2015年5月4日月曜日

■カフェイン中毒

日頃みなさんが普通に飲まれているカフェインですが、救急で運ばれてくる薬物中毒の患者様の中には、たまにカフェイン中毒の患者様もいます。というのも、心療内科にかかっている患者様は、抗精神病薬がよく処方されています。抗精神病薬は、基本的に眠気の副作用が発現する頻度が高いです。ですので、眠気防止のためにカフェイン末が、たまに処方されている患者様もいます。
よく見るのは、安息香酸カフェインかな。その中にカフェイン末が、約50%ぐらいだったかな(?)、含まれています。それで、抗精神病薬をたくさん飲んで自殺しようとして、一緒に処方されているカフェイン末も多量に飲むため、たまにカフェイン中毒の患者様も運ばれてきます。カフェインってふつうにみんな飲んでいるんだから別に大丈夫じゃないかと思われるんですが、実はけっこう少ない量で致死量に達することもあり、注意しないといけません。


☆カフェイン:キサンチン系☆
▼通常一杯分のカフェイン量
 コーヒー:90~120mg
 インスタントコーヒー:60~80mg
 紅茶:70mg
 茶:80mg
 コーラ:19mg
 ココア:20mg

▼薬用量
 常用量:1回0.1g~0.3g、1日0.2g~0,9g
 最大投与量:1回0,5g、1日1,5g

▼中毒量・致死量
 半数致死量:体重1kg当たり200mg
 ヒト経口推定致死量:約10g(ヒトに1g以上与えると副作用が現れる)
 ラット経口LD50:200~250mg/kg
 イヌ経口LD50:140~150mg/kg 

▼毒性機序
・中枢神経に対する広範な刺激作用。
・胃粘膜を刺激し、胃酸の分泌をほどこす。
・心筋を直接刺激して収縮力を高め、また冠動脈を拡張させ強心作用を現す。
・腎尿細管に直接作用し、Naイオン・Clイオンの再吸収を抑制すると同時に腎血流量を増加し、利尿作用を現す。

▼体内動態
最高血中濃度Tmax:約1時間
生物学的半減期T1/2:3,5時間
排出経路:ほとんど全量尿中から排泄される。

▼中毒症状
悪心・嘔吐・腹痛・頭痛・眩暈・耳鳴り・胸部熱感・発汗・体温上昇・不眠・不安・せん妄・幻覚・尿量増加・瞳孔散大振戦・痙攣・酩酊様興奮・不整脈・心悸亢進・頻脈・血圧下降・呼吸促進・循環不全・知覚異常・尿意頻数
重症例では、縮瞳・対光反射消失・視野狭窄・強直・虚脱・呼吸麻痺・昏睡・心停止

▼処置法
・胃洗浄
・吸着剤:活性炭の投与
・下剤の投与:硫酸マグネシウムやマグコロールPなどの投与
・輸液:アスコルビン酸(ビタミンC)注を加え、キサンチン系薬剤の排出を促進する。
・対症療法
 興奮や痙攣には、セルシンやフェノバールの投与。
 頻脈には、インデラルなどのβ遮断薬の投与
・重症例には、血液透析や血液吸着を行う。


◇けっこう致死量は、低いけどなかなかカフェインを飲みすぎて亡くなったっていう人は聞かないですよね。LD50が200mg/kgってことは、だいたいコーヒー1杯で100mgのカフェインを含有しているため、コーヒーを100杯ぐらい飲むとけっこう危険ってことですね。そんなに飲めんちゅうに∑( ̄口 ̄)しかもだいたい2時間ぐらい以内に一気飲みしないといけないし。
あと、最高血中濃度に到達する時間が、約1時間で半減期が3.5時間ってことは、単純に考えるとコーヒー飲んだら1時間後ぐらいが一番効いてて3,4時間経つとコーヒーの効き目は切れてくるって感じかな。
さっ日々勉強です(*^-^)b




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