸輸液の投与速度
アミノ酸の投与速度限界:10g/hr以下
アミカリック500ml ブドウ糖37.5g、遊離アミノ酸13.75g⇒205kcal
アミゼットB200ml 遊離アミノ酸20g⇒80kcal
アミノレバン200ml 遊離アミノ酸15.98g⇒約64kcal
アミノレバン500ml 遊離アミノ酸11.8g⇒約160kcal
ネオアミュー200ml 遊離アミノ酸11.8g⇒47.2kcal


■脂肪乳剤の投与速度:0.1g/kg/時以下
10%イントラファット200ml ダイズ油20g⇒約220kcal
∇体重30kgの場合:3g/時以下
10%イントラファット200ml1本投与するには、6時間40分以上かけたほうが良い
∇体重35kgの場合:3.5g/時以下
10%イントラファット200ml1本投与するには、5時間45分以上かけたほうが良い
∇体重が40kgの場合:4g/時以下
10%イントラファット200ml1本投与するには、5時間以上かけたほうが良い。
∇体重が45kgの場合:4.5g/時以下
10%イントラファット200ml1本投与するには、4時間26分以上かけたほうが良い。
∇体重が50kgの場合:5g/時以下
10%イントラファット200ml1本投与するには、4時間以上かけたほうが良い。
∇体重が55kgの場合:5.5g/時以下
10%イントラファット200ml1本投与するには、3時間40分以上かけたほうが良い。
∇体重が60kgの場合:6g/時以下
10%イントラファット200ml1本投与するには、3時間20分以上かけたほうが良い。



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■投与速度に注意が必要な注射
■投与速度に注意が必要な注射:抗生物質・抗ウィルス薬
■投与速度に注意が必要な注射:循環器用薬
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2013年9月24日火曜日

■栄養剤の固形化

少し、PEG〔胃瘻〕について考えてみます。
PEGが普及してきた背景としまして、
経鼻胃管経腸栄養法による投与法〔いわゆる鼻注ってやつ〕では、
・逆流性食道炎や誤嚥性肺炎を起こすことが多い。
・挿入後2週間以内に患者さんが不穏状態となり、自己抜去などをしてしまう頻度が60~70%となっている。

【経鼻胃管に比べたPEGの利点は】
・胃や食道への逆流、そしてそれに起因する重大な合併症である誤嚥性肺炎のリスクが軽減
・見た目の束縛されたような感じからの開放感
・外出や入浴、嚥下性のリハビリが容易である
・チューブ抜去やチューブ詰まりの頻度の軽減
・介護者の負担の軽減

【PEGの問題点】
・液体栄養剤の注入速度が速すぎると下痢や嘔吐が起こしやすくなる。
・栄養の注入に時間がかかりすぎると体位などが長い時間制限され、
褥瘡が悪化したり,胃や食道に逆流を起こし逆流性食道炎や誤嚥性肺炎を起こすリスクが増加する。
・瘻孔周囲から栄養剤が漏れ、痛みやかゆみや皮膚炎そして感染のリスクがある。
そして、経腸栄養の期間が6週未満では、経鼻胃管を6週以上では、胃瘻・腸瘻が進められています。

【栄養剤の固形化の利点】
栄養剤を固めると、栄養剤の胃の中での動きが少なくなり〔胃内での栄養剤の滞留時間が長くなる。〕
「ゼラチンは、体温で溶けてしまうため適さない。」
そして
・胃や食道への逆流の軽減
・栄養剤の漏れの減少
・下痢の軽減
が期待できます。
そして、注入速度を早くできるため、短時間での注入ができ、患者さんの拘束時間の短縮に繋がり、褥瘡悪化のリスクの軽減が考えられます。
しかし、まだまだエピデンスが確立していないため問題はたくさんあります。いやいやこれからもまたでてくると思います。
方法なのですが、寒天や片栗粉で固形化する方法。
そして、栄養剤を増粘剤によって『半』固形化してしまうやり方など。

また固形化を半固形化にすることによって、
調整の際の加熱の必要がなくなったり、投与前に長時間保管する必要がなくなったりというメリットもあります。
メリットばかり上げると栄養剤の固形化がいいのかと思いますが、もちろんデメリットもたくさんあります。
・注入にかかる時間は短くなるが、注入に力がかかる
・調理に時間がかかる
・食事回数が増える可能性がある
・固形化にかかった寒天代などがかかる
・一気に注入することによって患者さんのお腹がパンパンになり苦しくなる可能性がある。


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