2018年8月4日土曜日

■睡眠薬の妊娠や授乳への影響

妊娠中や授乳中は、お薬はできるだけ控えたほうが良いことは言うまでもありません。しかしながらお薬をやめてしまうと不眠がひどくなってしまい、お薬が必要になることも少なくありません。

ここでは、睡眠薬の妊娠・授乳への影響をご紹介していきます。2つの基準をご紹介したいと思います。

妊娠への影響:FDA(アメリカ食品医薬品局)薬剤胎児危険度基準 A:ヒト対象試験で、危険性がみいだされない
B:ヒトでの危険性の証拠はない
C:危険性を否定することができない
D:危険性を示す確かな証拠がある
×:妊娠中は禁忌

授乳への影響:Hale授乳危険度分類
L1:最も安全
L2:比較的安全
L3:おそらく安全・新薬・情報不足
L4:おそらく危険
L5:危険


 妊娠への影響を考えていくにあたっては、奇形をおこしやすいか(催奇形性)薬の成分が胎児に届くことによる影響を考えていく必要があります。

 睡眠薬はこれまで、口唇口蓋裂のリスクが高くなるといわれており、FDAの基準でもDとなっていました。しかしながら因果関係がないとする報告もなされており、奇形を引き起こすリスクは低いと考えられています。 睡眠薬は、出産後に気を付ける必要があります。出生直後に離脱症状が生じてしまったり、赤ちゃんに鎮静作用が認められることがあります。産科の先生にお伝えしておけば、過度に心配しなくても大丈夫です。

 しかしながら、ハルシオンユーロジンドラールダルメート/ベノジールに関しては、FDAでは禁忌となっています。添付文章上では、有益性が上回るときのみ服用することとなっているため、禁忌ではありません。

 授乳に関しては、睡眠薬はL3に分類されているものが多いです。効果が強い睡眠薬はL4となっています。赤ちゃんに伝わることで眠気が強まり、哺乳が不十分になることがあります。赤ちゃんの成長がとまってしまうこともあるため、注意が必要です。
 以下のような対処法があげられます。
・人工乳哺育にする
・作用時間が短いものにする
・服用してからの授乳間隔をあける(服用の直前に哺乳する)
・量を減らす




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