妊娠中や授乳中は、お薬はできるだけ控えたほうが良いことは言うまでもありません。しかしながらお薬をやめてしまうと不眠がひどくなってしまい、お薬が必要になることも少なくありません。
ここでは、睡眠薬の妊娠・授乳への影響をご紹介していきます。2つの基準をご紹介したいと思います。
妊娠への影響:FDA(アメリカ食品医薬品局)薬剤胎児危険度基準
A:ヒト対象試験で、危険性がみいだされない
B:ヒトでの危険性の証拠はない
C:危険性を否定することができない
D:危険性を示す確かな証拠がある
×:妊娠中は禁忌
授乳への影響:Hale授乳危険度分類
L1:最も安全
L2:比較的安全
L3:おそらく安全・新薬・情報不足
L4:おそらく危険
L5:危険
妊娠への影響を考えていくにあたっては、『奇形をおこしやすいか(催奇形性)』・『薬の成分が胎児に届くことによる影響』を考えていく必要があります。
睡眠薬はこれまで、口唇口蓋裂のリスクが高くなるといわれており、FDAの基準でもDとなっていました。しかしながら因果関係がないとする報告もなされており、奇形を引き起こすリスクは低いと考えられています。 睡眠薬は、出産後に気を付ける必要があります。出生直後に離脱症状が生じてしまったり、赤ちゃんに鎮静作用が認められることがあります。産科の先生にお伝えしておけば、過度に心配しなくても大丈夫です。
しかしながら、『ハルシオン』・『ユーロジン』・『ドラール』・『ダルメート/ベノジール』に関しては、FDAでは禁忌となっています。添付文章上では、有益性が上回るときのみ服用することとなっているため、禁忌ではありません。
授乳に関しては、睡眠薬はL3に分類されているものが多いです。効果が強い睡眠薬はL4となっています。赤ちゃんに伝わることで眠気が強まり、哺乳が不十分になることがあります。赤ちゃんの成長がとまってしまうこともあるため、注意が必要です。
以下のような対処法があげられます。
・人工乳哺育にする
・作用時間が短いものにする
・服用してからの授乳間隔をあける(服用の直前に哺乳する)
・量を減らす
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