2018年4月8日日曜日

■グレースビットは、乳酸菌製剤と併用できますか!?

臨床上、グレースビットが乳酸菌製剤の効果を減弱または消失してしまうという報告は無く、併用に問題が無いと考えます。
グレースビットと乳酸菌整腸剤併用試験を実施し、整腸剤併用による下痢発現の予防効果を検討した結果では、下痢の発現率、発現回数、持続日数に対する整腸剤併用による効果を確認することはできませんでした。しかし、グレースビット単独投与時に腸内細菌叢の減少が認められたのに対して、整腸剤併用時には嫌気性菌総菌数が保たれとの報告がありました1)

引用文献:
1)新発売時の申請資料概要 『2.7.6 個々の試験のまとめ p.162

参考:第一三共医薬情報提供


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■グレースビットと金属イオン含有製剤との相互作用は!?

グレースビットはアルミニウム又はマグネシウム含有の制酸薬等および鉄剤、カルシウム剤と併用注意です。
グレースビットは、金属イオン含有製剤とキレートを形成し、グレースビットの吸収が低下すると考えられています。
グレースビットは100mg(150mg12)と制酸剤(水酸化アルミニウムゲル1.0g、酸化マグネシウム500mg)、鉄剤(硫酸鉄:鉄として50mg)、カルシウム剤(沈降炭酸カルシウム1g)との併用で、グレースビット単独投与時との比較データ1)
 
・アルミニウムでは、グレースビットのCmax82%低下、AUC0-24h75%低下。
・鉄では、グレースビットのCmax67%低下、AUC0-24h56%低下。
・マグネシウムでは、グレースビットのCmax57%低下、AUC0-24h51%低下。
・カルシウムでは、グレースビットのCmax37%低下、AUC0-24h33%低下。
 
金属イオン含有製剤と併用する場合は、グレースビットを先に投与し、2時間以上あけて金属イオン含有製剤を投与してください。
もし先に金属イオン含有製剤を投与した場合には、最低36時間空けることと報告されています2)
 
引用文献:
1)柴孝也:日本化学療法学会雑誌 200856(S1)25-31
2)伊藤由紀 ほか:医薬ジャーナル 200137(12)3598-3603 

参考:第一三共医薬情報提供


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2018年4月4日水曜日

■クラビットの経口剤と金属イオン含有製剤との相互作用は!?

クラビットは鉄剤、およびアルミニウム又はマグネシウム含有の制酸薬等と併用注意です。
クラビットは、金属イオン含有製剤とキレートを形成し、クラビットの吸収が低下すると考えられています。
クラビット経口剤(100mg)投与と金属イオン含有製剤の併用について、健常成人を対象としたクロスオーバー試験結果では、レボフロキサシンの吸収が低下し、血中濃度が低下することが文献報告にて示唆されております1)
・アルミニウムについてはCmax65%の低下、AUC44%の低下


・マグネシウムについてはCmax38%の低下、AUC22%の低下
・鉄についてはCmax45%の低下、AUC19%の低下
金属イオン含有製剤と併用する場合は、クラビットを先に投与し、12時間後に金属イオン含有製剤を投与してください。
もし先に金属イオン含有製剤を投与した場合には、最低36時間あけることと報告されています2)


なお、500mg11回投与データはありませんが、クラビット経口剤(100mg)と同様と考えます。

引用文献:
1Shiba K et al.Antimicrob Agents Chemother 199236(10)2270-2274


2)伊藤由紀 ほか:医薬ジャーナル 200137(12)3598-3603

参考:第一三共医薬情報提供


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■クラビット経口剤の小児への投与は!?

クラビットは、小児(15歳未満)に対する安全性が確立しておらず、禁忌です。
治療上の有益性を考慮して投与する場合でも炭疽等の重篤な疾患に限られます。
 
<参考>
動物実験で関節異常が認められています。
幼若イヌ(4ヶ月齢)、若い成熟イヌ(13ヶ月齢)、幼若ラット(34週齢)にクラビットをそれぞれ10mg/kg40mg/kg300mg/kg以上で投与した結果、関節軟骨の水疱やびらん形成などが認められました。

参考:第一三共医薬情報提供


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2018年4月3日火曜日

■クラビット経口剤の授乳婦への投与について教えてください。

クラビットの添付文書には、“授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること。[オフロキサシンでヒト母乳中へ移行するという報告されている]”と記載されています。

【乳汁への移行性】
ヒトの報告:レボフロキサシンが乳汁中へ移行を認めた海外報告があります。
出産直後に敗血症を認めた患者さんに対し、レボフロキサシン500mg/日を9日間静注後、14日間経口投与しました。投与中と服用中止後の5日間、母乳を採取し乳汁中濃度を測定した結果、定常状態での乳汁の最大曝露量は投与終了5時間後で8.2μg/mLでした。最終投与の約48時間後には検出不可(0.05μg/mL)となりました。なお授乳婦におけるレボフロキサシンの最大乳汁中濃度は血漿中濃度と同等でした1)
動物の報告:乳汁への移行が高いと報告されています。
 
【授乳の再開時期】
授乳再開時期の明確なデータはありませんので、授乳再開時期の判断は医師、薬剤師により決定してください。一般的には、半減期の46倍空けていただくと、薬剤の大半が消失するといわれています23)。
(クラビットの半減期は7.89±1.04時間)
 
引用文献:
1Cahill,Jr JB et alPharmacotherapy 200525(1)116-118
2Howard CR et alClin Perinatol 199926(2)447-478
3)澤田康文ほか:薬剤予測学入門(薬業時報社)199372-84

参考:第一三共医薬情報提供


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