はじめに
近年、医療現場でも「ハラスメント」という言葉を耳にする機会が増えました。
パワーハラスメント、モラルハラスメント、カスタマーハラスメントなど、職場を取り巻く問題として注目されています。
一方で、医療現場では、
「指導との違いが難しい」
「厳しく言わないと医療安全上困る」
「忙しくて余裕がない」
という現実もあります。
病院薬剤師として働いていると、
“安全を守る厳しさ”と“人を傷つける言動”の境界
について考える場面があります。
そして最近感じるのは、
ハラスメントと心理的安全性は密接につながっている
ということです。
今回は、「病院薬剤師」という立場から、ハラスメントと心理的安全性について考えてみたいと思います。
この記事でわかること
この記事では、
・ハラスメントと指導の違い
・心理的安全性との関係
・病院職場で起こりやすい問題
・病院薬剤師として意識したいこと
について、現場目線で考えていきます。
心理的安全性とは何か?
心理的安全性とは、
「安心して意見を言える状態」
のことです。
たとえば、
- 分からないことを質問できる
- ミスを隠さず相談できる
- 違和感を安心して伝えられる
- 他職種にも意見を言える
こうした状態が保たれている職場では、医療安全も高まりやすくなります。
一方で、
「怒られるかもしれない」
「否定されそう」
「また嫌味を言われる」
そんな空気があると、人は黙ります。
そして沈黙は、時に患者安全を脅かします。
ハラスメントは心理的安全性を壊す
ハラスメントが起こる職場では、心理的安全性が低下します。
たとえば、
「こんなことも分からないの?」
「前にも言ったよね?」
「考えたら分かるでしょ」
こうした言葉。
言った側は、
「教育のつもり」
「成長してほしい」
と思っている場合もあります。
しかし、受け手は、
“次から聞けなくなる”
ことがあります。
すると、
- 質問しない
- 報告しない
- ミスを隠す
- 違和感を言えない
という悪循環が生まれます。
これは結果として、
医療安全リスク
につながります。
「厳しい指導」とハラスメントの違い
ここは非常に難しい部分です。
医療では、時に厳しい指導も必要です。
患者さんの命に関わる場面では、
「それは危険」
「この確認は必須」
と明確に伝える必要があります。
しかし、違いは、
“相手を成長させる目的か、傷つける言動か”
だと思います。
例えば、
指導
「この確認が抜けると患者さんへ影響が出るから、次はここを意識しよう」
→ 行動改善に向いている
ハラスメント的言動
「何年目?信じられない」
→ 人格否定に近い
重要なのは、
問題行動を指摘するのであって、人を否定しないこと
ではないでしょうか。
医療現場で起こりやすい“グレーゾーン”
病院では、忙しさや緊張感から、意図せず強い言葉になることがあります。
特に、
- 忙しい時間帯
- 人手不足
- インシデント直後
- 多職種との認識ズレ
などでは感情が強く出やすくなります。
だからこそ、
「自分の言葉が相手にどう届くか」
を意識することが重要です。
私自身も振り返ると、
「もっと言い方があったかもしれない」
と反省することがあります。
完璧な人はいません。
だからこそ、お互いに改善していける職場が必要なのだと思います。
病院薬剤師として意識したいこと
1.まず相談してくれたことを評価する
たとえ内容が初歩的でも、
「相談ありがとう」
「確認してくれて助かる」
という姿勢を持つ。
これだけでも心理的安全性は大きく変わります。
2.人格ではなく行動にフォーカスする
「あなたはダメ」
ではなく、
「この確認が抜けていた」
と行動に焦点を当てる。
これが指導とハラスメントを分けるポイントだと思います。
3.自分も間違う前提を持つ
経験を積むと、
「自分は正しい」
と思いやすくなります。
しかし、医療は複雑です。
ベテランでも見落とします。
だからこそ、
誰でも意見を言える職場
が必要です。
現場で感じること
病院で働いていると、
「もっと早く相談してくれたら防げた」
という場面があります。
一方で、
「言いやすい関係性だったから事故を防げた」
経験もあります。
結局のところ、
心理的安全性は“優しさ”ではなく、医療安全の土台
なのだと思います。
そしてハラスメントは、その土台を崩します。
だからこそ、
「言い方」
「伝え方」
「受け止め方」
を組織全体で考えていく必要があるのではないでしょうか。
まとめ
ハラスメントと心理的安全性は、切り離せないテーマです。
心理的安全性が低い職場では、質問・報告・相談が減り、医療安全にも影響します。
一方で、
厳しさ=悪
ではありません。
大切なのは、
患者安全を守るために、安心して意見を言える環境をつくること
だと思います。
病院薬剤師として私自身も、
「相談しやすい人」「話しかけやすい人」
でありたいと思っています。
皆さんの職場では、安心して相談できる空気がありますか?
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