2015年5月4日月曜日

■止まらない咳について

▼咳に伴う他の症状にも注意が必要
▼2週間以上咳が続く場合は、呼吸器科受診が望ましい
▼マスクの着用と加湿が咳の予防に有効

≪咳の役割≫
咳は体内への異物(病原体やほこりなど)の侵入を防ごうとする防御反応です。喉頭や気管や気管支に異物や冷たい空気などの物理的な刺激が加わると、その刺激の反射作用によって肺から空気を送り出して咳が出て異物を排出します。

≪痰の役割≫
痰は気管や気管支から出る粘液が、花や口から吸いこんだ異物(病原体や異物など)や気管などにある剥がれた細胞を絡め取った物です。喉頭から気管支の内側を覆う線毛の動きによって、口の方に戻されます。健康な時でも毎日100cc程分泌され、そのほとんどは呼吸時に蒸発します。風邪などにかかると気道粘液の量が増え、痰として咳と共に体外に排泄しています。

≪咳による体への負担≫
咳は、1回につき約2kcalのエネルギーを消費すると言われています。激しい咳が続くと体力を消耗するだけでなく心臓にも負担がかかります。また咳をすると、肋間筋が収縮するため、胸の痛みを感じることもあります。

≪咳を伴う疾患と症状≫
▼肺炎
乾いた咳(初期)+痰・胸痛・高熱
▼百日咳
激しい咳発作+痰・嘔吐
▼肺結核
乾いた咳(初期)+痰・微熱・疲労感・胸痛・血痰
▼気管支喘息
痰を伴う激しい咳+喘鳴・息切れ
▼気管支炎
痰を伴う咳+息切れ
▼COPD:慢性閉塞性肺疾患
痰を伴う咳+息切れ
▼進行した肺癌(初期無症状)
痰を伴う咳+血痰



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■カフェイン中毒

日頃みなさんが普通に飲まれているカフェインですが、救急で運ばれてくる薬物中毒の患者様の中には、たまにカフェイン中毒の患者様もいます。というのも、心療内科にかかっている患者様は、抗精神病薬がよく処方されています。抗精神病薬は、基本的に眠気の副作用が発現する頻度が高いです。ですので、眠気防止のためにカフェイン末が、たまに処方されている患者様もいます。
よく見るのは、安息香酸カフェインかな。その中にカフェイン末が、約50%ぐらいだったかな(?)、含まれています。それで、抗精神病薬をたくさん飲んで自殺しようとして、一緒に処方されているカフェイン末も多量に飲むため、たまにカフェイン中毒の患者様も運ばれてきます。カフェインってふつうにみんな飲んでいるんだから別に大丈夫じゃないかと思われるんですが、実はけっこう少ない量で致死量に達することもあり、注意しないといけません。


☆カフェイン:キサンチン系☆
▼通常一杯分のカフェイン量
 コーヒー:90~120mg
 インスタントコーヒー:60~80mg
 紅茶:70mg
 茶:80mg
 コーラ:19mg
 ココア:20mg

▼薬用量
 常用量:1回0.1g~0.3g、1日0.2g~0,9g
 最大投与量:1回0,5g、1日1,5g

▼中毒量・致死量
 半数致死量:体重1kg当たり200mg
 ヒト経口推定致死量:約10g(ヒトに1g以上与えると副作用が現れる)
 ラット経口LD50:200~250mg/kg
 イヌ経口LD50:140~150mg/kg 

▼毒性機序
・中枢神経に対する広範な刺激作用。
・胃粘膜を刺激し、胃酸の分泌をほどこす。
・心筋を直接刺激して収縮力を高め、また冠動脈を拡張させ強心作用を現す。
・腎尿細管に直接作用し、Naイオン・Clイオンの再吸収を抑制すると同時に腎血流量を増加し、利尿作用を現す。

▼体内動態
最高血中濃度Tmax:約1時間
生物学的半減期T1/2:3,5時間
排出経路:ほとんど全量尿中から排泄される。

▼中毒症状
悪心・嘔吐・腹痛・頭痛・眩暈・耳鳴り・胸部熱感・発汗・体温上昇・不眠・不安・せん妄・幻覚・尿量増加・瞳孔散大振戦・痙攣・酩酊様興奮・不整脈・心悸亢進・頻脈・血圧下降・呼吸促進・循環不全・知覚異常・尿意頻数
重症例では、縮瞳・対光反射消失・視野狭窄・強直・虚脱・呼吸麻痺・昏睡・心停止

