ω3多価不飽和脂肪酸のひとつであるエイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)の、スポーツパフォーマンスに与える影響に関する報告がいくつか知られています。
Tartibianらは、「健常男性にEPA、DHAを含むカプセルを一ヵ月間投与したところ、伸張性トレーニング施行48時間後の筋肉の痛みや関節可動域が、プラセボ群に比較して改善した」と報告しています(Clin J Sport Med, 2009; 19:115-119)。
彼らはω3脂肪酸が伸張性トレーニング後に上昇する炎症性マーカー(TNFα、PGE2)を、プラセボと比較して有意に抑制することも報告しています(Clin J Sport Med; 2011; 21: 131-137)。
また、筋電図などを用いた検査において、ω3脂肪酸が末梢神経筋機能や疲労の回復を促進するとの報告が知られています(Lewis EJH, et al. J Int Soc Sport Nutr, 2015; 12: 28)。
日本からも、ω3脂肪酸投与により伸張性トレーニングの後の筋痛、関節可動域が改善すると報告されています(Tsuchiya Y, et al. Eur J Appl Physiol, 2016: 116: 1179-1188)。
これらはEPA、DHA両者を含む油を投与しているものですが、DHAのみを投与して伸張性トレーニング後の筋痛、炎症マーカーの改善などを示した報告も知られています(Corder KE, et al. J Sport Sci Med, 2016; 15: 176-183)。
以上より、EPAやDHAの摂取がいわゆるスポーツパフォーマンスに良い効果があるのではと思われます。
運動により引き起こされる筋肉の炎症によって痛みが発生しますが、痛みがあまりに強い場合は長時間運動を続けることができません。特に筋力の増強が期待される伸張性トレーニングでは痛みが出現しやすいそうです。
しかし、トレーニングが継続できなければ、筋力増強などの効果も期待できません。
そこでEPA、DHAなどのω3脂肪酸を摂取すると、運動に伴う筋肉の炎症が最小限に抑えられて痛みが和らぎ、運動の持続が可能になると考えられます。
この結果、スポーツパフォーマンスも上がることになる訳です。
もちろん必ずしも理屈通りにいくとは限りませんが、是非試してみてください。
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