2018年7月31日火曜日

■睡眠薬以外の不眠に効果のあるお薬

不眠に使われるお薬は、睡眠薬以外にもあります。
・抗うつ剤
・抗精神病薬
これらのお薬のうち、眠気を生じるものがあります。患者さんの症状を全体的にみて、睡眠薬よりも効果が期待できることがあります。

抗うつ剤

  睡眠薬がわりに使われる抗うつ剤は、鎮静系抗うつ薬と呼ばれます。セロトニン2受容体をブロックする作用があり、これにより睡眠が深くなります。NaSSAや四環系、三環系などは抗ヒスタミン作用が強く、催眠作用も強く認められます。トリプタノールなどの三環系抗うつ薬はREM睡眠を減らす作用があるので、悪夢の時などに使われます。
 
 抗精神病薬


  抗精神病薬は、ドパミン2受容体をブロックすることで鎮静作用をもたらします。SDAやMARTAなどの非定型抗精神病薬にはセロトニン2A受容体をブロックする作用もあり、睡眠を深くする作用も期待できます。




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2018年7月30日月曜日

■睡眠薬の強さの違い



 睡眠薬ごとに強さは異なります。まずは睡眠薬のタイプによって比較してみましょう。これらのうち、おもに睡眠薬として使われているベンゾジアゼピン系と非ベンゾジアゼピン系の強さについて、作用時間の違いごとに比較してみたいと思います。

睡眠薬の強さは、用量を増やせば作用は強くなります。ですから、最高用量で比較していきます。

超短時間型:効果のピークは1時間未満、作用時間は2~4時間
(ハルシオン>アモバン>マイスリー≧ルネスタ)

短時間型:効果のピークは1~3時間、作用時間は6~10時間
(レンドルミン≧デパス≒エバミール
/ロラメット>リスミー)

中間型:効果のピークは1~3時間、作用時間は20~24時間
(ロヒプノール
/サイレース>ベンザリン/ネルボン>ユーロジン)

長時間型:効果のピークは3~5時間、作用時間は24時間~
(ドラール>ベノジール
/ダルメート≒ソメリン)

 用量を超えて過量服薬しても、効果が強まるわけではありません。睡眠薬の用量を決めるにあたっては、様々な量で効果と安全性を試験しています。

 その結果として効果が頭打ちになる量が、睡眠薬の最高用量となっています。眠れないからといって、用量を超えて使うことはやめましょう。




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■睡眠薬の作用時間による分類

 睡眠薬は効果以外にも、睡眠薬(処方薬)は半減期によって超短時間作用型、短時間作用型、中間作用型、長時間作用型の4つに分類されます。

超短時間作用型・短時間作用型
 入眠障害の人やシフト勤務などで昼夜逆転している人に処方されることが多い薬です。半減期が短く、翌朝に効果が残りにくいのが特徴です。超短時間作用型なら約2〜4時間、短時間作用型なら約6〜10時間で血中濃度が半減します。

<代表的な薬>
ラメルテオン(メラトニン受容体作動薬)
ゾルピデム(非ベンゾジアゼピン系)
トリアゾラム(ベンゾジアゼピン系)

中間作用型・長時間作用型
 中途覚醒や早朝覚醒の人に処方されることが多い薬です。ベンゾジアゼピン系の薬が多く、GABAの作用を高めることにより、不安を和らげる効果も期待できることを利用して、心理的ストレスや精神疾患によって不眠に悩む人に処方されることがあります。血中濃度の半減には、中間作用型なら約20〜30時間、長時間作用型なら30時間以上かかるとされています。

<代表的な薬>
ニメタゼパム(ベンゾジアゼピン系)
クアゼパム(ベンゾジアゼピン系)

一口に睡眠薬といっても、その種類は効果や持続時間によって分類されています。処方薬は医師と、市販薬は薬剤師と相談し、自分の症状に合ったものを選んで、適切に飲むことが大切です。


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■睡眠薬の作用時間の違い


 睡眠薬として主に使われているのは、ベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系になります。これらの睡眠薬は脳の機能を低下させることで催眠作用をもたらすのですが、効果を考えていくには作用時間が重要となります。
 作用時間によって、大きく4つのタイプに分けられています。


超短時間型:効果のピークは1時間未満、作用時間は2~4時間
(ハルシオン・マイスリー・アモバン・ルネスタ)

短時間型:効果のピークは1~3時間、作用時間は6~10時間
(デパス・レンドルミン・エバミール/ロラメット・リスミー)

中間型:効果のピークは1~3時間、作用時間は20~24時間
(ロヒプノール/サイレース・ベンザリン/ネルボン・ユーロジン)

長時間型:効果のピークは3~5時間、作用時間は24時間~
(ドラール・ベノジール/ダルメート・ソメリン)




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2018年7月29日日曜日

■睡眠薬の効果

睡眠薬の効果は、種類ごとの効き方があります。

脳の活動を鈍くさせるタイプ
睡眠薬は、脳、すなわち中枢神経に作用するものがほとんどとなっています。またその代表的な部分がベンゾジアゼピン受容体という体機能を抑える器官です。

ベンゾジアゼピン受容体・・・脳機能の抑制に関わる物質。
人間のどの脳にもこのベンゾジアゼピン受容体は存在し、刺激されると活動機能が鈍くさせられます。睡眠薬や抗精神薬を飲むと気分がぽわーっとしてふらついたり眠くなるのはこの器官が働いているためです。
この受容体は、
ω1受容体、ω2受容体といった対をなした形をしており、
ω1受容体・・・睡眠への作用
ω2受容体・・・不安感情を和らげたり筋肉を緩める作用
といった見た目はさながら双子のようですが、別々の性質を持っています。睡眠薬はこの
BZD(ベンゾジアゼピン受容体)のω1ω2を刺激する事で催眠作用をもたらすのです。人によりますが、ルネスタ等の非BZD薬はω1にのみ狙って作用するのでふらつく等の副作用が少なくなったと言われています。

睡眠ホルモンに関与するタイプ
睡眠薬ロゼレムやそのジェネリックにのみに限って、ある特有のホルモンに働く作用があり、それがメラトニンというホルモンです。
メラトニン・・・人間が朝日が昇ったら活動し、夕方頃になると活動を静める体内時計ホルモン。
脳の視床下部と呼ばれる部分には、人間の寝ている・起きて
いるのリズムを決め、体内時計を管理するメラトニンというホルモンが存在します 。 時差ぼけや夜間シフトで昼間眠くなりがちなのはこのリズムが崩れている事が原因です。このホルモンを作動させる言わばスイッチのような部分がメラトニン受容体で、ロゼレム等の有効成分ラメルテオンは脳内のメラトニン受容体に作用し、睡眠(寝ている)と覚醒(起きている)のリズムを整え、自然な睡眠を促します。BZD受容体と比べ、速攻性を見込めない分はるかに自然な催眠効果と睡眠リズム形成する画期的なお薬です。



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