2014年5月22日木曜日

■DPP-4阻害薬の代謝・排泄経路

・シタグリプチン(ジャヌビア・グラクティブ)は、主に陣排泄であり、腎機能低下に応じて減量が必要である。

・アログリプチン(ネシーナ)は、主に陣排泄であり、腎機能低下に応じて減量が必要である。

・アナグリプチン(スイニー)は、主に腎排泄であり、重度の腎機能低下患者(透析患者を含む)では、減量が必要である。

・テネリグリプチン(テネリア)は、腎排泄の寄与は約50%である。腎機能低下患者でも減量せず投与可能であるが、重度の腎機能低下患者では、AUCが約1.5倍に上昇することが報告されている。

・サキサグリプチン(オングリザ)は、腎排泄の寄与は約50%であり、約50%はCYP3A4/5により代謝され主要活性代謝物を生成する。主要活性代謝物は主に腎排泄である。腎機能低下に応じて減量が必要である。

・ビルダグリプチン(エクア)は、主に肝での加水分解により代謝される。ただし、重度の腎機能低下患者ではAUC1.4倍に上昇することが認められている。

・リナグリプチン(トラゼンタ)は、主に胆汁排泄であり、尿中未変化態排泄率が1%以下である。腎機能低下患者でも減量せず投与可能と考えられる。




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2014年5月21日水曜日

■ビグアナイド薬≪メトグルコ≫の適正使用に関するRecommendation

我が国のビグアナイド薬の投与患者において、諸外国と比べて必ずしも頻度は高くないものの乳酸アシドーシスが報告されている。乳酸アシドーシスは、しばしば予後不良で、死亡例も報告されており、迅速かつ適切な治療を必要とする。乳酸アシドーシスの発現を避けるためには、投与に当たり患者の病態・生活習慣などから薬剤の効果や副作用の危険性を勘案した上で適切な患者を選択し、患者に対して服薬や生活習慣などの指導を十分に行うことが重要である。

≪乳酸アシドーシスの症例に多く認められた特徴≫
・腎機能障害患者(透析患者を含む)
・脱水、シックデイ、過度のアルコール摂取など、患者への注意・指導が必要な状態
・心血管・肺機能障害、手術前後、肝機能障害などの患者
・高齢者
※高齢者だけでなく、比較的若年者でも少量投与でも、上記の特徴を有する患者で、乳酸アシドーシスの発現が報告されていることに注意。

Recommendation
まず、経口摂取が困難な患者や寝たきりなど、全身状態が悪い患者には投与しないことを大前提とし、以下の事項に留意する。
腎機能障害患者(透析患者を含む)
メトグルコを除くビグアナイド薬は、腎機能障害患者には禁忌である。
メトグルコは、中等度以上の腎機能障害患者には禁忌である。
SCr(酵素法)が、男性1.3mg/L・女性1.2mg/L以上の患者には投与を推奨しない。高齢者では、SCr値が正常範囲であっても実際の腎機能は低下していることが多いので。eGFRなども考慮して腎機能の評価を行う。ショック、急性心筋梗塞、脱水、重症感染症の場合やヨード造影剤の併用では急性増悪することがある。尚、SCrがこの値より低い場合でも添付文書の他の禁忌に該当する症例などで、乳酸アシドーシスが報告されている・

②脱水、シックデイ、過度のアルコール摂取などの患者への注意・指導が必要な状態
全てのビグアナイド薬は、脱水・脱水状態が懸念される下痢・嘔吐などの胃腸障害のある患者、過度のアルコール摂取の患者で禁忌である。以下の内容に患者に注意・指導する。また患者の状況に応じて家族にも指導する。シックデイの際には脱水が懸念されるので、いったん服薬を中止し、主治医に相談する。脱水を予防するために日常生活において適度な水分摂取を心掛ける。アルコール摂取については、過度の摂取を避け適量にとどめ、肝疾患などのある症例では禁酒する。

③心血管・肺機能障害、手術前後、肝機能障害などの患者
全てのビグアナイド役は、高度の心血管・肺機能障害(ショック、急性うっ血性心不全、急性心筋梗塞、呼吸不全、肺塞栓など低酸素血症を伴いやすい状態)、外科手術(飲食物の摂取が抑制されない小手術を除く)前後の患者には禁忌である。また、メトグルコを除く全てのビグアナイド薬は、肝機能障害には禁忌である(メトグルコでは、軽度〜中等度の肝機能障害には慎重投与である)

④高齢者
メトグルコを除くビグアナイド薬は、高齢者には禁忌である。メトグルコは、高齢者では慎重投与である。高齢者では、腎機能、肝機能の予備能が低下していることが多いことから定期的に腎機能、肝機能や患者の状態を慎重に観察し、投与量の調節や投与の継続を検討しなければならない。特に75歳以上の高齢者ではより慎重な判断が必要であり、原則として新規の患者への投与は推奨しない。

【日本糖尿病学会・日本糖尿病協会ホームページより】


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