2015年8月8日土曜日

■高カリウム血症

 高カリウム血症は、血清K濃度5.5mEq/L以上と定義する。
 主な原因は、細胞崩壊によるK流出、腎臓のK排出障害などがある。さらに救急の現場では、クラッシュ症候群あるいは下肢の虚血再灌流による急性高カリウム血症があげられ、いずれも致死的で迅速な判断と対応が必要となる。
 高カリウム血症に伴う症状として、もっとも緊急度の高いものは、循環系への影響である。血清K値の上昇に伴い心電図に変化が現れるため、重症度のよい指標となる。心電図変化としては、尖鋭性T(テント状T)P波の平坦化、PR間隔延長(Ⅰ度房室ブロック)QRS幅拡大、深いS波とSTの合併、固有心室調律、サインカーブ様波形、VF、心静止などがある。テント状T波は、初期の心電図変化としてもっとも捉えやすく、気づかれた段階で早急に血清K値を検査して治療すべきである。

≪軽症:〜6mEq/L
・ケイキサレート1530gを経口投与(150300mlの水に懸濁)、あるいは腸注投与(100mlの水または2%メチルセルロース溶液に懸濁)する。症状により適宜増減する。
・フロセミド1mg/kgを緩徐に静脈内投与。

≪中等症:67mEq/L
50%ブドウ糖液50mlにレギュラーインスリン10単位を混合し、1530分で静脈内投与。
・軽症と同様の治療
・炭酸水素ナトリウム50Eq/L5分で静脈内投与(腎不全以外)
・血液透析(腎不全)

≪重症:7mEq/L以上で心電図以上あり≫
2%塩化カルシウム2550ml(あるいは0.5mol塩化カルシウム714ml、もしくは8.5%グルコン酸カルシウム1735ml)25分で静脈内投与。
・中等症と同様の治療。

≪心停止通常のBSLASLを実施≫
2%塩化カルシウム50mlもしくは0.5mol塩化カルシウム14mlを急速静脈内投与。
・炭酸水素ナトリウム50Eqを急速静脈内投与(重症アシドーシスまたは腎不全)
50%ブドウ糖液50mlにレギュラーインスリン10単位を混合し、急速静脈内投与。
・血液透析(薬物治療無効時)





2015年8月7日金曜日

■インテバン外用液1本はどのくらい持ちますか!?

150mlを134(13ml程度)使用した場合は、約7日間持ちます。



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■快く受けてもらえるための頼み方のポイント

▽思いつきで頼まない。なぜ、誰に頼むのかよく検討する。

▽相手の都合を確かめる。

▽メールで大事な頼み事をする場合、必ず電話か口頭で確認をとる。

▽負担の大きい頼み事は、事前に予告してから頼む。

▽相手を訪問する時は、約束の時間よりも早め(5分前)に行く。

▽頼みごとにノーはつきもの。ノーを恐れない。

▽相手への期待を込めて頼む。

▽ここ一番の頼み事は、相手の懐に飛び込んで本音で話す。

▽くどくどした長い前置きは無用。単刀直入に話す。

▽弱気、遠慮、気取りは頼みごとにはタブーである。




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■ピロリ菌について

■ピロリ菌って一体どんな菌なの!?
・正式名は、『ヘリコバクター・ピロリ』と言います。

・ピロリ菌は、胃の中に好んで住みつき、胃の壁を傷つける細菌で、1982年オーストラリアで発見されました。
・胃の中は強い酸性、細菌は住むことができないと思われていましたが、ピロリ菌は自ら住みやすい環境を作り出して生息しています。

■どの位の人がピロリ菌をもっているの!?...
・ピロリ菌の感染率は衛生環境と相関すると指摘され、50代以上の日本人の70~80%がピロリ菌に感染しているといわれています。
・経口感染が主な経路と考えられています。上下水道が整備されていないような地域や国では感染率が高く、先進国の中では日本は際立って高い感染率です(50歳以上)。しかし、衛生環境が改善された今日、若い世代の感染率は急速に低下しています。

■ピロリ菌は、胃・十二指腸で、 どんなワルさをするの!?
・胃の壁を傷つけ、胃を守っている粘液を減らし、酸の攻撃を受けやすくしてしまうので、胃炎や消化性潰瘍を発症させる要因になります。
・ピロリ菌が胃壁に取り付くと細胞を弱めてしまう毒素を出し始めます。すると菌をやっつけようと血液中の白血球が付近に集まります。両者の戦いが大きくなると、胃粘膜の消耗を早め、粘膜が炎症を起こして胃炎になったり、胃や十二指腸の粘膜が深くえぐられて消化性潰瘍になったりすると考えられます。

■ピロリ菌に感染すると、どうして胃潰瘍や胃がんになるの!?
・感染したからといって、潰瘍や胃がんが必ず発症するわけではありません。しかし、感染した人はほとんどの人に胃炎が起こります。除菌しない限り、ピロリ菌は胃の中に住み続け、慢性的に炎症が続きます(慢性胃炎)。
・慢性胃炎では、胃の粘膜を防御する力が弱まり、ストレスや塩分の多い食事、発がん物質などの攻撃を受けやすい無防備な状態となります。つまり、ピロリ菌は胃・十二指腸潰瘍、胃がんを起こしやすい下地をつくってしまうわけです。