▼処置法
・胃洗浄
・吸着剤:活性炭の投与
・下剤の投与:硫酸マグネシウムやマグコロールPなどの投与
・輸液:アスコルビン酸(ビタミンC)注を加え、キサンチン系薬剤の排出を促進する。
・対症療法
 興奮や痙攣には、セルシンやフェノバールの投与。
 頻脈には、インデラルなどのβ遮断薬の投与
・重症例には、血液透析や血液吸着を行う。


◇けっこう致死量は、低いけどなかなかカフェインを飲みすぎて亡くなったっていう人は聞かないですよね。LD50が200mg/kgってことは、だいたいコーヒー1杯で100mgのカフェインを含有しているため、コーヒーを100杯ぐらい飲むとけっこう危険ってことですね。そんなに飲めんちゅうに∑( ̄口 ̄)しかもだいたい2時間ぐらい以内に一気飲みしないといけないし。
あと、最高血中濃度に到達する時間が、約1時間で半減期が3.5時間ってことは、単純に考えるとコーヒー飲んだら1時間後ぐらいが一番効いてて3,4時間経つとコーヒーの効き目は切れてくるって感じかな。
さっ日々勉強です(*^-^)b




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2015年5月2日土曜日

■心房細動とは、どんな病気なの!?

心房細動とは不整脈(心臓が規則正しく拍動できなくなった状態)の一種で、心臓の『心房』と呼ばれる部屋全体が痙攣するように小刻みに震え、規則正しい拡張と収縮が出来なくなった状態をいいます。
心房細動そのものが、ただちに命を脅かすことはありませんが、心房細動があると、心房内に血のかたまり(血栓)ができて心不全が引き起こされたりすることもあります。

≪心房細動の自覚症状≫
心房細動では脈が飛ぶ、ドキドキする、息切れ、眩暈、疲労感などの症状が現れることがあります。しかし、無症状のことも多く、定期検診の心電図検査などで初めてみつかることも少なくありません。

≪心房細動の原因≫
心房細動は、心臓に病気がある場合だけでなく、ストレスや不規則な生活習慣が原因で引き起こされることがあります。
この他にも、加齢や高血圧、糖尿病、甲状腺機能亢進症といった病気の合併など様々な原因が考えられます。
▼心臓に関係するもの
・高血圧
・心不全
・狭心症
・弁膜症
・心筋梗塞
▼心臓に関係しないもの
・加齢
・肥満
・糖尿病
・甲状腺機能亢進症
・ストレス
・アルコール
・喫煙

≪心房細動は脳梗塞を起こします≫
心房細動があると、心房内の血流が乱れて滞るため、心房内に血のかたまり(血栓)ができやすくなります。
血栓が血流に乗って脳に運ばれ、脳の血管を詰まらせると脳梗塞(心原性脳塞栓症)を起こします。
心房細動患者が、脳梗塞を起こすと52%が、死亡・寝たきり・要介護(介護が必要)になるという報告もあります。

≪心房細動が原因で起こる脳梗塞の予防には『抗凝固薬』が有効≫
心房細動が原因で起こる脳梗塞を予防するためには、血液が固まりやすくなっている状態を改善し、心臓に血栓ができるのを防ぐ抗凝固薬が有効です。

≪抗凝固薬の種類≫
・ビタミンK拮抗薬
・直接トロンビン阻害薬
・第Ⅹa因子因子阻害薬



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2015年5月1日金曜日

■低カリウム血症を起こす頻度の高い薬剤

Kが細胞内へ移行≫
▽重曹静注
・メイロン注

▽β2刺激薬
・セレベント
・メプチン
・プロカプチン
・ベネトリン
・サルタノール

▽インスリン製剤
 

≪腎臓からのK排泄促進≫
▽ループ系利条薬
・ラシックス
・ダイアート

▽チアジド系利尿薬
・フルイトラン

▽グリチルリチン配合剤
・ヒシファーゲンC

▽副腎皮質ステロイド
・プレドニン
・サクシゾン
・リンデロン

▽アムホテリシンB
・ファンギゾンシロップ



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■実は、さまざまな適応がある薬『ダイアモックス:アセタゾラミド』

