1.ワセリン製剤:刺激が少なく安価で手に入りやすい。
ワセリンは石油から精製させる油脂性の物質です。皮膚に膜を張ることで水分の蒸発を防ぎます。刺激が少なく、安価で手に入るのが特徴です。ワセリン製剤は精製度の違いにより、「白色ワセリン」、「プロペト」、「サンホワイト」など種類が分かれています。
白色ワセリン>プロペト>サンホワイトの順で不純物が少なくなっており、不純物が少ない方がより低刺激になります。
2.ヘパリン製剤(ヒルドイド):副作用が少なく、水分保持作用がある。
「ヘパリン類似物質」という成分を含む商品のことをいいます。ヘパリン類似物質は水分保持作用、血行促進作用、抗炎症作用があるのが特徴です。副作用は少ないですが、血友病、血小板減少症、紫斑病等の出血性血液疾患がある人には使えません。
3.尿素製剤:古い角質を除去し、皮膚を柔らかくする。
尿素を含む商品のことをいいます。尿素は皮膚の角質層の水分を保持する作用や角質溶解作用があります。角質溶解作用とは簡単にいうと「皮膚を溶かす」ということですが、この作用によって古い角質を除去し皮膚が柔らかくなるのが特徴です。
4.その他:セラミド、ビタミンなど
1~3の他に保湿成分である「セラミド」や「ビタミン」等が配合された保湿剤もあります。
・セラミドを角層に浸透させることで不足しているセラミドを補い、肌内部の水分量を上げることができます。
・ビタミンEは皮膚から直接吸収され、皮膚の血行促進や皮膚温を上昇させるとともに、毛細血管の透過性を抑制します。また、皮膚の角質硬化防止、抗酸化作用、保湿効果、メラニンの沈着抑制、抗炎症作用、紫外線防御効果、化粧品の安定性向上等の多彩な作用・効果が認められています。特に保湿効果と抗酸化作用に優れ、乾燥肌や紫外線が気になる敏感肌の方には特にオススメできるビタミンです。
≪ワセリン製剤とヘパリン製剤の違いは!?≫
どちらも保湿剤という分類ですが、
・ワセリン製剤は、「膜を張ることで水分の蒸発を防ぎ、乾燥しないようにするもの」
・ヘパリン製剤は、「水分保持作用があるため、皮膚に潤いを与えるもの」
同じ保湿剤でも作用が異なるものです。
① こんなときはどの保湿剤を選べばいい!?ケース別保湿剤の選び方について
≪シチュエーションや部位別での分類≫
1.肌荒れが酷い方
低刺激なワセリン製剤がおすすめです。
具体的な商品でいうと、特に不純物の少ないワセリン製剤を使用しましょう。
2.水仕事で手が荒れがちな方(かさつきタイプ)
ヘパリン製剤や保湿成分であるセラミドやヒアルロン酸など成分が配合されたの保湿剤がおすすめです。
3.水仕事で手が荒れがちな方(ささくれ、あかぎれなどの肌荒れタイプ)
ヘパリン製剤や血行を良くするビタミンEなどが配合されたビタミン系の保湿剤を選びましょう。
4.肘・膝・踵、手のひら・足の裏が気になる方
硬くなった角質を柔らかくして保湿する尿素製剤がおすすめです。但し、炎症や傷がある場合は刺激になり、かえって良くない場合があるので注意しましょう。
② 保湿剤を使用する際の注意点
1.保湿剤を使用するのに適した肌の状態とは?
保湿剤を塗る際のポイントは「皮膚に水分が含まれた状態で保湿剤を塗る」ことです。入浴後5分以内に保湿剤を塗る、手洗い後肌がしっとりしているうちに保湿剤を塗るなど、皮膚に水分が含まれた状態で保湿剤を塗りましょう。
2.保湿剤はこまめに塗ろう
医師に塗る回数を指定されている場合は別ですが、保湿剤はこまめに塗ることが大切です。特に水仕事による手荒れの場合は、水仕事後は毎回保湿剤を塗るなど、こまめに塗るようにしましょう。
3.肌状態や使用箇所によって使い分けよう
保湿剤には種類があります。そのため、肌の状態や使用する箇所によって保湿剤を使い分けることが大切です。
③ まとめ