2014年6月13日金曜日

■アルブミン製剤の使い分けは!?≪4.4%・5%と20%・25%アルブミン製剤≫

薬としてのアルブミンには、等張製剤と高張製剤の2種類の製剤がります。
4.4%製剤・5%製剤⇒等張アルブミン製剤
20%製剤・25%製剤⇒高張アルブミン製剤
これらは、病態により使い分けられます。

4.4%・5%などの等張アルブミン製剤は、出血・熱傷や循環血漿量の著名な減少を伴う疾患などで、循環血漿量の減少を是正する目的で使用される。
製剤中の水分量が多く調整された『等張アルブミン製剤』を使用することによって、少ない輸血量で多くの血漿量の減少を回復することが期待されます。また緊急出血時に迅速に血漿の不足を補給することが期待されます。
そのため、外資得・手術・腸の閉塞・麻痺・熱傷などが原因で、循環血液量が大幅に減少する血液減少性ショックなどで使用されます。
血液量が大幅に減少すると、全身の臓器や組織に十分な酸素を含む血液が供給できません。その結果、体の細胞はエネルギー代謝に障害をきたし、ショック状態になります。
このように、大量の体液が失われた場合に『等張アルブミン製剤』が使用されます。
★主に出血などにより、血液量が不足した時に使われます★

20%・25%などの高張アルブミン製剤は、主に浮腫あるいは肺水腫・腹水を伴う場合にその改善を目的で使用される。
高張アルブミン製剤を血管内に補充することで、血漿浸透圧を上昇させ血管外の水分を血管内に戻すように働き、浮腫(むくみ)や腹水の改善を図ることができます。
アルブミンは、主に肝臓で作られています。肝不全などで、十分な量のアルブミンを作れなくなった場合、低アルブミン血症が起こります。さまざまな病気や出血や食物を経口摂取できないための栄養不足などが原因で低アルブミン血症を起こすこともあります。
重症化した低アルブミン血症を治療しないと、体内の浸透圧のバランスが崩れ組織に水分が移動し、腹水・胸水などの浮腫みを引き起こします。
このような症状の改善に『高張アルブミン製剤』が使用されます。
★主に血管外の水を血管の中に戻す時に使われます★

アルブミンと言うのは、血液内に存在する重要なたんぱく質で、栄養の指標となります。
このアルブミンが低下すると体が浮腫んできます。
病気の症状が重症になるとだいたい浮腫んできますが、これはアルブミンがどうしても低下してくるからです。
アルブミンは、血漿浸透圧の重要な部分であり、血漿浸透圧が低下すると血管内から水分がでてしまうのです。
アルブミンをアルブミン製剤で補給することは大切です。
しかし、本当に必要かどうか良く考えて投与しなければいけません。
アルブミンは、献血から作られている薬剤であり、病気が移る可能性がゼロではありません⇒肝炎など病気が移る可能性・リスクがある。

 

アルブミン製剤の種類

(純度)

加熱人血漿たんぱく

(80%以上)

人血清アルブミン

(96%以上)

等張・高張の区分

等張アルブミン製剤

高張アルブミン製剤

アルブミン濃度

4.4

5

20%および25

適応

主に急性期の循環血漿量の補充に用いる。何らかの原因で失われた血症を補う。

※加熱人血漿たんぱくは、過去に血圧低下の副作用があったため、人工心肺使用時などには使えない。

主に慢性期の低アルブミン血症によって起こった浮腫や腹水貯留の改善に用いる。

適応症

   出血性ショックなど

   循環動態が不安定な血液透析などの体外循環施行時

   重症熱傷

   循環血漿量の著名な減少を伴う急性膵炎など

 

 

   出血性ショックなど

   循環動態が不安定な血液透析などの体外循環施行時

   重症熱傷

   循環血漿量の著名な減少を伴う急性膵炎など

   人工心肺を使用する心臓手術時

   凝固因子の補充を必要としない治療的血漿交換療法

   肝硬変に伴う難治性腹水に対する治療

   難治性の浮腫、肺水腫を伴うネフローゼ症候群

   凝固因子の補充を必要としない治療的血漿交換療法

   低たんぱく質血症に起因する肺水腫あるいは著名な浮腫が認められる場合

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2014年6月9日月曜日

■マーカイン等比重と高比重の違いは!?

脊椎麻酔(腰椎麻酔)

≪等比重製剤≫

・麻酔範囲の広がりが緩徐である。
・高比重製剤に比べて作用発現時間が遅く、作用持続時間が長い。

≪高比重製剤≫

・麻酔範囲の広がりが比重に依存しているため手術台の傾斜によりある程度の麻酔範囲の調節が可能である。
・等比重製剤に比べて作用発現時間が早く、作用持続時間が短い。




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2014年6月2日月曜日

■SGLT-2阻害薬:特徴と注意点

≪SGLT-2阻害薬≫
一般名:商品名
▼イブラグリフロジンL-プロリン:スーグラ
▼ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物:フォシーガ
▼ルセオグリフロジン水和物:ルセフィ
▼トホグリフロジン水和物:アプルウェイ・デベルザ

≪特徴≫
近位尿細管でのブドウ糖の再吸収を抑制することで、尿糖排泄を促進し、血糖低下作用を発揮する。
・体重を減らす作用が期待される。
・インスリンとは独立した作用を示すため、単独使用では低血糖をきたす可能性は低い。

≪注意点≫
・腎機能低下患者では、糸球体濾過率が低下しているため、効果が減弱し、よい適応ではない。
・尿路感染症・性器感染症(特に女性)の発現に注意する。特に日本人は、症状があっても自分からは訴えのないケースが多いかもしれない。
・薬理作用から、SGLT-2阻害薬投与中は、血糖コントロールが良好であっても尿糖陽性を示す。したがって、尿糖・1.5-AGの検査結果は、血糖コントロールの参考とならないので注意が必要である。
・SGLT-2阻害薬の尿中ブドウ糖排泄促進作用により、浸透圧利尿作用が働き、頻尿・多尿が見られることがある。
・体液量の減少をきたし、軽度の脱水症状を起こすおそれがあるため、渇中枢機能の低下しやすい高齢者にはよい適応ではない。また、このような症状が現れた場合には適度な水分補給を行うよう指導する。
・血中ケトン体が異常高値を示す例があり、注意が必要である。
・重症の腎不全と透析例と妊娠時には、使わないこと。


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