2016年8月24日水曜日

■ルンバールの適応と禁忌

【ルンバールの適応】
ルンバールが適応となるのは主に脳疾患や神経疾患です。これらの疾患の発症時には、髄液の値(圧・蛋白・糖など)が変化するために、髄液を採取し検査することで、病気の判別を行います。なお、一般的に適応となるのは以下の疾患です。
・髄膜炎
・くも膜下出血
・クモ膜下腔閉塞
・脳腫瘍
・特発性頭蓋内圧亢進症
・ギランバレー症候群
・多発性硬化症
・神経梅毒
・神経ペーチェット病
また、上記の疾患の判別だけでなく、場合によっては抗癌剤の髄注や脊髄造影のための造影剤注入の際にも行われます。
 
【ルンバールの禁忌】
・頭蓋内圧亢進が著しい場合(脳ヘルニア(大後頭孔ヘルニア)をきたすような頭蓋内圧亢進のみ禁忌)
・著しい出血傾向のある場合
・穿刺部位に感染巣がある場合
・脊髄の動静脈奇形がある場合
中でも気をつけなければいけないのが、頭蓋内圧が亢進している場合です。腫瘍や出血、膿瘍などによって頭蓋骨の中が圧迫された状態を「頭蓋内圧亢進」と言い、髄液を採取することで、脳圧が一気に下がり、大後頭孔を通って脳が外に飛び出す「脳ヘルニア」を発症する可能性があります。
ただし、髄膜炎などで頭蓋内圧が亢進している場合でも、腫瘍や出血、膿瘍などが原因で脳ヘルニアをきたす“可能性がない”場合には禁忌とはなりません。



■ルンバールとは!?

ルンバールは、腰椎部で行う脳髄液採取または検査のことであり、一般的には『腰椎穿刺』と言います。背中から腰椎と腰椎の間に針を刺し、脊髄くも膜下腔に存在する髄液を採取する手技であり、主に髄膜炎・脳腫瘍・くも膜下出血などの診断・検査に行います。
穿刺後に髄液の圧力を計り、糖や細胞数、蛋白などの各種データを測定するために56ml程度の髄液を採取しますが、この手技は難しいものではなく、15分~20分程度で終わる簡単なものです。
しかしながら、侵襲を伴う検査であるため、穿刺箇所や穿刺深度により合併症を発症することもあります。また、髄液を採取することで、髄膜や神経、静脈が下方に牽引され、鈍い頭痛を伴うことがあります。