¢ナルコレプシーは、過眠症のひとつです。通常ならば寝てはいけない重要な場面でも我慢できないほどの強い眠気に襲われたり、突然眠ったりすることが特徴です。病気であるにもかかわらず、大事な場面でも眠ってしまうことについて「だらしない」「意欲が足りない」「真面目にやっていない」などと思われ、本人や周囲が病気と認識しない場合が多くみられます。
¢日本では、600人に1人がナルコレプシーであるといわれています。発達(体や神経・精神の機能的な成熟)に伴い発症し、日本では13~14歳が発症のピークであると報告されています。治療が遅れると社会生活に支障をきたす恐れがあるため、早期に診断されて治療を開始することが重要です。
≪ナルコレプシーの4徴≫
①睡眠発作:最も基本的な症状は日中の耐え難い眠気と居眠りが繰り返し生じること。居眠りの持続は、10〜20分。
②情動性脱力発作(カタプレキシー):発作的に起こる全身、または身体の一部に限局する筋緊張の低下あるいは消失する減少。持続は2〜3秒から数分以内であり、回復は速やか。発作中の患者の意識は清明である。情動の中で笑いが最もこの発作を引き起こしやすいが、驚愕、怒りなどでも起こる。
③睡眠麻痺:入眠時に生じる一過性の全身脱力症状。いわゆる金縛りのことである。持続は数分以内であり、患者はこの状態から自然回復する。
④入眠時幻覚:就寝後、間もなく、自覚的には目覚めているときに鮮明な現実感のある幻覚を体験する。
②、③、④の発現にはレム睡眠の機序が関与することから、レム睡眠関連症状という。
睡眠発作と情動性脱力発作の2症状が揃っていれば、臨床的にはナルコレプシーと診断。
≪ナルコレプシーの治療≫
規則正しい生活を送り、睡眠不足を避ける。
≪ナルコレプシーの症状と治療薬≫
▽夜間睡眠の改善
➡超短時間作用型・短時間作用型睡眠薬(ゾルピデム・ゾピクロン・トリアゾラム・ブロチゾラムなど)
▽昼間の眠気と睡眠発作
➡中枢神経刺激薬(メチルフェニデート・ペモリン・モダフィニル)
▽レム睡眠関連症状(情動性脱力発作・睡眠麻痺・入眠時幻覚)
➡三環系抗うつ薬(クロミプラミン・イミプラミン:レム睡眠を抑制する)
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