2014年7月9日水曜日

■アミオダロン(アンカロン注250):抗不整脈薬

≪作用機序≫
K+チャネル、Na+チャネル、Ca+チャネル遮断作用を有する。
抗アドレナリン作用も有する。

≪適応≫
血行動態が安定した単形成VTに対しては、重症心不全や急性心筋梗塞の有無にかかわらずアミオダロンを使用することは理に適っている。
しかし、我が国ではVFと不安定VTが適応症として認可されている。
ショック抵抗性あるいは、再発性のVF/無脈性VTに、アミオダロン静脈内投与が推奨されている。
初回適応量は、300mg1回、追加投与量は150mgである。

≪注意≫
間質性肺炎、肝機能障害、Torsade de pointes、徐脈からの心停止などの重篤な副作用がある。十分な経験がある医者が、緊急対応可能な施設で使用する。
同一のラインで他剤を投与しない。
ポリ塩化ビニル製の輸液セットは使用しない(アミオダロンが吸着し、DEHP[フタル酸ジ-2-エチルヘキシル]を含むポリ塩化ビニル製の輸液セットを使用するとDEHPが溶出する。)


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■リドカイン(キシロカイン静注用2%100mg/5ml):抗不整脈薬

≪作用機序≫
Na+チャネル遮断薬。
活動電位持続時間の短縮作用をもつ。
Na+チャネルを遮断し、細胞内へのNa+流入を抑制し、活動電位の立ち上がりを遅延させ伝導速度を低下させる。
K+チャネルを開口し、細胞外へのK+流出を促進し、活動電位時間を短縮させる。

≪適応≫
期外収縮・発作性頻拍・心筋梗塞・手術時の心室性不整脈に用いる。
VF/無脈性VTに、アミオダロンやニフェカラントが使用できない場合には、効果が劣るが使用してもよい。

≪用法≫
初回11.5mg/kgを静脈内投与、VF/無脈性VTが持続する場合には、0.50.75mg/kgを510分毎に投与。
総投与量は、3mg/kgまで。


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2014年7月8日火曜日

■アトロピン(アトロピン硫酸塩注0.5mg):血管収縮薬

≪作用機序≫
平滑筋・心筋・外分泌腺などを支配するコリン作動性筋後繊維に作用し、副交感神経を遮断し、迷走神経を阻害する。
低用量(0.25mg)で徐脈、高用量で心拍数を増加させる。

≪適応≫
徐脈・結節レベルでの房室ブロックに使用する。心静止でアドレナリンが無効の場合には、アトロピンを考慮する。PEA・心静止のいずれにもルーチン使用を推奨しない。

≪用法≫
不安定な徐脈:10.5mgを35分おきに総投与量1.53mgまで反復投与する。
心静止:1mg静脈投与し、35分ごとに総投与量3mgまで反復投与する。

≪注意≫
心筋梗塞に併発する徐脈、房室伝導障害では、アトロピンにより心拍数が増加して心筋虚血が進行し、VF/VTを誘発することがある。


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2014年7月7日月曜日

■バソプレシン(ピトレシン注射液20単位):血管収縮薬

≪作用機序≫
非アドレナリン性の血管収縮薬で、平滑筋の受容体を刺激し、末梢血管を収縮させ、血圧を上昇させる。
アドレナリン受容体を経由しないため蘇生において副作用となり得る心筋に対するβ作用はない。
アドレナリンより作用時間が長い(半減期1020)ため、1回の投与でよい。

≪適応≫
アドレナリンは、アシドーシスの進行により血管収縮作用が弱くなり、心筋酸素消費量を増加させるため、アドレナリンの代用としてVF/無脈性VTPEAAsystoleに使用できる。
アドレナリンと同様、心停止例の短期予後を改善することから、成人において投与を考慮してもよい。
小児・乳児に対しては、否定や肯定をするだけのデータが十分にない。
バソプレシンの効果無効時は、35分後にアドレナリンを追加投与する。

≪用法≫
1回投与量40単位(2A)を静脈内投与する。
ただし、保険適応外の使用となる。


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2014年7月6日日曜日

■アドレナリン(ボスミン注1mg/ml):血管収縮薬

≪作用機序≫
交感神経のα1、α2、β1、β2受容体刺激作用を有する。
このα受容体刺激作用に血管収縮作用があり、蘇生時に有用であると考えられている。
特にα2受容体を刺激すると中枢神経系では、血管拡張作用を示すものの、末梢血管に対しては血管収縮作用があり、その結果冠灌流圧を上昇させるため、蘇生に対して有用となる。

≪適応≫
成人および小児・乳児において心室細動(VF)、無脈性心室頻拍(pulselessVT)、無脈性電気活動(PEA)、心静止(Asystole)などの心停止。
蘇生後の昇圧、不安定な徐脈()低血圧、アナフィラキシー、喘息にも効果がある。

≪用法≫
心停止時:成人では1回量1mgを35分間隔で静注する。JRC G2010では推奨する記述はないが、静脈路および骨髄路のいずれも確保できない場合に気管内投与を行ってもよい。その場合は一般に静脈内投与量の22.5倍を510mlの精製水または生理食塩水で希釈して投与する。高用量を用いても生存率は改善しない。

≪注意≫
血圧上昇と心拍数の増加によって心筋虚血を促進することがある。
β受容体刺激作用は、心筋の仕事量を増やし心内膜下の流れを減少させるという報告があり、蘇生後も効果が継続する。


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