2015年7月25日土曜日

■ピロリ菌における尿素呼気試験で偽陰性を生じる可能性のある薬剤

ピロリ菌のウレアーゼ活性に影響を与える薬剤を服用していると、ピロリ菌が残っているにも関わらず、除菌されてしまったような『偽陰性』の判定が出る可能性がある。

▽偽陰性を生じる可能性がある薬剤
以下のような薬剤服用中または服用中止直後では、偽陰性になる可能性があるため注意すること。下記薬剤服用中止後2週以降(できれば4週以降)の時点で呼気試験を実施するのが望ましい。
・プロトンポンプ阻害薬:PPI
オメプラール(オメプラゾール)、タケプロン(ランソプラゾール)、パリエット(ラベプラゾール)、ネキシウム(エソメプラゾール)
・抗生物質全般
・胃粘膜保護剤
アルサルミン(スクラルファート)、ガストローム
・ビスマス製剤
次硝酸ビスマス

▽偽陰性を生じない胃粘膜保護剤
ムコスタ、セルベックス、アルロイドG

▽偽陰性を生じるかは不明だが、生じたという報告がない胃粘膜保護剤
マーズレン、ケルナック

▽除菌後に頻用されるHブロッカーに関しては、データはないが、偽陰性を生じることがないとも言えないとのこと(メーカーより)。上記の胃粘膜保護剤に関しても調査されていないため、データなし。




≪関連記事≫
■ランサップ400とランサップ800の使い分けは!?
■アルロイドGを服用した後、水などをすぐに飲んでもいいのか!?
■PPI(プロトンポンプ阻害薬)vsH2ブロッカー(H2受容体拮抗薬) 比較
■胃薬っていっぱいあるけど、何が違うの!?
■胃全摘患者にビスフォスホネート製剤って投与可能なの!?

■インフルエンザ脳症とCPT2の関係とは!?

≪インフルエンザ脳症とCPT2の関係とは!?≫
インフルエンザ脳症と診断され重症化した患者の多くでは、高熱時に酵素活性が急速に低下するCPT2の熱不安定性遺伝子多型が高頻度に見られている。
CPT2は、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ2の略で、脂肪酸の一部である長鎖脂肪酸のエネルギー代謝を担う重要な酵素である。CPT2の熱不安定性遺伝子多型は、高熱時の重症化のリスク因子と考えられている。
インフルエンザウィルス増殖、サイトカイン増加に伴い糖代謝の低下、ATP産生量の低下傾向を示すが、これを補うために脂肪酸代謝が更新する体内動態が起きると一般的に言われている。
長鎖脂肪酸を担うCPT2の機能低下を起こしやすい遺伝子多型を持つ人では、インフルエンザ感染による代謝変動に対応することができず、エネルギー不足となり、エネルギーを多く必要としている細胞・臓器から破綻症状が現れる。
これが脳の血管内皮細胞で起こり重症化した結果がインフルエンザ脳症であると考えられている。



≪関連記事≫
■脂肪乳剤は、基本末梢投与です。
■イントラリポス保険請求切られました!!
■脂肪乳剤投与の役割

≪相互リンク≫
にほんブログ村:薬・薬剤師ブログ
人気ブログランキング:薬剤師