2015年1月24日土曜日

■インフルエンザ脳症

≪インフルエンザ脳症≫
主に乳幼児がインフルエンザに感染して39~40℃の高熱が続いた後、突然発症する脳浮腫で、幻覚・意識障害などの中枢神経障害を伴う。致死性の高い疾患で、無治療では発症した1~3割が死亡、2割近くに後遺症が報告されている。

≪インフルエンザ脳症発症機序≫
①インフルエンザウィルスに感染すると、宿主が応答しTNF-αやIL-6などの炎症性サイトカインが早期に誘導される。
②サイトカインは、生体防御を担う免疫系を発動させるとともに、全身の細胞でウィルス増殖に必須なプロテアーゼ(トリプシンなど)の発現を誘導する。
③トリプシンは、インフルエンザウィルスの膜タンパク質であるヘマグルニチンを分解して、膜融合を活性化する。これにより、宿主細胞に侵入することが可能となり、インフルエンザウィルスが増殖する。
④血管内皮細胞でこのサイクルが回転すると、トリプシンが細胞間のタイトジャンクション(密着結合)とアドヘレンスジャンクション(接着結合)を構成している物質を解離・消失させ、これに伴って血管膜の透過性の亢進が引き起こされる。
糖代謝が抑制され、脂肪酸代謝が亢進する。
CPT2が機能低下していると脂肪酸代謝も進まなくなる。その結果、ATPが生産されなくなりエネルギー不足になる。
⑤血管内の血漿成分は組織液側に漏れ出ていく(浸出)。多量の浸出液2より水分が貯留し、浮腫を呈して末梢機能不全となる。
⑥ ④、⑤が脳で生じると、ウィルスに侵入する以前に、浮腫の結果、脳圧が亢進する。重篤化するとインフルエンザ脳症となる。





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