■ピロリ菌がなくなれば、胃炎や消化性潰瘍にならないの!?
 除菌によって今まで潰瘍が治りにくかった人が治ったという報告があり、潰瘍の再発予防に有効です。
 消化性潰瘍がやっかいなのは、いったん治っても何度も再発を繰り返すことです。
 胃潰瘍患者の65~80%程度、十二指腸潰瘍患者の90%程度に胃の中にピロリ菌がいることがわかっています。
 ピロリ菌の除菌によって、再発を繰りかえす潰瘍が治ったという例が多くあります。

■1年間に胃・十二指腸潰瘍を再発する人の割合
▽なにも治療をしない場合⇒72%

▽再発を予防するために潰瘍が治った後も、薬をやめずにある期間飲み続ける治療をした場合⇒25%

▽ピロリ菌除菌に成功した場合⇒2%

■ピロリ菌は胃がんにも関係あるの!?
最近、ピロリ菌と胃がんの関係について解明されつつあります。
ピロリ菌が陽性であると、胃がんのリスクが高まります。ピロリ菌、陽性例および陰性例に対して10年間の追跡調査を行った結果、ピロリ菌陽性例では2.9%(1246例中36例)に胃がんが発見され、陰性例では胃がんが認められなかったという研究発表もされています。

■ピロリ菌がいるかどうか どうやって調べるの!?
検査方法は内視鏡(胃カメラ)を必要とする方法と必要としない方法に大きく分けられます。現在もっとも使用されている内視鏡を必要としない検査法は尿素呼気試験法です。

■内視鏡を使わない方法
▼尿素呼気試験
呼気(吐き出した息)を採取して調べる方法です。ピロリ菌が分泌するウレアーゼの働きで作られる二酸化炭素(CO2)の量を調べます。

▼抗体、抗原測定法
尿や血液や糞便中のピロリ菌に対する抗体や抗原の有無を調べる方法です。

■内視鏡を使う方法
内視鏡で胃の組織の一部を取って、次のいずれかの方法で検査します。
▼培養法
ピロリ菌を培養する。

▼迅速ウレアーゼ法
ピロリ菌が分泌するウレアーゼの
働きで作られるアンモニア(NH3)
の有無を調べる。

▼組織鏡検法
顕微鏡でピロリ菌がいるかどうか調べる。

【尿素呼気試験法ってどんな試験!?】
ピロリ菌は、胃の中の尿素を二酸化炭素(CO2)とアンモニア(NH3)に分解します。この性質を利用した試験法です。簡便で20分程度で済み、患者さんの苦痛もなく、精度が高いため、検査法の主流となっています。

■尿素呼気試験の実施手順
▼標準的な13C-尿素呼気試験法(20分程度)
①検査薬服用前に呼気(口から吐く息)を採取します。
②検査薬をつぶしたりせず、空腹時に水100mlとともに噛まずに速やかに(5秒以内に)飲みこみます。
③5分間、左向きに寝た姿勢を保ちます。
④その後、15分間座った姿勢を保ちます(椅子に座ります)。
⑤検査薬服用20分後の呼気(口から吐く息)を採取します。

▼呼気中13CO2の測定(2,3分程度)
①呼気中13CO2の測定は、質量分析法または、それに準ずる性能を有する分析法で実施します。
②判定は、△13C:2.5 0/00以上をピロリ菌陽性と判定します。

■ピロリ菌の除菌治療はどうやって行うのですか!?
 2種類の抗生物質と胃酸の分泌を抑える薬を1週間飲むだけです(一次除菌療法)。これだけで約80%の方は除菌に成功する、つまり胃の中からピロリ菌は完全に消えていなくなります。
 残り20%の除菌不成功の方には、抗生物質の1種類を変更して、同様に3種類のお薬を1週間飲む二次除菌療法があります。これにより、一次除菌に失敗した方の約90%の方が除菌に成功します。
 10%程度の人に下痢や味覚異常などの副作用が起こることがありますが、それよりも除菌治療によって、再発を繰り返していた潰瘍が治る(ピロリ菌が除菌できる)ということの方が有用性は高いと思われます。





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■Immunonutrition:免疫賦活栄養

近年注目されている手術や外傷などの侵襲を受けた、あるいはこれから受けようとしている患者に対して、免疫量の増強による感染症の発生予防や創傷治癒の促進などにより予後を改善させることを目的とした栄養法をimmunonutrition(免疫賦活栄養)という。
Immunonutritionには、栄養ルートとしての経腸栄養、グルタミンやアルギニンといったアミノ酸、n-3系脂肪酸、核酸、タンパク同化ホルモンの成長やinsulin like growth gactor 1(IGF-1)などが含まれる。

各種immunonutritionの効果



経腸栄養

・腸管バリア機能の維持

bacterial translocationの防止

・タンパク代謝改善

・免疫能の増強

・サイトカイン産生のモジュレーション

グルタミン

・腸管バリア機能の維持

bacterial translocationの防止

・タンパク代謝改善

・免疫能の増強

アルギニン

・免疫能の増強

・成長ホルモンなど下垂体ホルモンの分泌増加

・NOの基質

-3系脂肪酸

PGE2産生抑制による免疫能の増強

中鎖脂肪酸(MCFA)

腸管萎縮の防止

核酸

細胞性免疫の増強

ビタミンC・E

抗酸化作用

タンパク同化ホルモン

タンパク代謝の改善

免疫能の増強