≪商品名≫
ダイアモックス

≪成分名≫
アセタゾラミド

≪効能・効果≫
▽ダイアモックス末
緑内障、てんかん(他の抗てんかん薬で効果不十分な場合に付加)、肺気腫における呼吸性アシドーシスの改善、心性浮腫、肝性浮腫、月経前緊張症、メニエル病及びメニエル症候群

▽ダイアモックス錠250mg
緑内障、てんかん(他の抗てんかん薬で効果不十分な場合に付加)、肺気腫における呼吸性アシドーシスの改善、心性浮腫、肝性浮腫、月経前緊張症、メニエル病及びメニエル症候群、睡眠時無呼吸症候群

≪用法・用量≫
▽緑内障
通常、成人にはアセタゾラミドとして1日250〜1000mgを分割経口投与する。

▽てんかん(他の抗てんかん薬で効果不十分な場合に付加)
通常、成人にはアセタゾラミドとして1日250〜750mgを分割経口投与する。

▽肺気腫における呼吸性アシドーシスの改善、心性浮腫、肝性浮腫
通常、成人にはアセタゾラミドとして1日1回250〜500mgを経口投与する。

▽月経前緊張症
通常、成人にはアセタゾラミドとして1日1回125〜375mgを月経前5〜10日間または症状が発現した日から経口投与する。

▽メニエル病及びメニエル症候群
通常、成人にはアセタゾラミドとして1日1回250〜750mgを経口投与する。

▽睡眠時無呼吸症候群(ダイアモックス錠250mgのみ)
通常、成人にはアセタゾラミドとして1日250〜500mgを分割経口投与する。

※なおいずれの場合も、年齢・症状により適宜増減する。

≪吸収≫
健康成人12名にアセタゾラミド5mg/kgを1回経口投与したとき、血中濃度は2〜4時間後に最高値に達し、その値は20〜30μg/mlである。また、その半減期は約10〜12時間である。

≪睡眠時無呼吸症候群に対しての臨床成績≫
睡眠時無呼吸症候群に対して睡眠中の無呼吸数を減少させ、無呼吸により悪化した睡眠構築、血液ガス、種々の自覚症状を改善する。

≪薬効・薬理≫
炭酸脱水素酵素は、腎上皮・赤血球・脳・毛様体上皮などに存在し、生体内で、炭酸ガスと水から炭酸を生成する可逆反応(CO₂+H₂O⇄H₂CO₃)にあずかる酵素である。
アセタゾラミドは、この酵素を特異的に抑制し、以下の作用を発揮する。

▽眼圧低下
アセタゾラミドは毛様体上皮中に存在する炭酸脱水酵素の作用を抑制することによって房水の産生を減じ、眼圧を低下させるといわれている。

▽てんかん発作の抑制
アセタゾラミドは中枢神経組織内に存在する炭酸脱水酵素を抑制し、脳のCO2濃度を局所的に増大させることにより、脳の異常な興奮を抑制して、精神神経系の諸症状を緩解すると考えられている。

▽呼吸性アシドーシス・睡眠時無呼吸の改善
アセタゾラミドは炭酸脱水酵素抑制作用により肺胞中のHCO3⁻の尿中排泄を増加させるとともに、他方代謝性アシドーシスを起こし、H⁺を増加させる。増加したH⁺により呼吸中枢が刺激され、換気量が増大し、併せて低酸素・炭酸ガス換気応答が改善される。この換気量の増大により血中O2が増加し、CO2は減少し、呼吸性アシドーシス・無呼吸による睡眠中の低酸素血症が改善する。また、換気応答の改善により睡眠中の呼吸感受性が維持され、無呼吸の回数が減少する。
▽利尿
アセタゾラミドは腎上皮において炭酸脱水酵素の働きを抑制し、Na⁺並びにHCO3⁻の尿細管からの再吸収を抑制することによって利尿効果をあらわす。その効果は投与後6〜12時間持続する。

▽月経前緊張症の緩解
アセタゾラミドによる体内貯留水分の排泄、神経系に対する抑制作用が本症の症状を緩解するといわれている。

▽メニエル症候群の改善
メニエル症候群に対するアセタゾラミドの効果は内耳の局所的リンパ分泌抑制作用、利尿による内耳水腫の除去、中枢神経系に対する抑制作用等によるといわれている。




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